降る小判名問い山〔さちピコードあり〕

ばさまがな、山に茸採りに行った時じゃ。
白い兎が跳びだしてきて

返事しちゃいかん
返事しちゃいかん

そう繰り返して去ったとな。
そのあと森からさわさわさわと、何やらつぶやく声がする。
よう聞くと、それは繰り返しこう言うとった。

名前を集めとる
名前を言うてくれ

ばさまは兎に言われとるから決して名前は言わなんだが、突然小判が降ってきて

名前を言ええ!!

鋭い語気にばさま思わず

くめ

と名前をつぶやいた、途端でかい手がさっと降り来てばさまを掴み、ぎうっと握って潰したげな。
兎のいうこたあ聞いたがええ。



#30年前の自作・四百字小説
#テーマは 『つぶやき』




それでも地球は回っている