何もされてない
サボキは6人。
リーダーである俺、美形、ファニー、長身、眼鏡、弟位置。
で、6人。
誰も何もされてない。
何もされてないのに被害者だとか加害者だとか、うぜえんだよ。
やっとアルバム出るのに!!
こんなことで躓いてたまるか!!
全員に確認した上で、俺はアイドル雑誌の雄、『みめうる』の記者に連絡を取った。
誰も何にもされてないのに噂が独り歩きしてるんです。
そういう論点で話すつもりだった。
でも、みめうるの記者は終始にやにやしていた。
ほんとうにそうだとしたら、さぼてんキッスは(マムンに)見向きもされなかったグループだってことになっちゃう。
いいんですか?
はあ??
なんでそんな意味合いに?
俺たちは正当に音楽活動を・・・
言い募ろうとする俺に、記者は一枚のシートを寄越した。
それ見てもその論点で行くってんならそれはそれでいいんで。
記事にすることはやぶさかじゃないんで。
まあ、ご検討ください。
記者は帰っていった。
シートにあったのは、マムンが行ったとされるそれの、時節ごとの推定一覧だった。
被害を訴え出たやつらの時期と、その時節に売れてたやつらがひと目でわかるように対比されていた。
最初の被害者の直後がティアー。
事務所名になった、原点のグループだ。
次の被害者と重なってはちみつ。
そのあとがレモン。
そのあとジュエルスで、そのあとがソロの渚ゆうま。
イナズマ。
ややあってソニック。
KYOTO・・・
で、アモーレ。
レインは・・・
レインの活動期間だけ、
被害者ほとんどいなかった。
満足してたんだマムン。
ほかが必要ないほどに?
この時期レインはソニックを抜き、KYOTO置き去り、矢のように駆け上がっていった・・・・
リーダー。
ドアをノックしたのは一輝。
サボキのファニー担当だ。
めっちゃ蒼ざめてるその顔見て俺は、いやな予感しかしない。
よしてくれよ。
実はとか。
何!!
突き放すような俺の『何!!』に、一輝はいまにも泣き出しそうな声で言った。
実は・・・
俺は絶望にがっつり目を閉じた。
万事休す。
※ このシリーズは完全なフィクションであり、ありとあらゆる一切と、何の関係もありません。
それでも地球は回っている