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ロード的文学解釈〔二次創作弱虫ペダル。新開目線〕


 やすともは細い。
 やすともは荒い。
 いつも噛みつきそうな顔して悪いロ叩いてる。
 ときどき抱きしめて髪とかめちゃめちゃにしたくなる。
「よせヨッ!」
 後ろからしつこくつつかれた小学生みたいに、腕振り上げて怒るんだろな。
 かわいい。
 何かこの世ならぬ、別世界の小動物みたいだよなー…
 我慢出来なくなって、部屋に誘った。
 国語教えてやるから。
 パアッと顔面が朱に染まる。
 やはりだ。
 理数はクリア出来ても、感情の機微がわからないのだ。
 やすともは吃った。
「おっ、教えてもらってヤンヨっ」
 既にこれは日本語ではない。

 俺の部屋に入るなり、本棚見上げてひゃあーと言った。
 ことばではない。
 歎息だ。
「コンダケ読んだら俺頭から血ィ出るわ。帰る」
ときびすを返そうとする胸もとを抱かえ込んで引き寄せ、勉強机の前に座らせる。
「全部読めとか言ってない。ことし習ったのはこの辺だろ?」
 谷崎潤一郎と森鴎外と志賀直哉だけとんとんと重ねる。
「三冊…だけならいいか」
 言いながら手震えてる。
 完璧おびえてる。
「三冊でさえないよ。谷崎は春琴抄、森鴎外は舞姫、志賀は小僧の神様だけでいい」
 やすともの顔がパァッと明るくなる。
 少なくとも、ちょっとはやる気が…



 出たかにみえたが…



「とよたろうぬしって何だっ! 川のヌシとかそういうやつか?」
「主人公だバカ!」
 こんなんじゃあぜったい色っぽい雰囲気なんてならない!
 俺がベッドにばたんと仰臥したとき。
 やすともがふと言ったのだ。
「でも春琴抄はわかる」
 ん?
「もし福チャンがロード乗れなくなって、そんな俺をやすとも見るなっつったら、俺、目潰すわ」
「!」
 黙って自分を見つめる俺に気づいたのだろう。
 やすともはまっ赤になった。
「違えのかヨ」
「違くない! やすともそういうことなんだ。小僧の神様はやすともにロード乗るチャンス与える寿一の話で、舞姫はあんまり尽八がしつこいから、俺結婚するんだって言えない巻島の話なんだ」
 あとはカンタンだった。
「じゃあやすとも、小僧は何でまたおごってって言わなかったんだ?」
「だって金持ちは一回おごってくれたんだろ? チャンスは一回で充分だし、それ以上望むような欲張りは、小説の主人公になれないって話ヨ!」


 少し違うが…


 この、何でもロードに置き換える作戦で、やすともは初めて国語の追試を免れたのだった。
「何か礼させろよ」
「じゃあ目つぶって」
 子供みたいに目を瞑る。
 キス、しようと、思ったが、


 あんまり素直にしてるので…

 やめた。

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NN/わがまま旦那と再同居開始(>_<。)ウットーシー
それでも地球は回っている