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『坂の上の雲』の脇役たちが気になった私のために

小説家のはずの司馬遼太郎。
でもつい、私は彼の作品を史実であるかの如く読んでいる。
『新選組血風録』で私の新選組のイメージは固定され、他の説が出てきても「でも司馬遼太郎はそう言ってるし。。」と、学説並みに信じきっていた。

「あれは小説なんだ」と、言い聞かせながらも吸い寄せられる史実感。そんな私が、全肯定したくなる感情を抑えつつ読んだのが『坂の上の雲』。

やはり彼の説得力はすごいと驚嘆しつつ、できる限りフラットな目で見ることを努めるも、筆力の素晴らしさなのか、主役級ではなくとも魅力的な登場人物が多かったため、思わず検索してしまった方々を記録しておきたい。お札の顔になったようなベタ中のベタな方は避けた。
※敬称略 ※思い出した順

広瀬武夫(ヒロセタケオ)


秋山兄弟は好きだけど(特に好古ラブだけど主役級だから割愛)、ときめきの始まりはこの方だ。ロシアでのお話とか、人となりとか、エピソードが盛りだくさんで気になるしかない方。流れ星のように登場しなくなって、ちょっとロスになった。
異世界転生とかしてほしい。そして無双している彼を眺めたい。


丁汝昌(テイジョショウ)


日清戦争の清国北洋艦隊司令長官。本人が誠実であるだけに、なんともやるせない。中間管理職の悲哀がすごくて、サラリーパーソンは涙ものなんじゃないだろうか。


小村寿太郎(コムラジュタロウ)


日本にこんな外交官いたんだ!と嬉しくなった方。わかりやすく好かれる人ではなかったように思うけど、心のふんどしが締まってた人というか、メンタル鋼のイメージ。


鈴木貫太郎(スズキカンタロウ)


ちょっと有名すぎるかなと思いつつも、どうしても入れたかった方。『坂の上の雲』の前に、『日本でいちばん長い日』の映画で山﨑努さんが演じてた彼が好きで、根っこは揺るがないけど飄々としているというか。
3学年上のかぶらないけど、噂だけでも憧れられる先輩といった感じ。


島村速雄(シマムラハヤオ)


日露戦争の際、最初、真之の上官だった方。彼自身も有能なのは間違いないのに、謙虚、だけで表現できるだろうか。無知を知る。足るを知る。うーん、足りない気がする。
ともかく、こんな伴侶がいたら離さないな、と思った。


下瀬雅允(シモセマサチカ)


「下瀬火薬」の紹介があってから、長く続く戦の描写で何度も出てくる「下瀬火薬」。技術で戦う彼らを支えたんだなぁ、工夫の日本を体現している方なんだなぁ、と驚嘆した。


伊東祐亨(イトウスケユキ)


己が認めた人であれば、敵であっても尊厳を守ってくれるんだろうな、という信頼がある。高潔だよなぁ、丁汝昌とのやりとりとか、その後の対応とか。きっと彼は、電車に我先に乗り込んで座席に座ろうとはしないんだ。


山本権兵衛(ヤマモトゴンノヒョウエ/ヤマモトゴンベエ)


例えば同級生であったら、煙たがっていたと思う。「空気なんてもんは読むもんじゃねえ、吸って吐くもんだ」と言いそうな雰囲気。でも好き。
もしも転生して、時代が合わずにうまくいってなかったら、自分の食費をちょっと削ってでも援助したいと思えた。


上村彦之丞(カミムラヒコノジョウ)


前半にちょっと注目していたが、本文中いろいろありすぎて忘れかけていた。ところが終盤でまた目立ってきて、まさに遅れてきたヒーロー!って感じでトキメキが隠せなかった(場面が違っただけで、遅れていたわけではない)。佐藤鉄太郎第二艦隊参謀との不動のペア感も良かった!


加藤友三郎(カトウトモサブロウ)


超クール! 私の理想のクール像ドンピシャ! 映画『キャシャーン』のときのミッチーに演じていただきたい。是非お願いしたい。


登場人物が多くて、それでいながら魅力的な紹介をしつつも話の大筋に戻るものだから、物足りなくて検索してしまった方々ばかり。
まるで電子コミックのSNS広告並みに気になった。

今さらだけど、今だからこそ、読むことができてよかった。と思える作品でした。

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