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未曾有の岐路,薄黄色の空の隅,転がる日付

 2023年10月25日

 更新しようと思うタイミングで,体調を崩してしまい,その中で卒論のパワポや要旨を作りつつも,NHK新人お笑い大賞の二本目のネタの練習をしなくてはならなくて,いつのまにやら十月も終わり.

 僕らは,NHK新人お笑い大賞2023のファイナリスト八組に選ばれた.正直,二年前まで,こんなことになるなんて予想していなかった.予想を嬉しく裏切ってくれるに越したことはないが,正直,びびった.

 そして,オールナイトフジコもこのタイミングで出ることが出来た.現在,二週連続出て,続いて三週目.なんだか,日々がころころと転がり始めた気がする.卒論中間発表は終わったが,やるべきことは,まだある.


 環境の変化に戸惑い,体を順応させている.金木犀の花の欠片が,アスファルトの隙間に詰まっている.気づけば何か気づけば何か,といつもそう.考えるべきことを考えているようで,惰性の思考を繰り返してしまっている.まずい.

 最近の文章を見返してみると,前に比べて,とっ散らかった印象を受ける.すべきことがたくさんあるので,それで混乱しているのかもしれない.一旦,自分の心の中のもやもやを拭き取るべく,少し乱れてもいいから,浮かぶものを書いていこうと思う.

NHK新人お笑い大賞の会見

 朝早くに大阪のNHK局へ行った.芸人活動していて,一生にあるかないかの体験だと思い,全てを味わおうと思った.しかし,二本目のネタの確認があり,そのネタの小道具を出発時刻の四時間前まで,作っていたため,ほとんど眠らずに大阪へ出発,案の定,認識能力が低下していたので,全然味わえなかった.

 大東洋と書かれたホテルの看板があり,大泉洋みたいだとすごく興奮して,新井さんと柿田さんに伝えた.は?っていう顔をしていた.今考えたら,僕だっては?っていう顔をすると思う.

 楽屋はプールさんとレインボーさんとご一緒だった.プールさんは前に一度ライブで同じになり,キングオブコント準々決勝でも励ましてくださったので,その時のお礼をした.レインボーさんは初めてお会いしたので,ご挨拶したが,めちゃくちゃ優しかった.いろいろ話して,最終的に,ジャンボたかおさんが僕の自己紹介ギャグを考えてくださった.池田さんは,坊主で可愛いなぁとずっと言ってくださった.

 会見はめちゃくちゃ緊張して,コメントを振られたとき,新井さんが言った内容と全く同じ事を言ってしまった.

 その後,紹介VTR用の写真を撮った.よく分からないから,とりあえずいろんなポーズをした.

 NHK局を出て,二時間ほど大阪の街を歩いた.たこやきと551の肉まんだけ食べた.柿田さんが妙に詳しかったので,柿田さんの案内の元,色々歩いた.新井さんが射的をして,馬の小さいビニールフィギュアを二匹取っていた.美容室しか入っていない十階建てのビルがあった.謎.

オールナイトフジコ(二週目)

 卒業研究の中間発表会のため,朝六時半頃,大学へ向けて出発.発表はトップバッターだった.人前でネタをやっているんだから,発表如きで緊張しないだろと思ったが,いざ会場へ着くと,体が震え始めた.発表中も声が震えていた.ただ,質疑応答で,面白い研究だと言われ,満足.でも仮説が無いねと致命的なことを言われた.

 会は十六時半まであり,その後,研究室のゼミに出席.十八時半頃,フジテレビ本社へ向けて出発.

 着いて,しばらく一人で東京03さんのネタを復唱していた.風が冷たかった.コントの為のストレッチ.

 でも,どこかぼんやりしていて,まずいなと思った.局へ入り,楽屋へ通された.待ち時間,ほとんどずっとネタ練習をしたら,頭のもやもやが晴れてきた.ただ,トークの方が全然面白いことが浮かばず,終始こう言われたら何を言おうかなど,考えていた.

 そして,出番へ.無尽蔵さんとお互いに頑張りましょうと励まし合いながら,臨んだ.

 結果,僕らが勝った.でも,正直,無尽蔵さんのネタはめちゃくちゃ面白かった.すごい.なので,僕らのネタはただ分かりやすかっただけなんじゃないかなと,少し思ってしまった.うーん.でも良くない,自信を持っていこうと考え直した.

 平場は悲惨だった.難しいなぁ,まったく.コントがしたいのに,コントをするには,苦手なトークや特技が必要.ライブでも番組でもそう.ただ,この問題,いろんな要因を孕んでいて,複雑に絡み合い,僕の中の多方面へ影を落としている.

 帰りのタクシーの中,新井さんも柿田さんも,疲れ切っていた.僕は鈍く振動する後部座席で,余力で思考していた.何から手をつけたらいいのだろうか.

 朝五時すぎに帰宅.黄色い空の果て,鉄塔は小さくも確実に続いていく.いつか鉄塔に沿ってずっと歩いて行ってみたいと思った.

ライブなど

 若武者というバトルライブに出た.盛大に負けた.ビリから二番目.悲しみよりも,今,目に見える課題をどう解決しようかで頭がいっぱいだった.コントの中で,こうしたいとかこう動くべきだという像はあるから,それを再現するために考える.

 無駄な動きをゼロにして,はっきり一個の感情を表現する.落ち着いて,どんと一個の動きをする.手も足も顔も声も全部を使って.僕がピンネタが苦手なのは,これらが出来ていないことに起因する.言葉としては,養成所の頃から認識していたけれど,感覚では分かっていなかった.なので,最近,分かってきたからこそ,出来ていないのが非常に悔しいし,それに向けてただやるのみである.

 あと,なんとなく面白い人は大抵優しい人でもあるなぁと思っていたが,もしかしたら,想像力があるからなのかもしれない.違う視点が持てることで,人の立場に立てるし,出来事の背景を考えられる.

 今日は,ConteConteというライブに出させていただいた.帰り道,新井さんと二人で油そばを食べて,ドン・キホーテへ行き,ネタの衣装を探した.新井さんが冗談で「俺は広く浅く嫌われている」と言って,それが妙に切なくて,面白かった.

個人的な話

 いろはラムネに全く関係のない至極個人的な話.

 何もないのに泣いてしまった.前までよく泣いていた.でも,いろんな人に泣き芸じゃないかと言われた.それ以降,どういうタイミングで泣けばいいのか分からなくて,人前で泣かなくなった.

 別に泣くというのは,マイナスなことではなくて,むしろよく分からないけれどすっきりするので,僕にとっては良い事である.

 今回は,帰り道で,今泣けるのかなと思って,ぐって踏ん張ったら,泣けた.涙は感情で味が変わるというけれど,これに関しては一体どんな味なんだろうか.


 最近,なぜ血が赤いのかをよく考えている.文字通りで行くと,赤血球の色が赤いからなのだが,そうではなく,血が赤という色になった理由が知りたい.青でも緑でもなく,赤になった理由.

 カラーイメージというものがあり,色には印象を付随させる効果があるのだと思う.そして,自然界には警告色というものがある.有毒生物が他の生物に警告させる色.これらのことから,その色となったのは,何かしらの見えない意図というか,理由(警告させるためみたいな)があるのではないかなぁと思っていた.

 でも,よく考えたら,警告色は,「この色の組み合わせを見たら怖い印象を受けるな」という共通認識の元,生まれているのだろう.だとすれば,最初の見えない意図が無い,物の色というものがある.これを原始色と呼ぶ.

 これまでもこれからも全部,僕のこじつけで科学的な観点は一切ないのだが,仮に血の赤を原始色とすると,血が出ていると危険,それは転じて赤は危険なイメージがある,みたいなことが,いろいろと起きているのではないだろうか.なんとなく赤は危険なイメージがあるぞ.


 結局,後々,自分でやっぱり違うなと思うかもしれないし,何も調べていないから,ただの妄想ではあるが,こういうのを考えるのは楽しい.

 ちなみにチャットモンチー「ハナノユメ」の,「薄い紙で指を切って 赤い赤い血が滲む」という冒頭の歌詞を聴いていて,血がもし砂だったらと,想像したことがこの妄想の始まり.血が砂だと,衝撃的なシーンも目をそらさずに見られそう.でも,この置き換えは,派手すぎて,あんまり面白くなかった.


 一通り書いてみて,やっぱり何かを書くのは楽しいと思った.そんでもって,誰かが読んで面白いなぁと思えるものを,なんとか書いていきたい.


 ぼんやりした話.雪や雨がこんこんと降る,この「こんこん」,良いなぁと思う.なんとなく雪や雨の音は,サ行のような気がするところをカ行で表すのが良い.今度どこかで使おうと思う.








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