夜半

突然のくちづけは、見るからに年下の、ほとんど十代にみえる少年から、それも首筋に。
さらりとした髪の感触が、私のうなじを撫でたかと思うと、次の瞬間には少年は、いずこともなく立ち去ってしまっていた。

な、何今の??

さあねえ。でも、

と、友は大げさに言葉を切って言った。

ふるいつきたくなるよーな美形だったねえ。

んー・・・
得したのかもしれない。



でも帰宅してシャワー浴び、いとしのベッドに横たわって二時間。
時計が三時を指した頃にいきなり、私はガバッと身を起こす。
寝汗だらけの己の肌を、片手のひらでなで下ろしてゆく。
くちづけを受けた首筋は、燃えているかのように熱い。
でも全身は氷のように冷たいのだ。
ああ。
私はもう、少年の正体を知っている。
そして自分も今はもう、仲間なのだと気づくのだ。




#30年前の四百字小説
#テーマは・KISS・でした

それでも地球は回っている