ある、月の美しい夜

ある、月の美しい夜
小さなおじいさんが来た
淡々と聞かれた
どこかへいきたいかね

僕も4300も言葉を失う
行きたい
でも僕らはポスト
どこかへ行く手紙を
受け止めて放つ仕事
動けない
だいたい動いてしまったら
この先だれがそれをやる?

小さいおじいさんはわらう

誰かがやるよ
現にそのお嬢ちゃんも
違う誰かさんの後釜じゃろう?

確かに

じゃあ、
おねがいし…

ますと言い終わる前に僕らはふわりと宙に浮いた

僕らが植わっていたアスファルトそのものが魔法の絨毯化してた
端っこにはえてる草花ごと、僕らは飛んで行ったんだ

海を越え
空に染まり
高いビルの上も静かな農村の上も
地球は丸くて広くて
同時に思いきり小さかった

それでも地球は回っている