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【毎週ショートショートnote】また引っ掛かった…

#毎週ショートショートnote
#鋼こむらがえり

「痛ててて…」
あまりの痛さに、目が覚めてしまった。
中年といわれる年代に突入するや否や、まるで洗礼を受けるかのように毎晩やってくる、こむら返り。

こうして毎晩痛みに襲われると、たちまち目が覚めてしまう。
その為、仕事中は眠くてしょうがない。
クライアントとの契約書類を見ていると思っていたのに、ハッと我に返ると、パソコンの画面いっぱいに、小文字のtとrが打ち込まれていた。
(ヤバい…。今日中には送らないといけないのに)
妻からも帰りが遅いと冷たい目で見られ、更には娘からはお父さん臭いと言われ、踏んだり蹴ったりだ。

そんなある日。
疲れた体を電車の座席に預け、俺はボーっとスマホを見ていた。
Twitter上に表示されていく不特定多数のつぶやきたちをスクロールしていくと、ある広告ツイートが目に留まった。
「鋼こむらがえりをあなたにも!!」

「鋼こむらがえり?」
俺は思わず大声を出してしまった。
真向いのカップルがクスクス笑ってくる。
ちょうど降りる駅に着いたので、俺はそそくさと電車を降り、
その場でもう一度スマホを見た。

「鋼こむらがえり」

こむら返りに悩まされている俺にとって、気になるワードだ。
俺は思わず返信ツイートを打ち込む。
「初めまして。最近こむらがえりに悩まされている者です。詳しいことを知りたいので、お返事いただけると幸いです」
すると即座に、「ありがとうございます。詳しいことはDMをお送りしたいので、フォローをお願いします」と返ってきた。

俺は嬉々として広告元の会社をフォローし、DMが送られてくるのを待った。
だが待てど暮らせど、何もない。
「しょうがない。帰るか」
スマホをポケットにしまい、歩き出したタイミングで
「ピコン♬」という通知音が鳴る。

「どれどれ、えっ?」
ルンルンとしながらDMの画面を開くと、そこには
のような体を手に入れよう。こむらがえりの人もこれならオッケー♡」というキャッチコピーと共に、セクシーなお姉さんが四つん這いになりながら精力剤を持っている写真が目に飛び込んできた。

またか…。
ちなみにこんなやり口に引っ掛かったのは、今月でもう4回目だ。


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