『人新世の人間の条件』ディペシュ・チャクラバルティ 著、メモ。

これまで「環境問題を考えるのはとても大切だ、うん」と思っていた事柄が直観的に切実なものとして立ち現れたこの夏、学会で公表されている動画を見たり資料を読んだりして慌てて学んでいるのは「人新世」。
私のKindleに入っているのは齋藤幸平ではなくこちら。

『人新世の人間の条件』ディペシュ・チャクラバルティ 著 早川健治 訳 https://www.shobunsha.co.jp/?p=7452

マルクス『資本論』から「人新世」の時代における私たちのアクションについて考えるのが前者だと思うがこちらは特定の視座や用語(たとえば「人新世」)で考えようとすれば取りこぼされるような「政治に先立つもの」(ヤスパース)が議論されているようである。

この本はインド出身の歴史学者であるディペシュ・チャクラバルティ(Dipesh Chakrabarty,1948年~)がタナ―講義で行った講義の完訳である。タナ―講義についてはウィキペディアをチェック。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%8A%E3%83%BC%E8%AC%9B%E7%BE%A9

2015(2014?)に行われた講義の原稿はタナー講義のサイトで公開されている(太っ腹)。
https://tannerlectures.utah.edu/_resources/documents/a-to-z/c/Chakrabarty%20manuscript.pdf

チャクラバルティはタナー講義以降、いまだ仮説である人新世の概念と距離を取り2021年出版のThe Climate of History in a Planetary Ageを出版。その思考の変遷も本書では訳者との対談形式で語られていて講義の難解さは少し和らぐ。

なじみのない言葉は翻訳の難しさでもあるようなので講義1,2のあとの著者と訳者の対談と解説としても読める訳者あとがきを最初に読むのもいいと思う。

ひとりにできることはわずかだなんてことはわかっているのだから外部の広さに開かれ、かつ自分の領域ですべきことはなにかを考える必要があるのだろう、と思いながらかなり難解さを感じつつもなんとなくメモしてしまった。ブログにも転記しよう。