【毎週ショートショートnote】モンブラン失言
モンブランの美味しい季節がやってきた。
甘い匂い、滑らかな舌触り、ほっくり蒸された栗やスポンジとのマリアージュを味わった時の多幸感は何にも耐えがたい。
三度の飯より栗が好きな私にとって、栗と聞けば我を忘れてしまう。
今日もコンビニで『甘栗むいちゃいました』を見つけ、収録前に一袋全部、食べてしまったほどだ。
「今年は栗が不作」
とデカデカと載った静止画を見ながら、私は頭の中で次はどんな栗メニューを食べようかと物思いに耽っていた。
「先生、いかがですか?この状況」
いきなり呼ばれて俺は我に返った。
「えっ?そうだね~」
俺は栗は秋の訪れを告げる上で欠かせない食材であり、日本の栗は守らねばならないということを真面目な顔で語った。
(よぉ~し、今日も決まったぞ)
だが皆の顔が『?』で埋め尽くされている
「あの、先生」
好感度No.1と称される司会者が困り顔で言う。
「今聞きたいことは『栗の食べ過ぎによる失言行動が多発している』現状について、ですよ」
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