ぼくのかんがえたさいきょうの物語

先日、こんな児童文学レーベルの小説大賞を見つけた。

わたしは児童文学が好きだ。本当に児童だった頃にハマってから、もうすぐ30になる今までずっと好き。もちろん、児童文学の全てを好きなわけではない。児童文学の中でも、「何も起きない」小説が好きだ。簡単に言えば、日常モノ。魔法つかいもオバケも天才も出てこない、どちらかと言うと教室の隅にいるような子どもが、それでも大人になるのが好きだ。わたしはそういう話を読むたび、彼らは日本のどこかにいて、自分とは単に出会えないだけなんだと思う。自分だってかなりしょうもない人生を送っているけれど、彼らも同じだと思える。

もちろん、わたしが児童だった頃から「いろいろ起きる」児童文学もたくさんあった。魔法つかいもオバケもたくさんいたし、才能あふれた天才が何もかも解決していくこともあった。特に、ちょうど中学生になるくらいにライトノベルが流行り出した。その影響で、もっと(ある意味で)都合のいい設定を詰め込んだ本が登場した。これは「本」ではないな、むしろ「漫画」に近いなと思いながら、それはそれで楽しんだ。ただ、ちゃんとそれらの区別はついていた。少なくとも「涼宮ハルヒの憂鬱」で読書感想文を書こうと思ったことはない。(ハルヒなりきりチャットを観戦したことはある。イタタ……)

ところが、どうも今は様子が違ってきているように思う。昔だったら「ラノベっぽい」「これを学校の朝読書で読むのはいかがかと思う」「読書感想文なんてもってのほか」な本が、本屋で市民権を得てきていることに気づいた。まず、見た目で分からない。以前のラノベというものは、いかにもな萌え絵が表紙だし、そもそもラノベのレーベルだし。でも今は、ちょっとおしゃれなイラストだったり、文庫ではなかったりする。たまに、「本」が読みたい気分のときに本屋でたまたまそういう本を手に取ると妙に腹が立つ。デザインで釣ろうとしている編集部にも、釣られている自分にも。

そんな流れが児童文学にも影響を及ぼしているのか、「ポプラキミノベル」を本屋で見たら、かなりラノベっぽかった。挿絵がふんだんに使われ、フォントが漫画の効果音のようにコロコロ変わる。そもそも、キャッチコピーは「キミとつながる、エンタメノベル文庫。ポプラキミノベル。」である。エンタメノベルを銘打っている。だったら、思い切り「エンタメ」に振れていた方が気持ちいいだろう。

(余談ですが、わたしは20歳くらいまで、フォントや色がコロコロ変わる文章をうまく読めませんでした。今はだいぶマシになりましたが。すると当時のわたしは、ポプラキミノベルの読者にはなれなかったのだろうか……)

今までいくつか小説を書いたことはあるけれど、エンタメ小説は書いたことがありませんでした。何となく、「本」ではないものは書いてはいけないような気がして。しかし、エンタメ小説が立派なジャンルになっていることがわかり、では自分も書いてみようとこの度思い立ったわけです。

気持ちいいくらい「さいきょう」のお話を書きたいです。脳のいつも使っていない部分を使い始めたので、なんだか若返った感じがします。応募条件が「子どもがワクワクする」「小学5、6年生が主人公」「舞台は現代の小学生の日常」「そのうえで、ファンタジー要素はOK」(一部抜粋)ということなので、本当に書いたことないです。いつも、酒のみ大学生かタバコすぱすぱ大学生ばっかり書いているので……。

今のところ、絶対使わない要素は「怪談」です。使いそうな要素は「恋愛」。恋愛(もどき)ばっかりしてきた人生なので。恋愛と何を掛け合わせようか。わたしの考える最強の恋愛……部活が同じのツンケンしているけれど技術があってみんなに一目置かれている恋愛なんて絶対やらなそうな男子と、実はセフレとか……? それじゃレディースコミックですね。出直します。


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