ファンタジウムパーフェクトエディション配信について

このたび、「ファンタジウム」のパーフェクトエディションが配信になりました。どうしても仕方のない事として、単行本が出ると漫画のカラーはモノクロになってしまうのですが、デジタルで新しく配信するなら、いままでのカラーを再録したい、と私が言い出し、配信代行のナンバーナインさんにアナログのカラー原稿をお渡しして、実現しました。ファンタジウムは青年誌に掲載された作品にしてはとてもカラーの多い作品で、版元の講談社さんは頑張ってくださったのですがどうしても紙の印刷には限界があり、今回のデジタル版の鮮やかなカラーの数々は本当に美しくて、是非見ていただきたい仕上がりです。漫画は紙でなければ、と思う事もありましたが、ツールさえあればいつでもどこでも購入できる電子書籍は、自分がフルデジで漫画を描くようになってからほんとうに便利で、現代的だと思うようになりました。(ただ原画展に来ていただいたお客様が、みなさん私の作品を紙版と電子版両方買ってくださって、大変ありがたかったです)しかし前にも書いたのですが、その手軽さゆえに「無料で読んで当たり前」という感覚の方が増えてしまって、気楽なものとして楽しんで頂けるのは良いのですが、漫画家は倒れたり入院したり救急車で運ばれたりして漫画を描いていることもありますし、私の友達も若くしてなくなった方が少なくないです。だからありがたがれとは言いませんが、せめて普通に食事をしたらお金を払ってお店を出るように、服を買ったらレジで支払うように、漫画の事を考えて戴けたらと思います。今回ファンタジウムが再度配信されて、あまりにも色々な思い出のある作品ですが、掲載中はとにかく不人気で、読者の支持がまるでなかったのに、いまでも愛されていること、すごく不思議でありがたく思います。他社の編集さんに「私ならファンタジウムをもっと売れるネームに作れた」と言われたとき、屈辱というよりも、こいつアタマ大丈夫なのかと思いましたが、私から見ても売れる売れないは別にして、ファンタジウムは魔法がかかっている漫画だと思っています。皆さんが大切に読んでくれて。私も大切にしていきたい。是非今回配信になったカラフルで美しいファンタジウムを楽しんで頂けますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?