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ほんものの地獄ー最後まで自分を信じ、諦めるな。ー


#イラストストーリー部門 #創作大賞2023

あらすじ

ダメな人間だ。私は。
最後に真実を知りたかった。

note創作大賞、宇佐崎しろ先生のお題イラストを元に書いた小説。
イラストの少女たちを誰よりも愛する男の話。

新崎薫(にいざきかおる)は先生で幼児性愛好者だ。
妹の美雪の遺体は行方不明。
契約したフェアリーのテイルと、死を約束し真実を探る。
そして、愛するものたちを自らの手で業火に焼く、地獄が始まった。

少女たちを助けることはできるのか?
はたして美雪は本当に死んでしまったのか…。
いくつもの物語を読み、真実を追う。
これは、愛の物語。家族愛を描いたロリコンファンタジー小説。
最後まで諦めるな。愛を貫け…。

(あらすじ 270文字程度)
(本文 25000文字程度で完結済み)


ほんものの地獄

ー最後まで自分を信じ、諦めるな。ー



記録 令和5年4月27日(晴天)
都内一室にて 夜

薄明りの部屋で縄を天井にぶら下げた。
分厚い雑誌を重ね、台を作る。
上に乗り手をかけた。
「父さん、母さん、美雪、すまない、ダメな人間で。」
縄を首にかけ決意を込めて体重をのせた。
すると、ギシッと音を立てて縄が切れた。
ドシンッ、腰を打った。
痛い。
死んだらもっと痛いはずだ。
苦しいはずだった。

止まっていた呼吸が一気に戻り、胃液を吐いた。
2,3日は何も食べていなかったのを思い出した。
涙目になりながら、目を開けると、27型のテレビの横に写真立てが見える。
写真には、私を含めた家族全員の幸せそうな4人の姿が写っている。
茶色の髪、170センチ、体重70キロのスーツをビシッときた馬面の私、
にこやかな笑顔をする父と母、かわいらしい笑顔をして、淡いうす紫の着物を着ているまだ女子大学生の面長な美雪だ。

死に損ねて、少し笑ってしまう。
そして倒れたまま天井を見た。

何か光った蛍みたいなものが、外から窓をすり抜けて飛んできた。
ぐるぐるーひゅーん。
小さい人間に羽が生えてキラキラと若緑色を発しながら光っている。
羽からはうつくしく光る鱗粉が甘い匂いを漂わせていた。

???「あはは!人間が死のうとしてる!面白そうと思って見に来たら、死にそこねてやんのー!まじダッサー!!!!あははは!!!!」
私「・・・小さい人に羽が生えている。・・・本などで読んだことがある。」
???「は~?ほんと人間はバカだなぁ。フェアリーっていうんだ!」
私「フェアリー?」
???「そうだよ、俺様はフェアリーのテイルっていうんだ。死ぬ人間の姿って面白いから見に来てやったのさ!」

羽だけ動かして空中に止まったソレは威張って自身の胸をドンと叩く。
フェアリーは15センチくらい小さな女の子だった。
赤い布をビキニのように着ている。
髪の毛は赤みがかった栗色でかわいらしい。
テイル「なんで、おまえ、死のうとしてるんだよ?もう一回、やれよ。」
私「私はダメな人間です、妹が何者かに殺されて、父と母も、もう死にました。」
テイル「ゴタクはいいから、はやく、死ねよ?はやくはやく~~~死ねってば!」
私「わ、私は・・・。」
涙が出た。テイルの話した言葉によって傷ついたからじゃない。
思い出したのだ。
妹の死を。

幼いときに事故で死んでしまった父と母、そして大好きな妹の死。
死体は損壊していて、つぎはぎだらけで一部がなかった。
思い出しただけでも吐きそうだ。
テイル「もう、やっぱり死なねーんだろ?人間ってあったま悪いものな?」
私「う、うう、どうせなら妹を殺した人を探して、真実を知りたかった。」
テイル「は~?そうしたら死ぬの?真実を知ったら悔いなく死ぬ?ならなら、手伝ってやってもいいぜ?なんだってフェアリーの一族は契約に忠実だから。」
私「契約?」
テイル「そうそう!妹の原因不明の死に方を知るのも楽しいかもなー!死に際なんて知れたら、最高のエンターテイナーだ!仲間たちにもウケそう!よし、いっちょ手伝ってやるよ。このテイル様が、真実を探すのを!」
私「・・・ありがとう、テイル君。」
テイル「テイル君だぁ?様づけしろよ、俺様についてこい、そしてさっさと死ねよな?」
手を伸ばして部屋の電気をつけた。
蛇口をひねって水を飲んだ。
ゴクゴクと。思いっきり。
私は生き返った。

記録 令和5年4月27日(晴天)
都内某私立高等学校庭内 昼時

「おい、新1年生、知ってるか?伊集院ってやつ・・・。」
「かわいいじゃないか、伊集院、奈々だろ?」
高等学校は山を切り開いて作られた、とある墓地の跡地だった。
石坂を少年2人が自転車で必死にこいで走っていた。
昼時の太陽が彼らを照りつけている。
少年2人「茶色の髪で、かばんに羽を、生やしてて」
少年2人「ロリータって感じの!」
少年2人「そうそう、俺は、なかなか好みだけどな。」
少年2人「あれ?あれそうじゃね?」
石坂を登りきると学校の門が見え、女の子がひとり立っていた。
2人の男子高校生がロリータ風の女の子に話しかける。
童顔で茶色の髪の毛をした制服姿の女の子、
黒い羽の生えた小さめのカバンを背負っている。
少年2人「おーい!ね?学校をさぼって俺らと放課後カラオケでもいかね?」
女の子は華奢な声でゆっくりと微笑み話した
???「ねえ、どっかに赤ちゃんはいないの?」
少年2人「赤ちゃん?、なに赤ちゃんがほしいの?あはは。」
少年2人「おまえなぁ~。」
少年2人「欲しいなら、手伝ってやってもいいけど?」
少年2人はニヤニヤ笑った。
???「私に子宮はない。」
少年2人「おいおい、怒るなよ。そういう意味で言ったんじゃない、勘違いだよ、な?」
少年2人「ああ、勘違い。」
???「じゃあ、あなたたちでいいわ。」
少年2人「??ん?どういうこと?」
女の子は口を開けると頭だけ肥大した。
少年2人「うわああああ!!!化け物!!!!」
バリバリバリ、ゴリゴリゴリゴリ、骨が砕ける音が学校の中まで響いた。
???「ごちそうさま。」



第0章 新崎 薫、私について

私は高校の先生をしていた。
名前を新崎薫と言う。
周囲からは穏やかで礼儀正しいと言われていたのを覚えている。
私には秘密があった。
幼女が好きだった。
愛していた。
世間でいうペドフェリアという言葉が最適だと思う。
もちろん、生徒も対象だ。
卯月の暮方、教えていた童顔の私の生徒にホテルに誘われ、道を踏み外した。自己嫌悪におちいり先生を退職し、無職になった。
貯めていたお金でひとり暮らしをしていたが、生活が上手くいかず、幼稚園で働くことにした。十分に充実した生活をしていた。
だが、ある日、私は幼児でいたしてしまった。
その後すぐに、妹が死んだ知らせを聞いたのだ。
私は思った。「私に罰が下った」と。

第1章 フェアリー火の力 令和5年4月30日 昼前

私はテイルと相談して、妹が見つかった死体現場に向かった。
都内某所、県境の川沿いの草むらについた。橋の高架下には、ホームレスが何人か住んでいるようなトタン屋根と、ブルーシートで覆われたものが見える。
妹は草むらの中で発見された。
仕事姿のままの妹はバラバラ遺体だった。足や腕にも無数の引きずられた傷がついていたのを警察に言われて確認した。
しかし、遺体は保管時に死体袋を開けた時に、居なくなっていたらしい。
現場はまだブルーシートで覆われ、黄色いテープが貼られていた。
未解決事件になりそうだった。
犯人は見つからない。
絶望した。
妹の美雪がが死んだ日。私は幼稚園児とピクニックに行って、私は、いけないことを、してしまったのだから・・・。

テイル「お~!くっせぇ~、死臭がまだすんぜ?遺体がなくても残ってる。」
私とテイルは広い草むらの中のブルーシートがある死体現場についた。
休日は野球やBBQなどをしているような場所だ。
私「なにも・・・臭いがわかりません。」
テイル「おまえは人間くせーけどな!これは人間じゃねえぜ!?」
私「人間じゃない?」
テイル「バッカだなー!!あはは、ほんと人間ってバカ?くくく、あはは。」
テイルはくるくると空を飛びながらご機嫌そうに、私の周りを腹を抱えて笑いながら飛び回った。
私「私にはさっぱり。」
テイル「悪魔の臭いがするんだよ!学校に行ったら、もう死体だらけかもな!」
私「学校?」
テイル「あ、いっけね、口が滑っちまった!よけいなこと言っちゃ、おもしろくならないもんな?はははは。」

その時である。後ろから声をかけられた。
???「お兄ちゃん。」
私「?」
制服を着た童顔のかわいらしい女の子だった。
私は童顔にめっぽう弱かった。

女の子は私に近寄って私を押し倒して、上にまたがった。
股間が女の子の秘部にあたってドキドキしてしまい、自己嫌悪に落ちた。
この姿を誰か人に見られたら、幼稚園の先生の職を失ってしまうとまで考えた。
私「うっ!ど、ど、どいてください!」
やっと出した小さな声は震えてしまっていた。
それでも、聞こえていたに違いない。
女の子は、私の首をゆっくりと両手で絞めた。
だんだんと、きつくなる。
私「な、なにを。」
テイル「あちゃー!おまえ、そいつは悪魔だよ!」
テイルは、女の子の頭上に乗り胡坐をかいて手を顎に乗せている。
助けてはくれそうにない。
私「えっ、く、苦しい・・・。」
意識は遠のいていく・・・
テイル「もー!しょうがねえな!俺が燃やしてやる!」
そうテイルが言うと、私の手がだんだんと熱くなって、女の子は一気に業火に焼かれた。
私「!!??」
女の子「キャッ!!!!いやぁぁああ!!!!あついあついよー!!!!」
女の子は、草むらで自分についた火を消そうと、ジタバタのたうち回ると、ゆっくりと黒く焦げていった。
数分すると炭のように黒焦げになってしまった。
かわいそうになってしまった。
かっぴらいた死体の目を閉じる。
テイル「なにしてんだよ~おまえ、死体にも興味があるのか~?
それとも、もっと痛めつけるのか~?早くしないと固くなっちゃうぞ~あはは!」
私「ち、違います、目が開いてて、苦しんでいるようだったから、かわいそうで。」
テイル「なんだよ、つまんねーの。」
テイルは地面に寝転がって退屈そうに大の字になり、手足をバタつかせた。
テイル「も~!やっちゃえやっちゃえよ、お願いします~!薫さん!面白いところがみたい~。」
私「・・・とにかく、学校へ行ってみなくては。」
テイルはため息をついた。
テイル「は~わかった、わかった、もう日が暮れちまうぜ?早くしろよ?悪魔は夜に動く生き物だから。」

第2章 化け物たち 都内私立高等学校 夕方

妹の働いていた職場へ行く。
東京都某私立高等学校だ。
近隣住民では、名門高校だが、カルト宗教という噂がある。
妹は刑事をしていたが、いつのまにか学校の先生になると言っていたのを覚えている。
事件のことを、誰かが知っているかもしれない。

学校へ向かう石坂を歩いて行く。

途中の道に、うつくしい牡丹の花があった。そろそろ咲きそうである。
テイルは飛んでいる蝶に興味しんしんなようで、鱗粉にクシャミをした。
蝶の色彩や模様のうつくしさに興味があるようだった。
テイル「俺様と同じ羽が生えている。ま、俺様の方が早く飛べるけどな~雑魚野郎、ハハッ」
蝶の周りをぐるぐると高速で回って遊んでいた。

坂道を上ると、学校はあった。
大きい一般的な学校というよりは、立派な2階建ての鉄筋コンクリートの建物のようだ。
学校の門は閉ざされ、看板があった。

看板には、こう書かれていた。
「神を呼んではいけない
神を侮辱してはいけない
神は崇高なものである
神は太陽、神は月を動かし創設したもの
他の神は偽物で信じてはいけない
すべては私たちの神にて世界を埋め尽くす」と。

私「なんだ、この看板の張り紙は・・・。」
テイル「きっもちわりいな~、悪魔め、自分を神だと言ってんのか。なら、俺様も神様になれそうだぜ!しっかし、なんだよ、神ってどの神だよ?」
私「海外の神はひとりですが、日本にはいくつもの神がいます。」
テイル「ほんと変な国。死ねばいいのに。あはっ!」
学校の大きな門を手で動かした。
ガシャガシャ。
鍵がかかって開かなかった。

私「中に入りたいが、入れない、どうしようか。」
テイル「おい、校内に幼女がたくさんいるぞ?お前の大好きな幼女がいるぞ~、こっちに気づいてる。」
私「ほんとうだ・・・窓からこっちを見ているようだ。」
テイル「なんだよ?怖いのか?幼女が!それとも見られて興奮してんのか
?」
私「・・・・そ、そんなことはありません!」
テイルは私の耳を引っ張りながら言った。
テイル「あっやしーな!」

校内に入り妹の死について調べたい。
学校の職員室に電話をして許可をもらおうとしたが、誰もいないのだろうか、つながらなかった。
閉まっている門を登り、中へ入った。
すると制服を着た女の子たちが数人、ふらふらと歩いてきた。
意識は朧気なようだ。

私「私は怪しいものではないです、ちょっと先生方に用事が・・・。」
女の子たち「・・・あ、・・・ふぅ・・・あ・・・。」
女の子たちは、ゆっくり私の方へ歩いて向かってくる。
私「通してもらえませんか?」
女の子たちは顔を上げると声をそろえて言った。
女の子たち「「「「死ね。」」」」

さっきみたいに殺される!と思った私は、とっさに周りを飛んでいるフェアリーを捕まえて握った。
テイル「うお!」
フェアリーの力を使って
襲ってくる幼女を数秒間、焼き払った。
女の子たちの叫び声と苦しんでいる顔が見え、私の眉間にしわが寄る。
テイル「ヒャッハー!!!いい眺めだぜ~~~!!」
火はさらに勢いを増した。

顔面、四肢、いろいろなものが吹っ飛び原型を無くす。
3人、4人、5人、
次々に、うつくしい肌や顔が、やけど傷をつけ、黒くし燃やして、人間というものを壊した。

私「ハァハア・・・・。」
火の熱さのせいか精神の疲弊のせいか、全身から汗が出た。
顔からも汗が垂れるのがわかった。
テイル「なんだ、なんだ?おまえこんなんで罪悪感を感じちゃってんの?それとも興奮しちゃってんの?」
返事をする余裕すらなかった。

しばらくその場に内股で座りつくしていた。
学校のトイレの水道で顔を洗い、水を飲み、死体を思い出して気持ち悪さで吐いた。
服だけではなく洗った手さえも、死体の焼ける臭いが、まだする。
地面に座って精神を落ち着かせた。学校内部に進んでいくと、また制服をきた女の子たちが、一人、二人と現れる。

テイルを使って、焼いた。
大好きな幼女が、私の手で壊れて死んでいく。
とても悲しくて苦痛だった。
悲痛で興奮するような喘ぎ声を上げられては、自己嫌悪におちいる。

テイル「特に顔がかわいいと手が止まるね!おまえ!」
私「そ、そんなことは、ありません。」
幼女たち「助けてッ!」
中には、言語を話す子もいたのである。
私「う、もうやめたい、これ以上、殺したくない!」
テイル「あっ!あはははは!!あははは!!燃えろ~~~
どんな気分だよ?俺の力じゃなくても、ナイフで殺せるかもよ?
女の肌はやわらかいらしいぞ~!!!!」
私「酷い・・・。」

やっとのこと職員室にたどり着くと壁には校内の案内図があった。
この学校には礼拝堂というものがあるようだ。
テイル「礼拝堂にいってみようぜ!そっちの方向から、臭いがする。悪魔の、くっせー、臭いが!」
私「はい。」

幼女たちは「死にたくない、助けて!!!」と、いいながら私に向かって首を絞めようとしたり、噛みついてきたりした。
私は最初は焼いてしまったが、罪悪感でいっぱいになり逃げだしたくて、帰りたくなった。
しかし、異常な状況に家に帰るわけにはいかなかった。
私「来ないで!!私に近づかないで!!」
必死に振り払い、壁にぶつけたり、押さえつけたりしても、また向かってきた。
急いで礼拝堂に走った。
女の子たちの想像のつかない腕力で止められ、腕や足を噛まれた。
そしてテイルがニヤニヤと、私の手から勢いよく炎を出し焼いた。
幼女「たたたた助けてよー!何もしてないっ、どどどどどうしてこんなふうになっちゃったののののの?!」
私「ごめんなさい、ごめんなさい!」
テイルは私の手に力を込めて燃やした
テイル「燃えてきたぜぇ~~!!」
フェアリーという生き物は、楽しそうだった。
私「・・・はぁ・・はぁ、な、なんてことをするんですか。」
テイル「びびりだなぁ、おまえ震えすぎ!!それに、俺様がやらなきゃ、おまえ殺されんぞ!ありがたく思ってほしい。」
私「・・・ですが。」
私は手の震えが止まらない。
ゆっくりと女の子たちは、昔、見た海外映画のゾンビのように近づいてくる。

幼女たち「こここ殺さないいいいでででで?」
次から次へ、女の子たちはゆっくりゆらゆらと歩いて寄って来る。
女の子は火でぐちゃぐちゃになりながら、私を哀願した目で見る。
うっすらと涙が見える。
私「!!?う、ううっ・・・私は、どうしたら・・ううッ!!!」
頭を抱え悩む私にテイルは、私の手を自動的に動かすと手から炎を出して幼女をまた燃やした。
テイル「あーあ、おまえ殺されちゃうよ!ダイの大人が幼女に泣かされてんじゃねーよ!傑作!フェアリーの一族でアンケートをとったら、1位を獲得だ!!!あはは!アンケート1位!おめでとー!」
テイルは、意地悪く私の顔面の前で腹を抱えって笑った。


第3章 捜索は続く

テイル「悪魔にでも殺されたんじゃねえ?おまえの妹。」
私「・・・かもしれません。テイル君、わたしのせいで、ごめんなさい。」
テイル「あーあ、そうそう、おまえのせいで俺はお疲れだぜ!」
私「すみません。」
テイル「俺様だったらこんなヤベー高校なんて行かないし、帰るね!ま、悪魔なんて全然、怖くないけどなー!でも、悪魔からしたら人間なんておもちゃみたいなものだからな、なんでそんなやつ崇めているんだか。ばぁーかだよね。ほんと人間、もとい、おまえも。」
私「・・・し、死にたい。」
テイル「はぁ?死ねなかったくせに!何言ってんだか!それに、俺と契約したんだから死ねないよーん!ちゃんと真実を知って苦しんだり悩んだり、泣いたりするまで死なないようにしろよ?」
私「そうですね、死なないようにします。」
テイル「契約中は、おまえが死ねば俺様も死ぬ。約束が終わったら俺様はお前が死ぬのを見届ける!楽しみだなー!ばんざーーーい!あはははは!」


第4章 伊集院 香織 について 
(伊集院 香織視点)

双子の妹の奈々は行方不明だ。ずっと仲良かった私たち。楽しいことも悲しいことも、全部お互いを分かち合っていたつもりだった。
東京の某有名私立高校に今年から入学した奈々。
たのしそうな高校生活を送っていたと思う。
しかし、学校に行ったきり帰ってこなくなった。

妹を心配して今日は妹の制服を着て学校に夕方、侵入した。
茶色の髪型にツインテールをして、カバンは妹とお揃いの黒い羽の生えたかばんを背負っている。おそろいのカバンだ。

香織「何か手がかりがつかめるかもしれない、潜入捜査よ!」

学校に潜入し見た光景は、焼けた人間の死体だらけだった。
香織「な、なにこれ?く、くさい・・・これ、人が焼けてるの
?」

叫びたくなるのを必死で抑える。
口元を手で押さえて、叫ぶのと気持ちが落ち着くのをその場で待った。
見つかってはいけないような気がしたからだ。

隠れながら校内を焼けた無数の死体の中、詮索することにした。
女の子のような叫び声が遠くから聞こえた。
恐る恐る、その方へ向かう。
震える足をゆっくり前へ動かす。確実に。
長くて、夕日に帯びた廊下を、進んでいく。

第5章 校長室 
(校長視点)

夕方になると校長は校長室の小さな祭壇に祈りを捧げる。
校長の日課だった。
校長は別にこの学校の神と呼ばれるものを信じているわけじゃない。
職に対する給料と地位のため、なにより神をあがめる大勢の人との関係が心地が良かったから、人前では信仰心が、あるふりをしていた。

校長「神よ、我らを導きたまえ、今日も平和に我らを救いたまえ・・・。」
今日、校長はお祈りをした。
最近、生徒が行方不明になることが頻発していた。
先日で、4人目だった。
普段は信じていない神にでも、すがりつきたい気持ちだった。

ドアが開くような音がして後ろをゆっくり振り返ろうとしたときには、もう遅かった。
校長の胸には弾丸が抜き出て血が噴出していた。
校長「だ、誰だ。」
地面に倒れてから、かろうじ出した声で問うと
???「私は奈々。この学校の神と同化するもの」と女の子は答えた。
意識朦朧の中、顔だけを動かして名札を見た
「伊集院 奈々。」
かろうじて息をして最後に言った。
校長「いったい・・・な、なぜ・・・。」
奈々は銃を手でくるくるするとフッと煙を消した。
奈々「学校なんて大嫌い、神様にお願いしたの、みんな死んじゃえって。」
その言葉を聞き、意識を失った。

第6章 礼拝堂

テイル「ついたぜ?」
私「はい。」

神を祭る、広い広い祭壇室があった
ドアはガラスでできており、入らなくても中の様子が判った。
白い大理石の床に白い天井、体育館のような広さだった。
中央奥にはナニカを祭っている。
祭壇が見え、目の前の制服を着た数人の女の子たちが、ナニカにいのりを捧げていた。
そのナニカをよく見ると、卵のような形をした石が祭ってあった。

私はゆっくりとガラスのドアに触れ、入ろうとした。
「わっ!」と後ろから小さい声で脅かされた
私「わっ!!誰!?」
慌てて後ろを振り返ると、私より15センチくらい背の低い女の子がいた。
茶色の髪でツインテールに黒い羽の生えたリュックを背負っている、かわいい女の子だった。
私は顔が赤くなる。
ある日、幼女に誘われたあの子に雰囲気がそっくりだったから。
不覚にもドキドキした。
???「ふふ!お兄さん、ずっとつけてたんだよ?」
私「えっ・・・。」
???「だからいろいろ、状況は判断できた!あぶない人じゃないってね!」
私「・・・。」
???「その妖精みたいなのと、ここに何しに来て、何を知ってるの
?」
私「私は、妹が亡くなって、調べに来たら、こんなことになっていて・・・。」
???「そっか、偶然だね、私の妹もこの学校に4月から通っていたんだけど、行方不明になって調べに来たの。」

テイル「あははははは、薫が、あぶない人じゃないって!一番危ないやつだよ!」
私は眉間にしわが寄った。
テイルは嬉しそうだ。
私は、かつて先生だった時のようにキリっと低い声で話した。
私「コラ、テイル、女の子の前で失礼な発言をするのではありません。」
テイル「は?おまえ、テイル君だろ?テイル様だろ?!なに女の子の前で
かっこつけてるんだよ!」
私「かっこつけていません。」
テイル「うわーうぜぇ~~!」
香織「私は香織って言うんだ、よろしくねお兄さん!」
私「うっ・・・。」
香織のかわいさに見惚れてしまう。
テイルはすかさず耳元に来て嫌悪しながら、こっそり言った
テイル「性欲モンスターきもぉ~~~!!!」

 
第7章 神に捧げるモノ

祭壇室のドアを開けた。

祭壇には死んだはずの妹、美雪と、
もう一人、隣にいる香織という女の子と瓜二つの女の子がいた。

私「美雪・・・どうしてここに?」
美雪「・・・。」
美雪は、つややかな金髪でほんとうにきれいな顔をしていたが、髪はボサボサになっていて全身傷だらけだった。
眼球は左右違う方を見てギョロギョロしていた。
すでに美雪は自我も意識もないと、一目で理解した。

香織「奈々!」
香織にそっくりな女の子がいた。黙ってこちらを見ていた。
じっとりと。
当の香織から唾を飲み込む音が聞こえた。
きっと頭が良い子なのだろう、この状況を把握したようだ。

私「美雪ッ。」
愛する妹、美雪に話しかけた。
わずかでも意識があって欲しいと思ったからだ。
勘違いかもしれないから確かめたかった。
しかし、淡い期待はやはり壊されたのだ
美雪「あはは、あはははは。」
か細い声でくるくると美雪は回って笑った
静かに奈々はその美雪を見ていた。
私「なんで?こんなことになっているんだ?」
美雪「なんででしょうね?お兄ちゃんんん。」
両手をあげ、ゆっくりを私にむかってくる
美雪「う、はあ、はあ、ふう、ふう、・・・・・・死んで?お兄ちゃん、神様が私たちを求めていらっしゃるからららら。」
美雪はおかしくなってしまっていた。

テイル「わーーー!もしかして兄弟対決?!笑える!」
テイルはクルクルと、私の周りをまわって喜んでいる。
私「や、やめてくれ、どうしてこんな・・・。」
私は美雪から一歩下がる。
美雪は私に近づいて、首をつかんで締め始めた
香織「お兄ちゃん、抵抗しないと死んじゃうよ!?」
妹を殺せない。
首を絞められながら涙が出る。
笑顔で私に向かってくる妹を思い出した。
つらい。地獄のようだ。
テイルは私の手を自動的に上げた。
私は自分の手を下げようと必死になった。
私「テイル、やめてくれぇぇぇぇ!!!!」
テイル「こんな最高なことはねえよ!・・・死んで!?死ねぇえええ!!!」
手が熱くなり、美雪は業火に焼かれた。
美雪「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
人だと思いたくないような大好きな妹の叫び声が、礼拝堂の中を響かせた。
私の眉間のしわがよりいっそう強くなった。
涙が止まらなくて、もう、前が見えない。
かわいかった妹、笑顔の妹、刑事になったときに一緒にお祝いをした妹。
いろんなうつくしくてかわいい妹とはかけ離れた、黒くて醜くなった美雪が涙で歪んで見えた。
再度、私の心をぐちゃぐちゃにした。

妹は死んだ。2度死んだ。
最後は私の手によって。

香織にそっくりな女の子、奈々は喜んでいた。
奈々「ふふ、ふふふ、ふふふ。神は現れるよ。みんなを生贄にして、
私も、もうすぐ死ぬから。みんな安心して死んでちょうだい。」

私は、まだ死ぬわけにはいかない。この悪魔を消滅させるまでは。

第8章 伊集院 奈々

人なんて信用したことがない
姉を信用したことなんてない
楽しかった時もあったかもしれない。
でも苦痛の方が多かった。 

姉が大好きだった。
双子のお姉ちゃん、香織が。
だから新しいお父さんの性的な暴力から、学校の先生の性的な暴力から、友達から、同級税の嫉妬から、いつも姉をかばっていた。
平気なふりをしていたけれど、本当は、人と争うのが怖かったから、ずっと我慢をしていた。

良い高校に行って、いい大学に行って、立派な大人になることで幸せになれると思っていた。
いつからか周りがバカに見え始めた。
「みんな死ねばいいのに。」
そう思い込んだ。

日本にはたくさんの神様がいる。
嘘の神様だろうか?
いいえ、神様の発症には理由がある。
どこかにいる。
そう思うようになっていた。
「自分に祈りを捧げ、対価を欲する」神と呼ぶ悪魔を見つけた。
だから、この学校に入学した。


奈々は悪魔の格好の餌食となって取り込まれてしまった。

第9章 悪魔との契約


奈々はゆっくりと神の祭壇の周りを歩く、

奈々「私は、世界の平和と人々の幸せを願いました。あらゆる悪を消してしまおうと思いました。だからみんな死ねばいいの。だって、みんな悪なんだから。」

私「・・・。」
香織「奈々・・・、それで、人を操ったり殺したりしているの?」
奈々「そんな風にいってはいけない、私は香織を助けたいだけだった、殺したいわけではないの。」
香織「なんなの、その正義感と責任を他人に押し付けるさまは?」
奈々は香織を見て止まった。
奈々「何も知らないくせに・・・。」
うつむいて奈々は言った。
香織「・・・ッ。」
香織は奈々を見て、涙ぐんだ。
奈々「人間は醜い、だから悪を消してしまうのよ。」
香織「そんなことさせない。」
香織はキッと妹の奈々を睨んだ。
奈々は一瞬、怯えたかのように見えたが、平常な顔に戻って、ふふっと、笑った。

双子の二人はとてもかわいかった。
どちらがどちらも区別がつかないが、かわいかった。
こんな状況でも私はそう思った。
そして自己嫌悪しながら言った。
私「かわいい子たちに喧嘩をしてほしくない、できれば仲良くしてほしい」
テイル「こんな状況で何考えてんだよ!きっもいぞ~!!!」
奈々は、私を見て鼻で笑って話しを始めた。

奈々「神の力を使えば、私の手は血に染まることはないし、とても気持ちがいい。どんどん人が私にひれ伏していく。そして嫌いな、間違っているやつが死ぬの。すばらしいわ。」
香織「なんて正義と欺瞞なの、そんなんじゃなかった!奈々は。」
奈々「あなたのためにやってるの。」
香織「こんなの頼んでない!間違っている!」
奈々「・・・私は間違っていない。愚かではないわ!」
香織「奈々・・・どうして、悪魔と契約なんてしたのよっ?!」
香織は泣きながら叫んだ。
奈々「悪魔?神だわ。」

奈々「香織?見て、そろそろ始まるわ。」

祭壇の神をあがめている何かの文様と卵みたいな形のした石が光りだした。

私「どうしたらいいんだ、二人が喧嘩をしている。」
テイル「バカだなー、あの、奈々という女は、悪魔と契約しているから、感情的になって自分を制御できなくなってるんだよ、人間ってほんと脆くてバカだよな。」
私「え?」
テイル「もう悪魔の欲しい魂と生贄は溜まってるから、止められないかもな?」
私「・・・それはいったいどういう・・・。」


第X章 
第10章 世界の終わりへの序章

奈々は卵みたいな形のした石に触れ、卵に取り込まれた。

私たちは、テイルの言った通り外に出て、空を見上げた。

橙色の空は赤黒くなっていた。

東京都某所上空

真っ赤な夕焼けの空が裂け、巨大な卵が出現した。
地面に卵が落ちるとパカっと割れ、中から無数の赤ん坊が現れた。
大きさは、11メートル、15メートルだったり、さまざまであった。
数は数千、数万である。
巨大な赤ん坊たちは「オギャァ、オアギャアー」と呱呱の声をあげると、人間たちを歯で噛み砕いてボリボリボリボリと食べた。
人々の断末魔や奇声が響く。
「キャー!!!!」
「やめて!!!」
「なんなんだ、これは!!?」
「誰か、誰か助けてくれ!!!」

テイル「香織の妹のせいで、地球が壊れるぞ!!あはは!みんな死ぬ、死ぬぞ~~?俺は、さっさとフェアリーのところへ帰ろっと。悪魔が来ないところにさ!」
香織「奈々・・・ごめんなさい、そうよ私のせいよ。」
私「ちがいます、香織さんのせいではありませんよ。」
テイル「は~?なんだよ、おまえのせいでもあるんだぞ、薫。おまえがさっさと悪魔女を殺さないからだ!」
私「すみません、でも私は・・・殺したくありませんでした。」
テイル「ほんとバカでダッセー!会った瞬間に殺せばよかったんだ
!そうすれば、自分の妹も死ななくて済んだのに。」
私「・・・!!!!そ、そんなひどい。」
香織が私の両腕をつかんで、上目遣いで見た。
香織「こういう時は、最後まであきらめちゃだめだよ!絶対、あきらめなければ、どうにかなるって!」
私「香織さん!そうですね!香織さんを信じましょう。」

どんな絶望でも諦めてはいけない、そう信じた。

テイルは白い目で私を見た。
テイル「きもいんだけど、ほんとにおまえってやつは。」


第11章 私に見えるもの

私は妹の黒く焦げた死体を、抱きかかえた。

真っ赤な空が見える。
地獄が始まっているのを感じた。
空は赤黒く、秩序や何かが壊れた世界になっていた。

テイルはくるくるを私の周りを飛び交い言った。

テイル「ま~俺様は、たのしかった、たくさん人殺しが見られて、楽しかった!さあ、真実も知れたし、約束通り、安らかに契約通り、死んでくれよ!俺もさっさとフェアリーの一族のところに帰りたいし!」
私「そうですか。」
テイル「俺様・・・短い間だったけど、なんか楽しくないしな~今は。」
私「そうですか。もう、死にます。」
テイル「・・・おう!じゃあ、死んでくれ、薫!」
私は何も言わず、蚊を掴むように片手で握りつぶした。
テイル「ギャッ!!!」
私の手から紫の血が噴出した

香織「お兄さん・・・。」
私「ごめんなさい、テイル。私は死なない、どんな世界でも生き延びて見せます。」

第12章 終わり

世界は混沌に包まれた。それでも人間は生き延びるすべを探し求める。



第Y章

第10章 決意の炎

奈々は卵に祈りを捧げた。
奈々「神にわたしたちは愛されるのよ?止めないで。」
私は力を込めて手を挙げて「テイルッ!!!」と叫んだ。
テイルは、嫌そうな顔をして舌打ちすると、私に力を送り、奈々は火で燃えていく・・・。
奈々「殺そうと思ったのに!生きようとするのか。」
香織「奈々、もうやめて!」
奈々「裏切者!!!あんたのためにやったのに!すべて!
!あんたのために!裏切者!!!」
私は黙って燃やす。
奈々「いやあああ、痛い!!!許して!痛いわ!!!ごめんなさい
!!!」
私「・・・・ッ。」
辞めなかった。
奈々を燃やした。
苦しんで、謝っても、泣いても、焼くのを辞めなかった。
奈々は業火に焼かれた。

ことは終わったかのように思った。

香織は奈々に近づいた。
「奈々、私は、私は知っていた、お父さんのことも、先生のことも、酷い目にあっていたのを知っていた。ごめんなさいずっと、だまっていて、ごめんなさい、お願い、生き返って。奇跡を起きて。」
私「・・・。」
テイル「バカだな、神なんていないんだよ。」
香織「私、奈々がいなくなったらなにもできない、なにもない、私は奈々を、妹を、愛してた、でも何もしなかった」

「奇跡を起きて。」
その通り、祭壇の卵は光輝いた。

卵が奈々を取り込んだ。

卵に手足が生え顔が生え、まるで母体のように人間になり、腹部が膨らむ
香織「奈々?」
妊婦の母体の腹が縦に裂け、死んだはずの奈々がたくさん出てきた。
香織「奈々!」
香織は奈々に近づくと、奈々に頭をかみちぎられ、首から下の胴体だけになった。

奈々から黒い羽が行く数も生え、空へ飛び立った。
そして、町を歩いている人々を食べはじめた。

第11章 崩壊

世界は女神によって滅ぼされた。
生物は一度死に、また新たな生物に成り代わる。



第Z章

第10章 諦め

私はフェアリーを使って、美雪を燃やして殺した。
もう、妹は、愛する妹のことは諦めた。

奈々は、焦って美雪の死体の一部を卵の中へ押し付けた。
すると美雪の死体は中へと入っていった。

奈々「私のかわいい子宮ちゃん。」
私「いったい、なにを?」

奈々「みんなみんなひとつになりましょう。」

卵の形をした石は巨大化した。
卵にひびが入り、割れると、中から怪物が現れた。

6本の羽が生え、臨月のような腹をした裸の美雪だった。
羽の生えたソレは、罵声をあげ、奈々に突進した。

怪物は奈々の四肢をまず食っていく。
赤ちゃんが初めて何かをしゃぶるように。食った。
普通なら苦痛な表情をしたり絶叫したりするだろうが、奈々は喜び顔はまるでとろけて奇異な感じがした。
奈々「私を食べて、大きくなるのよ?私の赤ちゃん。」
なにを言っているのかわからない。
美雪は奈々を食っている。
テイル「じ、地獄だな、さすがの俺様も勝てるかわからない。」
香織「に、逃げましょう今のうちに!」
テイル「おう!」

私たちは逃げた。
祭壇室から生き延びるため。
世界がどうなろうと知らない。
きっと誰かがどうにかしてくれる。

第11章 他力本願の未来

海外から日本へ核兵器が飛ばされた。何発も打ったが無意味だった。
そして人間は自ら作った兵器によって地球ごと半壊した。
化け物になった美雪は、まだ生きている。
生き延びて逃げている人を食料として生き続けている。



第A章

第2章 化け物たち 都内私立高等学校 夜

妹の働いていた職場へ行く。
東京都某私立高等学校だ。
近隣住民ではカルト宗教という噂がある。
妹は刑事をしていたが、いつのまにか学校の先生になると言っていたのを覚えている。
なにかを誰かが知っているかもしれない。

私は段ボールにしまっておいた妹の遺品を調べた。
写真や手帳があった。
手帳に手がかりがあるかもしれないと思ったのだ。
ペラペラとページを見ると、
刑事のころの証明写真が出てきた。
写真の裏にはメモがあった。
「都内私立高等学校、捜査」と。
写真が挟んであったページには、走り書きのメモが書いてあった。

「3月1日、少女行方不明の事件の捜査を追う。4月から潜入することになった。童顔の女の子とあった。人間ではない奇妙なできごとが起こるようになった。私の身分がバレてしまった。殺されてしまうかもしれない、兄さん、ごめん。」

学校へ向かう石坂を走った。ゼエゼエと息がきれるほどに。
テイル「おーい、待てよ!ゆっくり行こうぜーーー!」
後から、へとへとと、飛んでテイルが追っかけてくる。

坂道を登りきると、学校はあった。大きい一般的な学校というよりは、立派な2階建ての鉄筋コンクリートの建物のようだ。
学校の門は閉ざされ、看板があった。


看板にはこう書かれていた。
「神を呼んではいけない
神を侮辱してはいけない
神は崇高なものである
神は太陽、神は月を動かし創設したもの
他の神は偽物で信じてはいけない
すべては私たちの神にて世界を埋め尽くす」と。

私「なんだ、この看板の張り紙は・・・。」
テイル「きっもちわりいな~、悪魔め、自分を神だと言ってんのか。なら、俺様も神様になれそうだぜ!しっかし、なんだよ、神ってどの神だよ?」
私「海外の神はひとりですが、日本にはいくつもの神がいます。」
テイル「ほんと変な国。死ねばいいのに。あはっ!」

大きな門を手で動した。
ガシャガシャ。
鍵がかかっている。

私「中に入りたいが、入れない、どうしようか。」
テイル「おい、校内に幼女がたくさんいるぞ?お前の大好きな幼女がいるぞ~、こっちに気づいてる。」
私「ほんとうだ・・・窓からこっちを見ているようだ。」
テイル「なんだよ?怖いのか?幼女が!それとも見られて興奮してんのか
?」
私「・・・・そ、そんなことはありません。」
テイルは私の耳を引っ張りながら言った。
テイル「あやしーな!」

校内に入り、妹の死について調べなければいけない。
きっとなにかがあるはずだ。

警察に電話をした。
妹のことについてだ。
はじめは警察官は信じなかったが、身内ということもあって別の部署に通達しておくとのこと。
現場からは立ち去るように指示された。

警察官の指示を無視し、学校の閉まっている門を上り、中へ入った。
すると制服を着た女の子たちが数人、ふらふらと歩いてきた。
意識は朧気なようだ。

私「私は怪しいものではないです、ちょっと聞きたいことが・・・。」
女の子たち「・・・あ、・・・ふぅ・・・あ・・・。」
私「職員室まで通してもらえませんか?」
女の子たちは顔を上げると声をそろえて言った
女の子たち「「「「死ね。」」」」

私の周りを飛んでいるフェアリーを捕まえて握った。
テイル「うお!?」
フェアリーの力を使って、
襲ってくる幼女を数秒間、焼き払った。
ゴォッと火の音がする。
女の子たちの叫び声と苦しんでいる顔が見え、私は眉間にしわが寄る。
テイル「ヒャッハー!!!いい眺めだぜ~~~!!」
火はさらに勢いを増した。

顔面、四肢、いろいろなものが吹っ飛び原型を無くす。
3人、4人、5人、次々にうつくしい肌や顔をやけど傷をつけ黒くし燃やして、人間というものを壊した。

私「ハァハア・・・。」
火の熱さなのか精神の疲弊なのか全身から汗が出た。
顔から汗が垂れるのも、わかった。
テイル「なんだ、なんだ?おまえこんなんで罪悪感感じちゃってんの?それとも興奮しちゃってんの?」
返事をする余裕すらなかった。

しばらくの間、座り込んで冷静さを取り戻した。
学校のトイレの前の水道で顔を洗い、水を飲み、気持ち悪さで吐いた。
洗った手からも服からも、死体の焼ける臭いが、まだする。
座り込んで精神を落ち着かせた。
学校内部に進んでいくと、制服をきた女の子たちが、1人、2人と現れる。
大好きな幼女が私の手で壊れて死んでいく。
とても悲しくて苦痛だった。
悲痛な興奮するような喘ぎ声を上げられては、聞き入ってしまう自分に、自己嫌悪した。

テイル「特に顔がかわいいと手が止まるね!おまえ!」
幼女たち「助けてッ。」
中には、言語を話すものもいたのである。
私「う、もうやめたい、これ以上、殺したくない!」
テイル「あっ!あはははは!!あははは!!燃えろ~~~
どんな気分だよ?俺の力じゃなくてもナイフで殺せるかもよ?
女の肌はやわらかいらしいぞ~!!!!」
私「酷い・・・。」


職員室にたどり着くと、
まだあった妹の机らしきものを見つけた。
先生だった妹の職場の机には、花瓶が添えられていたから、すぐにわかった。
不審なものはないか、情報はないか、机を開ける。
妹の机の引き出しの中には何もなかった。
一枚だけ「礼拝堂のお祈りの仕方」というインクで印刷されたプリントを見つけた。

「神へのお祈りの仕方、
手を上げ、神への忠誠を祈り3回歌いながら回り神を呼ぶ。
やってはいけないお祈りの仕方、
手を両手に合わせ反時計回りに周り7番の讃美歌までを歌う」

意味がわからないが、きっと大事なものだろう。
私は、プリントをポケットに入れた。

職員室の壁には校内の案内図があった。
校長室が隣にあったので、念のためノックをして入ることにした。
ノックをしても返事はなかった・・・。
私「入りますよ。」
そこには怪物にでも荒く食われたように、男性の肉片が転がっていた。
私は、なにもせずそっと扉を閉めた。
テイル「おまえって、ほんとひどいね~幼女とのこの違い!あはは。」
私「いえ、そんなことは・・・ただ、急いでいるだけです。」
テイル「はぁ~?ほんとさいあくだな、おまえってさ!」
テイルは、クルクルと私の周りを回って喜んでいた。

この学校には礼拝堂というものがあるようだ。

向かう廊下で、女の子たちが「死にたくない、助けて!!!」といいながら私に向かって首を絞めようとしたり、噛みついてきた。
私「来ないで!!私に近づかないで!!」
走りながら逃げて振り払った。
避けて、女の子たちの間を走って抜けようとした。
急いで礼拝堂に走った。
しかし、女の子たちの想像のつかない腕力で止められ、腕や足を噛まれた。
幼女「たたたた助けてよ!何もしてない、どどどどどうしてこんなふうになっちゃったののののの?!」
幼女はもう人間ではなく海外映画で出てくるゾンビのようだった。
私「ごめんなさい、ごめんなさい。」
テイルは私の手の平を熱くさせて一気に爆発させる。
テイル「燃えてきたぜぇ~~!!」
私「・・・はぁ・・はぁ、な、なんてことをするんですか。」
テイル「びびりだなぁ、おまえ震えすぎ!!それに、俺様がやらなきゃ、おまえ殺されんぞ!みよ、フェアリーの力を!すごいだろ!」
私「・・・ですが。」
手の震えが止まらない。
ゆっくりと女の子たちは、海外映画のゾンビのように追いかけてくる。

女の子たち「コロス、コロス、コロス・・・。」
次から次へ、自我がない女の子たちが来る。
すかさず、テイルは私の手を自動的に上げ、燃やした。
女の子は火でぐちゃぐちゃになりながら、私を哀願して見ている。
私「!!?う、ううっ・・・私は、どうしたら・・ううッ!!!」
頭を抱え悩む私にテイルは私の手を自動的にまた動かすと、
手からさらに炎を出し、女の子たちを燃やした。
テイル「あーあ、おまえ殺されちゃうよ!ダイの大人が幼女に泣かされてんじゃねーよ!傑作!なさけーねー顔っ!フェアリーの一族でアンケートをとったら、1位を獲得だ!!!あはは!アンケート1位!おめでとー!」
テイルは、意地悪く私の顔面の前で腹を抱えって言った。


第3章 憶測

テイル「悪魔にでも殺されたんじゃねえ?おまえの妹、美雪ってやつ。」
私「かもしれません、なにか祭っている祭壇があるようです。向かって調べてみましょう。テイル君、私のせいでごめんなさい。」
テイル「あーあ、そうそう、おまえのせいで、俺はお疲れだぜ!」
私「すみません。」
テイル「俺様だったらこんなヤベー高校、帰るね!警察のいうとおり入らなきゃよかったんだよ!死にたくねーもん、俺様。」
私「妹は、きっとまだ刑事だったんだ。それで潜入捜査をして教師になったのかもしれない。」
テイル「はぁ?何言ってんだか。」
私「あくまで仮説です。」
テイル「とにかく気をつけろよ、怪物がいるようだし、さっきの男みたいに食われて死ぬなよ?契約中は、おまえが死ねば俺様は死ぬ。約束が終わったら俺様は、お前が死ぬのを見届ける!よし、これで良い。」

 

第4章 伊集院 香織 (香織視点)

双子の妹の奈々は行方不明だ。
東京の某有名私立高校に今年から入学した。

4月のある日、学校に行ったきり帰ってこなくなった。

今日は妹の制服を着た。
人がいなくなった学校に夕方侵入した。

茶色の髪型にツインテールをし、カバンは妹とお揃いの黒い羽の生えたかばんを背負う。おそろいのカバンだ。

香織「何か手がかりがつかめるかもしれない、潜入捜査よ!」

しかし、香織が見た光景は、焼けた人の死体たちだった。
香織「な、なにこれ?く、くさい・・・これ、人が焼けてるの
?」

叫びたくなるのを必死で抑えた。

隠れながら校内を無数の死体の中、詮索することにした。
たまに女の子のような叫び声が遠くから聞こえる。

恐る恐る、その方へ向かう。
ゆっくりと。

第5章 伊集院 奈々 (奈々視点)

夕方、校長室へ向かった。
校長は電話をしていた。
警察からの電話だったようで、今からこちらに向かうとのことだった。
電話越しから聞こえた。

校長は後ろから食べて殺した。
まずかった。
汚い生き物はぼろ雑巾のような、土の味のような、カブトムシの味がした。

うざかった校長は殺した。他の教師は私のしもべ。
あの金髪教師は私を怪しんでいたから教室で殺そうとした。
殺し損ねたが。
いったいどこにいるんだか。
だけれども、あの傷、もう生きてはいまい。
しかも、行方不明と言われていたが、死んだという噂もある。
あの傷じゃあ、もう、死んでいるだろう。

4月に入学してから、この学校の悪魔と出会って契約した。
以前の主はもう契約通り、願い事を叶えて死んだらしい。
私も、みんなが死んだら、死ぬ。
あとちょっと。
これもすべて香織のため。

礼拝堂で椅子に座って石の卵をみつめる。
奈々「もうすぐ、神が産まれる。」


第6章 礼拝堂

テイル「ついたぞ、礼拝堂に。」
私「はい。」

神を祭る広い広い祭壇室があった
ドアはガラスでできており、入らなくても中の様子が判った。
白い大理石の床に白い天井、体育館のような広さだった。
中央奥にはナニカを祭っている祭壇が見え、制服を着た女の子たちがナニカにいのりを捧げていた。
ナニカをよく見ると、卵のような形をした石が祭ってあった。

私は、ゆっくりとドアに触れ、入ろうとした。
「わっ!」と後ろから小さい声で脅かされた。
私「わっ!!誰!?」
慌てて後ろを振り返ると、女の子がいた。
茶色の髪でツインテールに黒い羽の生えたリュックを持っている、かわいい女の子だ。
私は顔が赤くなる。
昔、誘われた子に雰囲気がそっくりだったから。
不覚にもドキドキした。
???「ふふ!お兄さん、ずっとつけてたんだよ?」
私「えっ・・・。」
???「だからいろいろ、状況は判断できた!あぶない人じゃないってね!」
私「・・・。」
???「その妖精みたいなのと、ここに何しに来て何を知ってるの
?」
私「私は、妹がなくなって、調べに来たら、こんなことになって・・・。」
???「そっか、偶然だね、私の妹も、この学校に4月から通っていたんだけど、行方不明になって調べに来たの。」

テイル「あははははは、絶対、あぶない人じゃん、おまえ、大丈夫な人じゃないよ?こいつ!一番、危ない人だよ!」
???「えっ」
女の子はキョトンとした。
私は眉間にしわが寄った。
嬉しそうにするテイルに。
私「コラ、テイル、女の子の前で失礼な発言をするのではありません。」
先生のようにキリっとした声で注意した。
テイル「は?おまえ、テイル君だろ?テイル様だろ?!なに女の子の前で
かっこつけてるんだよ!」
私「かっこつけてません。」
テイル「うわーうぜぇ~~!」
香織「私は香織って言うんだ、よろしくね、お兄さん。」
私「うっ・・・。」
香織のかわいさに見惚れてしまった。
テイルは、すかさず耳元に来て嫌悪しながら、こっそり言った。
テイル「性欲モンスターきもぉ~~~!!!」

第7章 悪魔VSフェアリー

礼拝堂の椅子に女の子は静かに座っている。
夕日が差し込み、1枚の絵のように、うつくしかった。

香織「奈々。」
奈々「香織、お姉ちゃん。」
香織「どうしてこんなことに。」
奈々「香織は何も知らなくていいの、なんでも知ろうとすることはあまり賢いことではないわ。」
香織「なんでも一人で背負って、本当に迷惑なのよ。」
奈々「私はあなたのために、やっているの。」
香織「そんなの!頼んでない!正義のためとか欺瞞よ。」
香織は奈々がどうしてこんな風に悪魔に取り込まれてしまったのか、うすうす気づいていたが、言葉にはしなかった。
見たくなかった。
知らないふりをしていた。
奈々はムッとした顔で香織を見ると、椅子から立った。
奈々「ま、もうみんな死んじゃうし、どうしようもないね。」

その時、私の後ろにいたテイルから叫び声がした。
テイル「ぐええええええええええええええ!!!!」
私「テイル君、どうしましたか?大丈夫ですか??」
テイル「悪魔だ!悪魔の力が!!!くそっ!」
テイルは地面で、のたうち回っている。
奈々は手を挙げて、手を振ると、テイルはそっちの方向の壁に打ち付けられた。
奈々「ふっ、フェアリーと契約してるのか?いったい誰なんだ?お前らは・・・。」
私「私は、あなたが殺した美雪の兄です。」
奈々「ふーん、かたき討ちってやつですか・・・ため息がでちゃう。」
私「いいえ、違います、私は、なぜ死んだか知りたいだけです!!!」
奈々「・・・美雪、美雪・・・あ~あの金髪の教師ね。私のしたことがバレていたから殺した。それだけよ?」
テイルは苦しみながらも私の手を自動的に持ち上げ、火を放つ。
奈々は、一瞬、燃えたが、すぐ火は消えてしまった。
奈々「妖精ごときが。私の生贄の量に勝てるわけがない。」
テイル「くっそ、クソクソクソクソッ。」


第8章 新崎 美雪について<美雪VS奈々>

美雪は特殊刑事だった。

教師などの不審死の捜査をしていたところ、
信じられない悪魔の存在について、知らされたのである。

悪魔の恐ろしさに対抗するために、みんなのため、誰よりもやさしく強い美雪は、悪魔を追っていた。

卵の石という呪物を、某団体の私立高校に祭ってあることを知った美雪は教師に成り代わり、潜入捜査をした。

美雪は夕方の教室に奈々を呼び出した。
すると、奈々はバカにするように笑った。
奈々「なーんで、ばれちゃったの?」
美雪「においよ、悪魔の微量な、においよ。」
伊集院奈々は、美雪の生徒だった。

奈々「そう、私の中には悪魔がいる、でも、もう、そんなこと知っても遅いわ。」
美雪「いま、ここで倒して見せる・・・ッ。」
奈々「どうやって?私を倒すっていうの?」
美雪「この、特別な、銃で!あなたをよっ!!!!」
バァンッ!!!!
銃声が教室を響く。
奈々は銃に驚いた。
奈々「そ、その銃は、まさか。」
美雪「ちっ、外したか!次こそは。」

奈々「でも、残念、効かないわ。先生。」
美雪「・・・なぜ!?」
奈々「ふふふ。どぉしてかしらね。」

美雪「どうしてこんなことを。あなたは、何をしようとしているの?」

奈々「簡単な、話よ。みんな死んじゃえってね。これも全部、姉の香織のため。」
美雪「そうはさせない。私は、みんなのために、あなたを倒す。」
奈々「なにが、みんなのためよ。ばかばかしい。」
美雪「奈々さん、まだやり直せるから、戻って。悪魔なんかに負けないで。」
奈々「・・・先生、私、いままでいったい何をして・・・。」
美雪「・・・!!奈々さん、正気に戻ったの?最初、出会った時と同じ、やさしくて笑顔のステキな奈々さんに、戻ったのね?」
奈々「そう、先生。」
美雪「奈々さん!」
奈々「バカじゃないの?」
奈々は美雪に悪魔の力を使って攻撃した。
かまいたちが起こる。
美雪「!??奈々さん?!」
美雪は瀕死のダメージを追ってしまった。

奈々「説得して、改心するなんて、そんな、都合のいい話、あるわけないでしょ?!」
美雪「このッ!クソガキ!」

美雪が銃を4発、撃つと、奈々は余裕の笑みを浮かべ、はじいた。
奈々の悪魔の力によって、かまいたちが起こり、さらに美雪は傷だらけになってしまった。


美雪はもう、傷だらけで死にそうだった。
奈々は相変わらず、余裕に笑った。
奈々「先生、私は間違ってないの。私は正しい。だから、邪魔だし、私のしてること、知っちゃったし、死んで?」
奈々が悪魔の力を使って、かまいたちを起こした。
美雪「くっ・・・そうは、絶対させないわ!」
最後の弾が、奈々の額に当たると、奈々は「うっ!!!」と言い
焦って逃げだした。
美雪「に、逃がさないわよ!・・・くっ、この傷じゃ、負えない・・・。」

美雪は、組織にかろうじて戻り、死を工作し、「死んだこと」に、なった。

第9章 悪魔
とおいむかし、あるところ 悪魔となるものがいた。

悪魔は、最初、人間の形をしていた。
なんでも欲しい、欲しがりな人間からできたのである。
力や金や欲望、あらゆるものを持っていた。
まわりの生物たちは、それを見て、嫉妬と嫌悪を持っていた。
悪魔は、恐れられ、銃で殺された。
一度死んだが、生き返った。
死なないという不死も持っていたのだ。

悪魔は、2度目に生き返ったとき、黒くて人型の顔がない生物で、黒い羽が2本生えていた。

悪魔にとって、人間はかっこうのおもちゃになった。
退屈で暇つぶしに、何千、何万の人を殺して遊んだ。

また悪魔は銃で倒された。
魂だけになった。
不覚にも石に閉じ込められ、悪魔は自分に信仰心のある人間と契約することで、ただの暇つぶしをして傲慢な人間の頼みを聞き、楽しむようにしていたのである。


テイル「クッソ!クッソクソクソクソ!!!」
テイルは礼拝堂でのたうち回っている。

悪魔「人間は本当に傲慢でわがままで愚かな生き物だろう。」
奈々「なにか言った?」
悪魔「何も言ってないよ。」
奈々「なんなの、あいつ」
悪魔「あれは、やっかいな、フェアリーさ、なんであんな意地の悪い一族が、人間と契約してるんだか。」

奈々の後ろにゆっくりと悪魔が出現した。
黒くてまあるい。
もやもやした霧がかった悪魔が。

テイルはまだ、地面にゴロゴロと、のたうちまわり苦しんでいた。
そこへ・・・


第10章 SWATの突入

???「そこまでよ!」
ダダダッとドアから人が20人ほど入ってきた。
私「み、美雪!!!???」
私は目を疑った。
死んだと思っていた美雪が生きていたから。

美雪「お兄ちゃん、ごめんね、だましちゃって。」
美雪を先頭に、祭壇室に来たのは日本のSWATだった。

警察に電話したのがSWAT部隊まで、つながったようだ。
銃声が鳴り響く。
一般的な銃ではない、悪魔などの神仏を殺すための銃である。
素材はピラミッドなどの石からできている特殊なもので、「契約のモノを殺す銃」と呼ばれていた。

礼拝堂の壁に埋め込まれた、数千、数万柱の位牌が散乱し、飛び散る。

テイル「くっそ、痛かった!冷汗でべとべとして気持ち悪い
~~!」
テイルは羽を動かして、よろよろと飛んだ。
私「テイル、私の後ろに隠れていなさい、殺されてしまいます。」
テイル「あいよ!おまえにしては気が利くじゃないか。」

悪魔「もう、遅いんだよ・・・。」
契約のモノを殺す銃と悪魔の力の戦いが始まった。
爆風があたりに巻き起こる。
美雪「お兄ちゃん、下がって!!」
私「美雪、ありがとう!!きみ、香織さんも一緒に下がろう。」
香織「う、うん!でも、奈々が。」

美雪「奈々ちゃんは助けるから!!」
香織は美雪の強いまなざしをみて、信頼した。


第11章 卵の覚醒

悪魔が、雄たけびを上げた。
すると卵の石が光だし、縦に割れる。
卵から奈々や香織に近い年齢の女の子たちが産まれた。
女の子たちは、手を上げ、神への忠誠を祈り奈々の周りを3回歌いながら回り、神と呼ばれる悪魔へ祈りを捧げた。

悪魔は変身した。
黒くて人型の顔がない生物で黒い羽が2本生えていた。

奈々へと悪魔は入って同化した。

光と爆風で美雪もSWATも壁へと吹っ飛んだ。

窓ガラスはすべて割れた。
「うわぁぁぁ
!!!」
「くっ!ひるむな
!!」
美雪「隊員、全員、反時計回りに回れ!!!」

皆が、奇妙に奈々の周りを讃美歌を歌いながら周り始めると、
悪魔と同化した奈々は苦しみ始めた。

その瞬間、美雪が、持っていた特殊な銃の引き金を引いた。
美雪は打った。

奈々「いやあああああああ!!!!!」

第12章 テイル

美雪の打った弾丸は奈々の額に見事命中した。
美雪「やった!!!」
悪魔と奈々は分離した。
奈々はその場に倒れると、香織がそばに寄って支えた。
香織「奈々!!!」
奈々「う、奈々?こんなはずじゃ・・・ごめん。」
奈々は意識を失って香織が抱きしめる

しかし悪魔は生きて空中に羽を広げて飛んで叫ぶ。
悪魔「そんな古代の産物の銃、もう効かぬわ!!!」
美雪「そ、そんな・・・!いったいどうすれば・・・。」
美雪とSWATは特殊な銃で撃ち続けた。
しかし、悪魔はどうともならなかった。

私は美雪の前に立った。
美雪「お、お兄ちゃん?」
私の手にはテイルが握りしめられている
最後の悪魔に向かうのだ。

私しかいない!!!

私「もう逃げない」
震える全身を必死に抑えた。
テイル「や、辞めろ!!おまえ、やめろよ!!!」
私「いえ、今、倒しましょう、まだここに怪物がいる間に!」
テイル「辞めろ!今、逃げないと死ぬぞ!あんなの他の誰かが倒せばいいんだよ!香織ちゃんとエッチなこともできないぞ?!美雪ちゃんでいけないことを想像しているのも俺様は知ってるんだぞ!いいのか?!言ってしまうぞ!!ロリコンドームやろう!!」
私「かまいません!!」
テイル「や、やめろ!!」
私はテイルを天高く持ち上げた。
テイルは手足をバタつかせ、つかんだ手から出ようと必死に抵抗する。
テイルの体は光出した。
その光は、その場にいた全員がまばゆくて目が眩むほどの光だった。
悪魔は気づいたかのように後ろへ一歩下がった。
私は、悪魔に向かって走って叫ぶ。

私「私の精神はいつまでも死にはしない!!」
テイル「やめろ!どうせ死ねないくせに!!」

テイル「やめろぉおおお!!!!!」
私はテイルを掴んで悪魔を爆発させ消滅させた。
悪魔「くそぉぉぉ!!!人間めぇ~~~~!!!!」

大きな爆発とともにすべてが無へと吹っ飛んだ。
卵は粉々に割れて塵になり、風に運ばれ消えた。

第13章 墓参り

夏になった。
蝉がうるさくミィンミィンと鳴いている。

今日は私の墓参りだ。父と母と一緒の墓に、いられている。

美雪「いい兄さんだった。兄さん、酒でも、向こうで飲んでくれ。」
香織「お兄ちゃん、久しぶり!元気・・・というわけではないけれど、本当にありがとう、かっこいい人だった。」
奈々「ごめんなさい、私、更生するから、ほんとうにごめんなさい。」
美雪「あなたのせいじゃないわ、奈々、人の弱みに付け込む悪魔がいけないの。」

私は人に感謝され死ねた。本望である。みんな幸せになってほしい。
私の愛するかわいい妹、美雪と、二人のかわいい香織さんと奈々さん……。

愛するものをこの手にかけるような、ほんものの地獄の中、最後まで自分を信じ、愛を貫くことができた。
満足だ。

第14章 平和

ただひとりを犠牲にすべての平和は保たれた。



第B章 第1話 新崎薫の日記
令和5年4月27日(晴天)都内一室にて 昼

私は先生をしていた。名前を新崎薫と言う。
周囲は穏やかで礼儀正しいと言われていたのを覚えている
私には秘密があった。
幼女が好きだった。愛していた。世間でいうペドフェリアという言葉が最適だと思う。
今日も幼稚園児と遊んだ。そして疲れてしまったので夜まで寝ることにした。
妹のことも忘れて、私は私の人生をそれなりに楽しみたいと思っている。
なにごともポジティブに考えることが大事だ。
だから何も心配は、いらないのだ。やめよう考えることは。

令和5年5月2日(雨)都内一室にて 

起きると夕方になっていた。
テレビをつけると、近所の高校で事件があったらしい。報道によると一人の生徒が立てこもり、生徒を殺してしまったとのこと。
名門校なのでショックだった。
親族は遺体を見せてもらうことができなく、報道は正しいのかネットでは批判が上がっていた。
世の中は物騒になったものだ。

令和5年5月3日(曇り)
どうやらテロがあったようで、政府が自宅待機するようにテレビで報道していた。
いったいどうなってしまうのだろうか

夕方になると恐ろしく空が真っ赤だっだ。
気持ち悪い音のする警報が鳴り響いた。
テレビをつけると巨大な赤子のようなものが、人を食っていた。
宇宙生物が飛来したと報道されていた。
私は恐ろしくなって布団にくるまった。私もいつか食い殺されてしまうだろうか。

令和5年5月5日(雨)
土砂降りの中、シェルターに案内された。ここは安全だろうか、世界が破滅しないように願いたい。
いつだって希望を忘れずにポジティブな考えをしてれば、いずれ未来は開けるのだから。

令和5年5月20日(暁闇)
ことは一向に良くならなかった。妹の美雪は死んだはずで遺体がなかったと聞かされていたが、遺体が運ばれて、対面した。
私は少し泣いた。死亡日は昨日で仲間想いの良い同僚だったと聞かされた。

子どもたちはほとんど食われて死んでしまっているようだ。
私はいったいどうしたらいいのかさえ、わからず、
自分の無力さを恥じた。

令和5年12月1日(雪)
もう食料がない。私も時期死ぬだろう、なにかできること、やることはなかったのか?考えてばかりだ。
人々は何者かわからない得体のわからない生物によって燃やされた。
ゴゥゴゥと赤く、私も燃やされ、塵となって消えた。

第2章 真実の在る場所
真実はいったいどこにあるのだろうか、小説を最初と最後だけ読んでスクロールした人間は真実を知らない。



おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。

宇佐崎しろ先生が描いたイラストストーリーの場面は
【第A章 第8章 新崎 美雪について】 
の所です。奈々が左側の茶色の髪の女の子で、美雪が右側の金髪の女の子です。

追記 2023/06/08  文章の修正をしました
   2023/06/12  文章の修正しました
   2023/06/18  あらすじを修正しました
   2023/07/06  文章を修正しました
   2023/07/14  文字数を調整しました

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今後の活動の励みになります。ぜひ、よろしくお願いいたします。

二本柳亜美でした


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