期待外れの結果が、私の土台を強くする
私がモデルの仕事をするようになって経験したことの中に、とてもショックを受ける出来事がありました。
それは、仕事をしても必ずしも世間に公開される・自分の目で完成品を見られるとは限らないということ。
仕事の上がりを見ること、さらにそれが良ければ自分のBOOKに入れることを何よりも楽しみにしていた私は、公開されなかったこと(つまり、お蔵入りです…!)に何度も落ち込む経験をしました。
例えば、撮ったけど最終OKが出なかったとか、急遽何か変更があったとか…色々な事情があるのかもしれませんが、モデル側がその理由を知る機会はほとんどありません。
今回は、そんな撮影後に経験した出来事のお話です。
◆当たり前が消えた日
最初の経験は、仕事ではなく作品撮りでした。
新人のときは自分のBOOK作りに大忙し。もちろん仕事をすればその上がりを入れることができ、充実したものが出来上がっていきますが、はじめのうちはその"仕事"が中々取れません。そのため、仕事外の撮影である作品撮りで写真を増やします。
大抵のモデルは、自らお金を払ってフォトグラファーに頼み込んだり、事務所に来ている作品撮りの依頼を振り分けてもらったりと、とにかく数をこなします。その都度必ずいい写真が撮れるわけではありませんし、撮影に慣れる・感触を掴むためにも、私もできる限り機会を増やすようにしていました。
そうして写真作りに奮闘していたとき。
1度ご一緒し、BOOKにも入るくらい素敵な写真を撮ってくださったフォトグラファーの方と、チームを変えて2度目の撮影がありました。
当日到着すると、既に1人の外国人モデルから先に撮影が始まっていました。彼女と組みで撮影をすることはないものの、2人の衣装のカラーは同系色で統一され、とても素敵なスタイリング。
撮影はテンポよく進み、その場で確認した写真も格好良く、データをもらえる日が待ち遠しくてなりませんでした。
フォトグラファーの方の「大体1か月くらいで渡せると思う」との言葉に、きっかり1か月で連絡をしたくらい楽しみにしていました笑。
しかし、そこから数日経っても返信がない。
さらに1か月が経過し、再度連絡してみても、一向に返ってこない。。
不安になってその方のホームページを覗いてみると…
なんと、あるではありませんか。そのとき一緒に撮影していた外国人モデルの写真が、、、!
けれど、そこに私の写真はありませんでした。仕上がりが納得いくものにならなかったのかな、、、?そうだとしたら、それはそれで正直に教えてもらいたかったな。。「またBOOKに入る写真が撮れた!」と楽しみにしていただけに、私の落ち込みは相当なものでした。
撮影から1年後。当時担当してくださったメイクさんにお会いする機会があったため、写真のことを尋ねてみましたが、彼女も受け取っていないとのこと。「私からも聞いてみるね」と連絡してくださったのですが、やはり返信がなかったらしく…約2年は連絡をし続けていたと記憶していますが(私はしつこいです笑)、結局もらえず終いの分からず終いでした。
こんな気持ち、2度と味わいたくないな…と思ったのですが、仕事が増えてきてからも、それは時々やってきました。特にNYでの出来事は、今でも記憶に残っています。
◆NYでは日常茶飯事だった
NYのアパートに住んでいたある日。突然、事務所に来るようにマネージャーからメールがありました。急いで行くと、
「今、大きな仕事が決まりそうなんだよ。最終候補に残っているんだけど、もう一人がここの事務所のこのモデルで…」と、別のモデル事務所のホームページを見せてくれました。
そして、横で何かブツブツ言ったかと思うと、急に受話器を取って電話し始めました。恐らく電話相手はキャスティング会社。
ものすごい勢いで喋ったかと思うと、電話を切って一言、「決まったよ!」と(全ては聞き取れませんでしたが、電話口で私のことをべた褒めしてた…笑。このときのマネージャーの推しの勢いには、目を見張るものがありました!)。数日後、決定した撮影に向かうことになりました。
現場についてスタジオを見回すと、広いフロアーの一角にものすごい数の衣装。「一応私服も持って行ってね」と言われましたが、必要ないのでは…?と思うほどの量が、何台ものラックに掛けられていました。
さらに、モデルリストを見て驚愕。呼ばれているのは有名女優に歌手、モデルもトップモデルたちがズラリ。こんな中にどうして私が…?マネージャーの猛プッシュに感謝しつつも、同時にとてつもなく緊張してしまいました。
次にヘアメイクの場所に連れて行かれると「普段どんなメイクをしてる?」といきなりの質問。普段メイクに近いものをしたかったようですが、当時化粧っ気のなかった私はどうすればいいかわからず(そんなこと聞かれたのも初めてでした)、そうこうしているうちにスタート。結局いつも撮影でされる、少し吊り目になるようなアイラインに、ヘアはオールバック。
そしてあっという間にセットへ。撮るのももちろん、有名なデュオフォトグラファー。彼らがナイスな人たちだったお陰もあり、その1日の中で唯一、撮影はリラックスして臨めました。最後の英語のインタビューを除いて、ですが(いつもこれ系が苦手です)。
そんなこんなして終わった大きな撮影。この写真が公開されると思うと…!終わった後は肩から一気に力が抜け、どっと疲れましたが、だからこそ上がりを見るのが楽しみで、期待して待っていました。
広告の撮影だと公開されるのが1年後ということもあるので、気長に待っていました…が、いくら待っても出ない。日本にいるときも何度もwebサイトを確認しましたが、一向に公開される気配なし。自分の何が悪かったんだろう…と、ただただ落ち込みました。
それから数年後、再び同じような規模の撮影が回ってきました。今回も豪華なモデルリスト。
しかし数ヶ月後に上がった写真に、私の姿はありませんでした。組みのカットだけでなく、ソロカットも撮ったのに。。かなりの人数を何日間もかけて撮影していたため、モデル総数はわかりませんでしたが、私だけ外されてる…?そんなふうに見えました。そのときの気持ちといったら…悔しさを通り越し、恥ずかしさまで込み上げてきました。
また、別の動画撮影では、私を含めたモデル3人が全員同じ事務所。3人で1本の動画の仕事。撮影クルーはとてもいい雰囲気。現場はテンポよく楽しく進んでいきました。
けれど出来上がった動画に、私だけいません。。。私の撮影シーンは全てカットされ、動画にはモデル2人しか写っていないし、クレジットにももちろん私の名前はありませんでした。
◆経験があるから持てた気持ち
数々のこういった悲しい経験をする中で、”自分の何がいけなかったんだろう”と何度も何度も思いました。見た目?知名度?表現力…?
けれどいくら考えても、このときの出せる限りの力で臨んだんだから…それでダメなら仕方ない、という結論しか出ませんでした。手を抜いたことなんてありません。
ただ、作品データをもらえなかったり、仕事の上がりが公開されなかったり、自分だけ映っていない理由は永遠にわからないままです。
また、上記の場合とは少し異なりますが、公開していても気づかないこともあります。仕事相手から公開の旨を連絡してもらえることはほぼ無いため、知らないうちにどこかに出ていたなんてことも。
だから、知り合いや友人から「偶然見かけたんだけど、〇〇に写ってるのってAMI?」と連絡をもらって知ることもよくあります。そういうときは本当に嬉しい!
そんな気持ちを知ったからこそ、自分がもし何かの上がりをSNS等に載せるときは、「公開されてるよー!」の気持ちも込めて、知っている限りのスタッフリストを載せます。
人数が多すぎて把握するのが困難なときもありますが、それほどたくさんの人が関わってできている仕事なんだと思うと、本当に感謝しかなく、自分の目で上がりを見れたときは嬉しさでいっぱいです。
もちろん、公開されなかった仕事たちも、私の大切な経験です。クルーが最高だった仕事も多い。だからこそ余計に悲しくなるのですが。。
(いまだに海外の仕事になるとドキドキしますし、日本でも「作品撮り」と言われると、果たして本当にデータがもらえるのかな…?と不安が過ぎることもあります。)
これらの経験は確実に、今の私を作る土台となっています。
常に良いときばかりでなく辛さや悲しさも味わったことで、「当たり前」と考えていたことに、より一層感謝の気持ちを持てるようになりました。これは本当に良かったと思えること。正直、この経験がなかったら、こんなに考えることもなかった気持ちです。
今、もし同じような経験をされている方がいたら、安心してほしいです。たくさん悲しい思いはするかもしれないけど、決してそれが続くわけではありません。エピソードに違いはあれど、経験している私が断言します。そして嬉しいことがもっともっと嬉しく感じられるようになります。
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