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世界

映画「遠いところ」を観た。

いつも見ている街の、知らない世界の知らない人たちの話。でも、そこには憎悪と絶望と欲が渦巻いていて、端っこに追いやられた弱い立場の人間が確実に傷つけられていた。

子供時代のなかった大人たちは、この複雑で誰もが自己責任だと投げ出されてしまう社会の中ではただ”バカな大人” になってしまう。
早く、生きるためのお金を稼ぐには体(女であること)を売るしかない、それが親の頃から(いや、もっとその上の世代かも)続いている”普通”の世界。未だ戦後なのだ。
体も心も削れていきながら、どうしようもない男と大人に囲まれる人生。

そういう人たちを救いたいなんて、口ではいくらでも言えるけれど、私には到底無理。
そこには暴力、暴言、想像もできない訳の分からない常識が渦巻いている世界なんだから、関わるだけで苦しんだり傷ついたりするに決まっている。
分からないことを理解しようなんて、無理だよ。

母は、
「自分の世界を突き詰めなさい。人間の数だけ、それぞれ世界がある。全ての世界を知ることなんて不可能なんだから、あみちゃんはあみちゃんの世界の人を幸せにすることを考えなさい。その世界をもっと豊かにしなさい。」
と。

知らない世界は1人、2人辿ればきっと繰り広げられている世界なんだと思う。
見て見ぬふりをする訳ではない。ただ、私は私が1番好きで、私の世界に関わる人たちが1番大事で幸せになってほしくて、それを突き詰めたいだけ。

社会の全ての負を解決できる力は私にはない。私によって救われるべき人たちは、きっと向こうからその糸を辿ってやってくるはずだから。


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