ひたすらに走ること

WBC国内最終戦勝利の記念に。

これは弱虫ペダルBL連作の一作なのですが、走ることに一心不乱状況にあらためて金城に追い込まれた荒北、街宮と
彼らに憧れ続ける古賀、黒田らの苦悩をテイストしただけのものなので、お色気感ほぼゼロで読んでいただけると思いますww
例によって公式には、アハハ、ご内聞に・・・

侍ジャパンありがとう!



希求〔二次創作弱虫ペダル。洋南古賀目線〕


二年の走りが変わった。
ためらいがなくなり、アグレッシブになり、過剰なほど攻撃性が増した。
金城さん、荒北さん、待宮さんが出場したレースは全くの負けなしだ。
他校がぼやく。
誰を抑えりゃいいのかわかんねえ。
三人が三人とも、自分がエースって動きしやがる。
許しとけねーな。
まして一度は逃げた荒北さんだし。
ソコ違う。
繊細な荒北さんを弄んで傷つけた金城だ。
黒田ああ。
呼び捨てるな!
揉めない揉めない。
もう儂らの連携完成したからの。
いつの間にか真後ろにいた待宮さんにからかわれる。
全くもってむかつく。
や。
他校はともかく、学内では見抜けるだろう学内なら。
ってんで。
一年二年対抗レースの運びとなった。

いつもの練習コース七周。
周回遅れは失格。
二年は俺たちに、ハンデをくれようとしたが、俺も黒田も拒否った。
チームは三人。
向こうは当然金城さん、荒北さん、待宮さん。
だが意気地のないことに、俺らの同輩で、参加申し出てくれるやつがいなくて、

俺、出て良いですか?

言ったのは真波だった。
学内見学に来ていたのだ。

受験めんどいんで、これに勝ったら推薦とかなれないかなあ。

顧問がこっそり受諾。
(おいおい!)
レースが始まった。

俺が走ると肩が鳴る。
それで人呼んで轟音の古賀だ。
だが俺以上に鳴らして走ってるのが待宮さんだった。
極端な前傾姿勢。
胸の痣が消える間ないほどのめって走るのは承知だが、一段と磨かれてカミソリのようだ。
そして彼、チームメイトなのに

どけ!

と押しのけて、荒北さんが抜いてゆく。

俺の前に人は要らねえ!

豪語するが、

蛇はどうしたらいいかな。

いきなり荒北さんを抜き去っていった。
なんてことだ。
彼らは俺たちと戦ってるんじゃない。
彼らだけで戦ってるのだ。

すかしてんじゃねえ!
待ちやがれ!

さらに加速する荒北さん。

エッエッエッエッと笑いながら追いすがる待宮さん。

坂だし!

真波が無邪気に追ってゆく。
猫も轟音も太刀打ちできてない。
ついに周回遅れになった。

結局真波だけがついていけたが、それでも四位だった。
面白いから受験します。
来春リターンマッチね!

嬉々として真波は帰っていった。
俺たちを顧みることもなく、金城さんたちは反省しあう。
まだぶれとる。
筋トレかな。
俺は走り込む。
この人ら相手に、戦うすべはあるのか?
ないよな。
吐き捨てるように黒田が言う。
自転車やめっかな。
やめられるもんならやめてみろ。
俺は来年真波がくるまでに、一段と速くなっとくつもりだ。
熱いなあ轟音は。
俺はこれ以上速くなれる気がしねえ。
しねえけど…

やらなきゃもっと置いてかれるもんな。

しゃあねえ。
回すか!!

手の届かないものを愛すのは、想像以上に忍耐が要る。
それでも俺は憧れる。
同じアイウェアをつけるだけじゃ足りない。
あんたが欲しい。

それでも地球は回っている