『曳航領土』顛末

スポーツせんとやうまれけむ~曳航(栄光)領土のこと~を読んで

             甘利真里

著者は立花隆さん。
一介のシナリオライターの発言から生まれた移動式試合場『曳航領土』が、様々な紆余曲折を経て、日本のコロナ汚染拡大を防ぐに至った一代記となっている。


曳航領土は初手から躓きかけた


海上に置いて、曳航して使用するので、箱物をつくる必要がない。
故にこれは箱物を作りたくて作りたくての大手ゼネコンからはめちゃめちゃ激怒を買っていたけれど、2002年のサッカーワールドカップ実現という難業のためには天の恵みのアイディアとなった。
この大会、日韓共催という難題を押し付けられた両国は、当初こそ、どちらが決勝戦引き受ける!?とかで大きく揉めかけたのだったが、人工島を両国の、海上国境線に置こうという発想が出たおかげで無事に遂行されたのだった。
曳航領土がなければ、日韓はどちらが初戦、どちらが決勝とかで、何かと大いに揉めたに違いなかったろう。
会場になりうる大きな海上箱物の実現は、隣国との関係を改善しただけでなく、陸上箱物以外の施工実績として認知され、物づくり日本の面目を躍如させたのだった。


他国との関係


その後しばらく出番はなく、真似て作られた後発海上箱物の粗悪(※)により、次々災害に見舞われたため、実情を理解しない一般市民からは廃棄の要求も出たが、東日本の震災時には、復興の為の資材運びに活躍、2019年のラグビーワールドカップでも、老骨に鞭打って、試合会場を提供し続けた。
フィールドの整備をしただけで再生し、安定した試合会場を提供できている曳航領土は、あらためて世界の賞賛を集めたのだった。


コロナ下の活躍と、日本政府の決断


コロナのときも活躍した。
ダイヤモンドプリンセスを受け入れ、治療・研究・防疫拠点となり、gotoもオリパラも行われなかったので、日本は世界のどこよりも上手なウィルスコントロールができたのだった。

発案者の名は伝わってない。
今はシナリオもされてないそうだ。
もしみつかったなら、私もひとりの日本人として、お礼を言いたい気持ちになった。


※ 某国は、広大な領土は海に通じるとかなんとか言って、陸進用曳航領土を作った。もちろん運用は恣意的となり、ある民族の住まう地域に執拗に活用したので、世界中の顰蹙を買い、これが2022年の冬季オリンピックのボイコット運動につながっていったのである。


という架空書評であります。

おそまつ。



それでも地球は回っている