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新規導入種牡馬ヴァンゴッホ レビュー

谷○牧場さんがリリース前にお漏らししていたみたいですが、正式にリリース出ましたね、Van Gogh(ヴァンゴッホ)が日本に導入されるとのこと。

アメリカ産・アイルランド調教馬(エイダン・オブライエン厩舎)の本馬は、2歳でフランスの芝1600mのG1 Criterium International(クリテリウム・アンテルナショナル)を勝ち、3歳春シーズンは英愛2000ギニー、仏愛ダービーと使われるも勝てずに終わっている。通算成績は11戦2勝。

ヴァンゴッホは血統面での魅力がブ厚い

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画像はJRA-VAN Ver. Worldの血統表より一部を抜粋。

まず、父のAmerican Pharoahは言わずと知れたアメリカ3冠馬で、日本で走っている産駒の中から既にカフェファラオ、ダノンファラオとG1・JPN1の勝ち馬が複数誕生。また、アメリカ調教馬フォーウィールドライブも2歳G1の勝ち馬となっている(日本に導入済み・下記参考記事参照)。――が、父側の魅力については本記事ではこのへんにしておこう。よくぞ導入した、と拍手を送りたいのは何と言っても母の血統面からだ。

Imagine(イマジン)はSadler's Wells(サドラーズウェルズ)産駒で、現役時は英国の1000ギニーとオークスを連勝。その後は怪我の影響もあり出走せずに引退することとなったが、母として本馬ヴァンゴッホの他にもフランスG1 Prix Jean-Luc Lagardère(ジャン・リュック・ラガルデール賞)の勝ち馬Horatio Nelsonを排出している。Sadler's Wellsも10年以上欧州のトップサイアーに君臨し続けた。

母Imagineの説明の後はその母Doff The Derby(ドフザダービー)――ではなくさらにその母、本馬ヴァンゴッホから見て曾祖母にあたるMargarethen(マルガレーテン)から話を始めたほうがおそらく早い。Margarethen牝系といえば、完全に日本でおなじみ、というか長年に渡り日本競馬への対応力を見せ続けている超優良牝系であり、そもそも世界的な名血でもある。

Margarethen牝系の日本競馬への対応力

Margarethen牝系凄いの話であるが、まずは本馬ヴァンゴッホの祖母Doff the Derbyについて。もちろん英国ダービー馬ジェネラスが筆頭産駒なのであるが、輸入されたオースミタイクーンも日本で走り重賞を2勝している。Imagineの全姉となるシンコウエルメスからは、エルメスティアラを経由しディーマジェスティ(皐月賞)、スノーパインを経由しタワーオブロンドン(スプリンターズS)がG1を勝ち、ブルーダヌーブを経由しオセアグレイト(ステイヤーズS)がG2を勝っている。日本国外でもLake Toyaを経由してSobetsuがフランスG1 Prix Saint-Alary(サンタラリ賞)を勝っている。シンコウエルメスの話だけで2時間できる人もいるんじゃなかろかというほど、浅い言葉で言うと「深い」牝系だ。あれっ、ダーレーにいたはずのスノーパインがノーザンに売られているぞ……?という話は、あまり触れないでおきたいが。そしてDoff the Derbyからは、他にもマチカネベニザクラがマチカネオーラ(中京記念)を輩出、フランスのチャンピオンマイラーMoonlight Cloud(ムーンライトクラウド)もこの牝系の出身である。

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Doff the Derby以外でも活躍するMargarethen牝系

Margarethen牝系の日本での活躍例を挙げていくと、クロカミの産駒クロウキャニオンからカミノタサハラボレアス、今年の3歳のヨーホーレイクの兄弟が出ていて、クロウキャニオン産駒はその他も勝ち上がり率が高い。G1級の勝ち馬は安田記念のブリッシュラック(香港調教馬、香港でもG1勝ち多数)、宝塚記念のミッキーロケット、帝王賞などのフリオーソがいる。中央・地方含めての重賞勝ち馬ではトリリオンカットセレンカーネギーダイアンがいる。

凱旋門賞連覇のTreve(トレヴ)もMargarethen牝系であったりで世界的な名血と言われればそうなのだけれど、その中から日本でも活躍馬がしっかりと出ている。更にDoff the Derbyは非常に日本の競馬に合った牝系であり、ヴァンゴッホへの期待は当然高い。Treveが活躍した時にも少し話題になったが、ジャパンカップに来日したTriptych(トリプティク)もTreveと同じ牝系なので、Margarethen牝系ということになる。

母の父Sadler's Wellsも問題なし

ヴァンゴッホの母の父に鎮座するヨーロッパのチャンピオンサイアーSadler's Wellsなのであるが、あれだけヨーロッパで産駒が勝ちまくったのに日本での直仔のG1勝ちはゼロ、しかも中央重賞勝ち馬ですらステイヤーズSのサージュウェルズだけという日本競馬との相性の悪さは心配になる。しかし、母の父Sadler's Wellsで見ればエルコンドルパサー、シーザリオなど日本でG1を勝っている馬は多数いる。母の父Galileoはまだ日本でG1馬を出せていないことを考えると、母の父Sadler's Wellsは意外と日本調教馬向きの素質があると言えそうだ。

ヴァンゴッホは22年からイーストスタッドで供用開始

というわけで、American Pharoah産駒で母は英国2冠牝馬のImagine、祖母Doff The Derbyからは日本の活躍馬が多数、曾祖母Margarethenは日本はもちろん世界的な名牝系となっている、フランスG1馬ヴァンゴッホは2022年よりイーストスタッドで供用開始となります。生産者の皆様、どうぞ御検討ください

……あれ、この話だとディーマジェスティタワーオブロンドンも良いのでは? そう、当然その2頭も期待の種牡馬で、それぞれディープインパクト産駒・Raven's Pass(レイヴンズパス)産駒と父馬が違うので、そちらもぜひ御検討ください

参考記事


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