人柱の記者⑥人柱からの生還3


頭から読まれるかたのために↓


前段は↓

https://note.com/amisima7/n/nf66a847313d9?magazine_key=ma6bcad1442a1


学生時代、映像研にいたので、あたしはオープンリール扱える。
人柱に関する情報かもと思ったので、リールセットして回してみた。
案の定、インタビューテープだった。
キュルキュルキュル。
たるみが巻き取られ、音声が出てくる。
おずおずした、訛りのきつい声が、細く弱々しく聞こえてきた。

まだ橋で、はい、働いとりました…
いえ、働いてたゆうんより、まだ橋もってかれて捨てられて、生きとる間は働いて、死んだら建材の根っこの穴にぶち捨てられるゆうかんじで…

ぶち捨てられる。
打ち捨てられるの訛った形だろうか。
まだ橋。
△△県□□郡の山間にあった高架橋。
まだ橋隧道につながっている。
今は高速が横を通っているので、そんな隧道も高架橋も使う人はいない。
使われない隧道とかのために、たくさんの人の命が奪われたのだ。

貧乏がいかんのですよ。
なら死ねばええんですが、ちょぼっといただける飯のおかげでまだ生きたくなる。
せめて明日の飯まで。
それでも働いてしまうがです。

わずかな食事。
果てしない労働。
監督者の無体。
食べれば食べるほど、働けば働くほど、やつれ衰えてゆく現実。
これがまさにタコ部屋なのだ。


続きは

で。

それでも地球は回っている