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この町は誰かの知らない町

私は旅が好きだ。
一人旅も好きだし、誰かと一緒に行く旅行も好きだ。
夜行バスで移動、電車で移動、車で移動、徒歩での移動。
旅先で見つける店、住んでる人、何も違わず、日本の延長線上にあるんだと思うこともあれば、全く別の世界に思えることもある。
私にとっては非日常な旅先であっても、そこに住んでいる人に
とっては、日常であって、普段の生活である。
それは何だか少し不思議な感覚をもたらす。
私が普段住んで、日常生活を送っている町にも、誰かが旅に来ていて、そこで非日常を感じているのだ。
私は、普段生活している日常に、いかにその非日常感を持ち込めるか、をずっと模索している。それはいかに日常を楽しめるか、ということに繋がっていくと思っている。
会社に行く時に、大きなキャリーバックを持った人とすれ違うことがある。この人は今からどこか遠くに行くのだろうか。旅行だろうか。1人なのだろうか。そんなことに思いを巡らす。
彼ら、彼女らにとって、今は非日常の中でわくわくとしたときめきに満ちているのかもしれない。私達は同じ空間に生きている。
私のこの見慣れた町も、誰かにとっては、初めて訪れる好奇心いっぱいの町かもしれない。その人にとっては、新たな発見が沢山あるかもしれない。
私も、きっと、もっともっと、見知らぬ町のようにこの町を楽しんだらいいのだ。知ったような気になっているだけで、きっと知らないことはまだまだ沢山ある。
まだ降りたことのない駅に、行ったことのない店、長年住んでいても、全てを知ることは難しい。
知ったような気になっているけど、もっともっと深く知ることもできる。
ただ、「知っている」と驕っているだけだ。
もっともっと謙虚になって、もっともっと間口を広く取って、もっともっと好奇心の純度を高くして。そうしたらきっと、知っている町の知らなかった側面が見えてくる筈だ。そうしたらきっと、知っているありきたりないつもの町がきらきらと輝き出す筈だ。そうやって、日常の中に非日常を持ち込むのだ。それはほんの少し意識するだけで変わるのだ。

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