巻島ファンの方に出会ったので(^^)

この一作を捧げてみますw
例によって公式には、ご内聞に・・・



グラビア〔二次創作弱虫ペダル。今泉目線〕


 峰が山を登る。
 一年レギュラー三人で。
 杉元は頑張ってついてきたけど三つ前の信号で諦めた。

 ボクはこれから弟の迎えがあるのでね



 ボクハコレハラホトーホノフカエハアルノレヘ

としか発音出来なくなるところまで頑張ったのだ。
 いいルーラーだと思う。

 坂がきつくなる。
 坂道がキラッキラッ輝きやがる。
 けんめいに踏むが尻が、みるみる遠ざかる

「お先ィ」

 ちょーしこいて赤アタマまで抜いていくが、させない、
 それだけはさせない。
 頭を押さえ、押さえられ、せりあう方に力が要って、坂道から遅れることたっぷりニ分、
 約束の草地で合流した。

 三人で雲を眺める。
 春が来たら二年。
 後輩も出来る。
 坂道が黙ってるのは、
 巻島さんを思い出しているのだろうか…
「あの」
 坂道が不意に身を起こした。
「みなさんシュミって何ですか?」
 俺は思わず赤面した。
 湖鳥の異装フィギュア集め出したのは先月から。
 坂道だって知らないはず。
「小野田くんのアニメとかやろ」
 だめだ鳴子それだめ…遅かった!
「僕とアニメの関係はシュミではおわりません! 生きざま! 生き方! 生涯一オタクとしての信念と愛と…」

 終わらねえ。

 日が落ちる頃主張し終わった坂道が言ったのはこれだった。
「巻島さんのことは大好きだし尊敬しています。いちばんすごい先輩だからです」
 みんなよくわかってる。
 でもシュミが、グラビアってのだけよく…わからないまま旅立っていかれてしまいました…
「俺もわからん」
 言って現れて、俺の横に坐ったのは手嶋さんだ。
 その向こうに青八木さんもちょこんと坐った。
 (女の子坐りかよ。)
「グラビアってただ見るもんだろ? どうシュミにするんだ?」
 一同黙った。
 たしかにわからん。
 巻島さんはシュミはグラビアというばかりで、桜木えろすが好きだとか、関うちのが好きだとか、グラビアアイドルの名が出たこともない。
「見るでなく…撮るとかでは?」
 坂道の言葉に、俺たちの脳裏に同一のイメージが広がる。
 カメラスタジオ。
 連続シャッター音。
 ポーズするモデルを激写している巻島裕介…
 いきなり鳴子が噴き出して、
「撮られる方やないっしょーね」
 撮る巻島さんがモデルと逆転し、危ない格好で激写されている…
 誰も何も言わない。
 そうとは言えないが。
 今となっては誰も。
 違うとも言えないのだ。

 長ーーーーい沈黙の後、
「戻ろう」
 手嶋さんのひと声に救われるように、俺たちは立ち、各々の愛車に跨がった。
 ペースは落ちた。




追記

 二年後、このギモンは思わぬところで解決した。

 洋南と明早の対抗レース応援に行ったら、金城さんと話せたのだ。

 本人と話さなくてよかったな。
 グラビアはグラビアでも、あいつのフェチはグラビア印刷機だ。
 凹版印刷の一種でな、微細な濃淡が表現できるので、写真画像の印刷に最適…

 ― 印刷イメージはシリンダーに彫(え)り込まれるッショ。
 ― シート状の用紙ではなく、ロール紙に印刷する形式ッショ!
 ― オフセット印刷やフレキソグラフィー印刷と同じに回転式の印刷機なワケだけど、微細な濃淡がイイッショ!
 ― エルクとアイアンフィッシュ、二大グラビア誌競い合ってた頃が最盛期で、ライフなんか目じゃなかったっショ!!

 聞いたこともないグラビア雑誌名挙げながら、喜々と語る巻島さんが浮かぶ。
 千葉に戻ったら真っ先に、坂道に話してやるんだと、俺は心にそっと誓った。

それでも地球は回っている