BEASTARS
人類が存在せず、動物たちがまるで人類のように生活するまったく架空の社会をえがいている、斬新な漫画。こんな話は今まで読んだことがなくて、去年始まったアニメで知ってからは、夢中になって読んだ。
架空の社会を描いていて、動物たちは人間のような高度な社会生活を営んでいながらも、特有の習性や体質を持った『動物』としてあくまで描かれていて、それは人類の社会とは全く違うものであるにも関わらず、私たちはこの動物社会で起こっている社会問題について、気付けばとても真剣に考えてしまっている。
肉食と草食が共存する彼らの世界は、多様性社会という模範解答のない私たちの世界そのものだ。
多様性社会を目指すことの意味、その難しさ。困難とわかっていても、自分と愛する家族や友人、恋人が幸せに生きられる社会とは何かを絶えず考え、諦めず答えを模索して生きる主人公に勇気をもらえる作品。
色々と真面目なことを言ってみましたが、絵がめちゃくちゃ上手で、動物たちがモフモフで、動物たちの習性に関するあるあるネタとかがユーモラスで可愛くて、台詞や文章のセンスも好き。オススメ。
展開も早くて、飽きずに読める。
主人公のハイイロオオカミが属性過積載で無双気味なんだけれども、細部まで作り込まれた世界観が圧倒的なので、あんまり気にならない。
準主役のルイ先輩はシシ組加入して出戻ってからというもの、いい感じで肩の力が抜けて......、なんというか大人になった!学生時代の、ピリピリした危うい雰囲気も好きだけどね。
19巻より。ハルちゃんに対してもそうだけど、面倒見がよくて微笑ましい。可愛い。
ルイとレゴシが2人併せてBEASTARSになっていくんだろうなと予想している。ヤフヤがあの頃ゴーシャ爺ちゃんと叶えたかった夢が、二世代後に花開くのか〜?と。
最近は、ジャックもジュノちゃんも出てこないので、私の今の推しはメロンかな......。ハッキリと描かれてないけど、お母さん、メロンのこと育てて食べるつもりだったのかしらね。そりゃあ、やられる前にやるしかないわね。
ジョジョの吉良吉影よろしく、母親との関係が上手くいってないと、男ってのはロクな育ち方しないんだろうか......。こわいな〜。
しかし、妙な色気があって最高である。
19巻のクイズのとき、レゴシのことを思わずといった感じで助けたシーン、よかったですね。
21巻はバトル多めの話になりそう......。
メロンさんが抱えるハーフ獣の闇に、自ら命を絶ったハーフ(コモドオオトカゲ×オオカミ)の母を持ち、食肉本能と葛藤しながら小さいドワーフウサギのハルと恋愛する主人公レゴシは、どう向き合い、たたかうのでしょうか。
ヘビー過ぎる。想像もつかない。
ハルとレゴシの恋愛を見守ってきた読者としては、応援したい気持ちはあるが、この作品は一貫して食肉本能と異種族間の軋轢と愛憎について描いているので、生半可な結論には至らないと思う。ていうか、わたしたちの社会がそうであるように、結論なんか出ないのかもしれない。
ハーフ獣の子供が決して幸せになれないのだとしたら、異種間の愛は食肉本能と表裏一体なのだとしたら、やはりそれは、それ自体が過ちなのか?
だけど、それじゃあ、純血種同士のカップルしか認めないことになってしまう。その社会って自由だって言えるの?ハーフ獣が幸せになれないのは、それは社会に問題があるのでは?
社会生物であると同時に、どうしようもなく動物。ただの、動物でしかない。それでも、迷い、考え、生きる。
ビースターズで描かれる社会は、人間社会のあらゆる差別と異文化交流と社会形成そのもののメタファーであり風刺であると、つくづく思う。
でも、それだけじゃあなくって、萌えと癒しとエンタメがちゃんとあって楽しく読めるところがこの漫画の素晴らしいところですよね。
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