ゆきにうくしょうじょ〔kazeさんに捧げる一作〕※さちピコードにはふれるかもしれません

あるところに
こどくなおとこがいました
かぞくはなく
ざいもなく
はじめてのこいをうちあけたあいてにも

とくべつなようそがなにもない

といわれてさられてしまいました

つきのうつくしいよる
おとこはついにあきらめてしまいました
せめてうつくしいところでしのう
おとこはゆきぐにをえらびましたが

ふかいゆきをこぐのは
とかいそだちのおとこには
ぜつぼうてきにたいへんでした

ゆきにこしまでつかりながら、
ゆきまみれになりながら、
おとこはへいげんをこいでゆきます
どこではててもだいへいげん
ねむるだけでゆける・・・


とおもったとき


かなりむこうから
さくさくとしんせつのおとたてて
やってきたのは六さいくらいの
しろいケープとひざたけのスカートがあいらしい、
ようそうのしょうじょでした

ここでなにをしてるの?

おとこはきづきました
しょうじょのくちはうごいていません
それどころか、
かのじょは一ミリも
ゆきにしずんでいないのです
ぽくぽくとひょうそうのゆきだけふんで、
おとこのところまできたのです


わたしには、
かちがないんだ


おとこがいうと


そんなことはわからないわ

としょうじょはいいました

しょうじょがふっとほほえむと


おとこのじんせいはものすごいいきおいでぎゃくかいてんしていきました



やりなおしのじんせいは

かぞくがあり
ざいがあり
はじめてのこいをうちあけたあいてには

そういってくださるのをまってたの!

と、とびあがるほどによろこばれました

(そのじょせいは、いぜんかれをふったじょせいよりも、なんとなく、あのしょうじょににていました)

そのじょせいと
てにてをとって
ににんさんきゃくでがんばって
ちいさなかいしゃをおこしたら
みるみるおおきくなっていって
あっというまにちょういちりゅうきぎょうになったのです

そうなると、おとこはちょうしづいてしまって
おさけのばしょでふざけたり
じょせいととくべつなかんけいになってしまったり
あさましいじんせいをおくってしまい

けっきょくはかいしゃもはたんして

おなじせつげんにたっていたのでした

かたわらにはあのしょうじょが
おとなのじょせいのすがたで
こしまでゆきにうもれています

きみだったんだね

とおとこはいい

わたしだったのよ

とかのじょはいいました

もういちど
やりなおすことはできるのかい

とおとこがとうと
かのじょはくびをよこにふりました

わたしはひとになってしまった
もうあなたをたすけることはできない

そういって
かのじょはねむるようにゆきました

おとこもあとわずかのいのちです
でも
しゅういからまた
さくさくと
ぽくぽくと
しんせつのおとたてて
六さいくらいの
しろいケープとひざたけのスカートがあいらしい、
ようそうのしょうじょがやってきます
ひとりではない
いくたりも
いくひゃくにんもやってきます

チャンスはいくひゃくとなくある!


でもかたわらにはさいしょのしょうじょが
おとなになって
いのちをおとしてしまっている・・・

このときおとこははじめて

じぶんがつみぶかいときづいたのです

うわああああああああっ

さけぶおとこのまわりに
しょうじょらはあつまってきています
さくさくとしんせつのおとたてて
ようそうのしょうじょがやってきます
ひとりではない
いくたりも
いくひゃくにんもやってくるのです


それでも地球は回っている