実はこんな社会〔架空未来〕


※ あくまでも
  あくまでも
  これはフィクションです 


大災害が起きた場所的に
為政者どもは躍り上がった
老人等生活弱者の多い地域だ
このまま見捨てれば、福祉予算が余るぞ
健康で、若い世代だけ多く助ければ
国が若返る!

神風の吹く国だからねえ
ありがたいねえ全く



災害派遣もあたしたちの仕事になってしまった
だって“見える”もの
あそこに一人
あちらに四人
あっちはだめ
みんなしんでる
でもあの赤ちゃんはまだもちそう・・・

みえてる
当たる
ロスが少ない
でもみてるほうは疲弊する

かなが吐いた
もういやだ
吐き捨てるように言って

自分で自分の心臓を止めた

それができるのもあたしたちのゆえ
罪深い
罪深すぎる


二次避難
復興の遠い地域から
災害に見舞われなかった地域へ
僕らは勉強や運動のできる地域へ
爺ちゃんや柿崎さんは
手厚い介護の施設へ

二週間くらい手紙来て
ぷつっと連絡が途絶えてく



二十年ほどで老人はいなくなり
若い世代は働き盛り
結果が出せないと、地上階から下の階へと移される
守口はもう地下二階らしい
いったい何階まであるんだろう



再生医療が発達して
潰れた手足も内臓も
とりかえるだけで生きられる
ありがとう代理部位、代理臓器
脳はどうなんだろう
取り替えるのか再生か
再生できないとどうなるんだろ
逆に部品にされるのだろうか



眼をもらった
見えすぎる目
被災地の潰れた家の
梁の隙間の動けない猫まで見える
猫まで助けてるひまはない!
隊長さんが冷徹に言う
でもあたし見た
一瞬隊長さんぶれて
次の瞬間隊長さんは
梁の下の猫を連れてきた
こっそり飼っていい
でも人には気づかれるなよ
ああ隊長さんテレポートできるんだ
もしかして、
部隊の人?


見え方が強まって
あたし気づいた
地下四階は死の世界
老人用の施設ってのは
介護施設って意味じゃなく・・・

シ。

見えすぎる目でも
気づいちゃいけないことがあるんだぞ

隊長さん・・・

きみにはいつかうちの部隊に来てもらいたい
だから生きろ
気づくな何にも
猫だけを見てろ
猫だけ

それとも猫を元の場所に戻そうか?

やめて!!

テレパシーのやりとりを
知ってか知らずか

猫はあたしのすぐ横で
小さな寝息を立て続けていた




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それでも地球は回っている