気配

ゾクリとトリハダが立ったのは、背後に気配を感じたから。
私鉄O線午前七時半、言わずと知れた殺人ラッシュ、ぎゅう詰めの車内では、思わぬトコに手やらナンやらが当たることもある、そんなくらいはラッシュの常識、でもコレは、ホームで私の真後ろにいた、整髪料臭いサラリーマン、ソイツのに絶対間違いないのだ!
カーブでガクンと車両が揺れる、すると気配もそれに乗じて私の躰をより抱え込む!
やめてよ!と私は肘を使うが、その甲斐もなくそれは空を切り、不運な私はよりいっそう、気配に包まれきってしまう、そこへ二度目のガクン!がきて、私はいきなり気配と正対することとなったのだが!
気配の主は例の野郎ではなく、何と私の最愛の、部活のアイドルK君で、おまけに当たっていたものは、なんのこたーない学生鞄のカド!
要するにすべては私の独り相撲、気のせい、気のものにすぎなかったのでありました・・・

#30年前の四百字小説
#テーマは・チカン・でした

それでも地球は回っている