ちんちん専用の画家

私は絵描きを生業にしている。
と言っても本業で描いているチンポの自画像は誰も買ってはくれないいわゆる売れない画家だ。
だから最近路上で客のチンポを描き日銭稼ぎを始めた。
これが好評で今ではこちらの方が忙しい始末、嬉しいやら悲しいやらもう本業がどちらか分からない。

まぁ好評なのも分からなくはない。なにより私はチンポを描くのが上手い。伊達にチンポの自画像を描いていない。鉛筆の腹の使い方が違うのだ。

しかし本当の理由はこちらだろう。私はサービスが良い。
つまり客のチンポを少し大きめに描いてあげているからだ。

完成した絵を渡すとみな必ず「そっくりだ」と言う。
中には感動のあまりチンポを出したままチンポの絵を見続け、自分のチンポの批評を始める者までいる。

「わたくしのチンポはこんなに大きくありません」などと正直に告白する者などいない。
私もそれを問い詰める気も無い。客が満足してくれれば良いのだ。

そして彼らは絵を受け取ると必ず「この絵に合う額縁を売っている店はご存知ですか?」と聞いてくる。
何度かよしみの画材屋を教えていたがあまりにも聞いてくるものだから自分で仕入れて額縁も一緒に売っている。

以前、画材屋に頼んだときに何かの手違いで額縁の下にある葡萄のツタが装飾された表題欄にイタリアのデザートの名前を書く時にだけ使う字体で「チンポ」と入ったものが届いてしまった。

これではチンポの絵しか入れられないではないか。

試しにモナリザのレプリカを入れてあらゆる角度から見てみたが、優美な女性が描かれている絵のタイトルがチンポでしかなかった。

だが、考えてみれば私に額縁について尋ねてくる人といえばみなチンポの絵を携えている者しか居ないのだから、特段問題は無かった。実際にはありがたがられよく売れるものだからそれ以降チンポと名の入った額縁で注文している。

常連客というのも付いてくれて、たまに絵葉書を送ってくれる人がいる。旅行先にチンポの絵を持っていき写真を撮るのが趣味のようだ。
その葉書の裏を返して見ると、屋久杉にチンポの絵が立て掛けてあった。

また、毎週チンポの絵を描いてもらい額縁に入れずパラパラ漫画みたいに見ながら酒を飲むのが楽しいと言う常連客もいる。

そういうパトロンならぬチンポロンのおかげで私は飯を食えているのだから、お客が満足してくれればとりあえず良い。としているのである。

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