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花粉を知る

花粉症の人からすると
花粉は悪の根源ですよね。
でも、花粉って凄いんですよ。
今回は花粉をより知ることができるトピックを集めてみました!

花粉って何?

花粉はおしべから出る粉状の細胞です。
花粉には子孫を残すためのDNAが含まれ、
またDNAを守るための頑丈な細胞壁をもっています。
花粉はおしべから出た後、風や虫などによって運ばれ
めしべの先端にくっつき、花粉菅を伸ばし受精します。

花粉の形

花粉のイメージは、黄色で丸いですよね。
実は、花粉は様々な形をしていて、
それには植物の戦略や工夫が詰まっています。
では、花粉の形・戦略について調べてみました。

・花粉の形花粉の大きさは20~30μm
くらいが一般的ですが、
ヤマユリなど100μm以上の花粉もあります。
顕微鏡で観察すると楕円や円形をしていますが、
電子顕微鏡では様々な形(多環溝型、多散溝型etc...)を
見ることができます。
参考:https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/bikaseki/2-kafun.html

・花粉の戦略
植物は多くの子孫を残すために
花粉の大きさや形を進化させています。
花粉には主に風によって運ばれる風媒花粉
虫によって運ばれる虫媒花粉があります。
風媒花粉では、風に飛ばされやすいように比較的に小さいものが多いです。一方、虫媒花粉では虫に付着しやすいように表面がトゲトゲしていて、
また大きい傾向にあります。
参考:https://www.ous.ac.jp/scipara/book/detail22/pdf/all.pdf

花粉の観察方法

だんだんと花粉を見てみたくなってきませんか?
肉眼での花粉観察は難しいですが、
顕微鏡さえあれば見ることができます。
顕微鏡は2万円くらいで売っている(アマゾン)ので、
好奇心を呼び起こして買って観察してみてください。

準備するもの:
顕微鏡、スライドガラス、カバーガラス

①花粉をスライドガラスの上で潰す
②水を数滴垂らす
③カバーガラスを置く
④顕微鏡で観察する

簡単に観察することができ、
また、「花粉てこんな形なんだ」って少し感動します。
色々な植物の花粉を調べれば良い自由研究になると思います笑
顕微鏡の接眼レンズから携帯で撮影すれば写真を撮ることもできます。
ぜひ!

花粉の実験

花粉がどのような実験に使われているのかを知ることで
花粉の有用性について見てみます!

花粉は半数体育種による野菜の品種開発で重要です。
野菜の品種開発では遺伝子のバラつきがない純系が必要で、
従来の育種では純系を得るには長い年月が必要となります。
一方、花粉を用いた半数体育種では、
短期間で純系を作り出すことができます。
つまり、花粉を使うことで品種開発のスピードが早くなり、
美味しい野菜が食べられるようになるってことです。

花粉から半数体の作出では、
①花粉を単離する
②ヒートショック、糖欠乏によって花粉の機能転換を促す
③不定胚(成植物の体細胞から作られた胚)が発生。
④植物にする🪴

以上のような手法で半数体を作出することができます。
しかし、半数体作出は凄く難しい(品種による)くて大変です。

花粉の遺伝子いろいろ

花粉に関わる遺伝子はよく研究されていますが、
今回は日本人の研究を集めてみました。

・無花粉スギの原因遺伝子
日本海側には無花粉スギがあることが知られており、
無花粉スギは一つの遺伝子によって引き起こされる
ことが示唆されていました。
近年、原因遺伝子MS1が特定され、
花粉表面の脂質輸送に関わる遺伝子であることがわかりました。
引用:https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p202102161400.pdf
今後は、MS1を利用して無花粉スギ品種の開発が進められると思います。

・花粉数を制御する遺伝子
植物の生殖様式は大きくわけて、他家受粉と自家受精があります。
子孫を多く残すためには、生殖様式に合った花粉数を持つことが重要です。
他家受粉の場合、受粉の確率を高めるためには多くの花粉が必要です。
一方、自家受精では自分の花粉だけで子孫を残すことができるため、多くの花粉を必要としません。
近年、花粉数に関わる遺伝子RDP1が発見され、
また、シロイヌナズナではRDP1に変異が入ると
花粉数が増えることが明らかになりました。
引用:https://academist-cf.com/journal/?p=14530
植物は生殖様式に合わせた花粉数を持っているんですね。

花粉症はなぜ起きる?

多くの方はご存知でしょうが、
花粉症が起きるメカニズムを復習してみましょう。

①アレルゲン(花粉)が鼻腔内または目の粘膜に付着。
②リンパ球が花粉を侵入者と認識
③リンパ球が抗体をつくる
④抗体がマスト細胞にくっつく
⑤再び花粉が侵入
⑥花粉がマスト細胞の抗体にくっつく
⑦マスト細胞からアレルギー誘発物質が放出
⑧鼻水等のアレルギー反応が引き起こされる

この抗体は、花粉に接触するたびに作られ、
少しずつ体内に蓄積し、蓄積量があるレベルに達すると、
アレルギー誘発物質が分泌され、
くしゃみや鼻水などの症状を引き起こします。

つまり、自分で気づかないうちに抗体が蓄積し、
ある日突然、花粉症になってしまうんですね。

花粉の今後

今後の花粉はどうなっていくのでしょうか。
温暖化と花粉について調べてみました。

気候変動による最低気温や最高気温の上昇に伴って、
北半球では花粉の飛散期間が長くなり、
飛散量が増えていることが考えられています。
https://doi.org/10.1016/S2542-5196(19)30015-4

やだなぁ。

最後に

花粉は厄介者ですが、
良いところもあるって事で。

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