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帰り道の王道

 2024年6月5日

 最近聞いた怖い話で好きだったやつ.

「蚊が部屋に入ってきた.アンティークドールの腕に止まる.ゆっくりと蚊の腹が膨れ始める.」

 短い文章に不気味さが漂っていて,すごく気に入った.


 昔からオカルトが好きだ.へんてこりんな見た目やロマンのある話に惹かれる.地球に空いている大きな穴や世界の終末になると鳴る音,ロシアの団地に出没するオオグモ,南極に住んでいるニンゲン,フラットウッズ・モンスター,廃村の岳集落などがお気に入り.本当だったら面白いから,宇宙人もUMAも霊も信じている.

 ちょっと違うが,「死体を隠すとき,山育ちは海に,海育ちは山に隠す」や「眼鏡を外してもはっきり見えたら,それは霊である」という,理のありそうな恐怖も好き.最近,こういうじっとり系の怖さに良さを感じるようになった.


 昨日はバカ爆走という事務所ライブに出た.同期のペンた丸さんとOPトークをした.普通に楽しくおしゃべりしてしまった.その後,ネタ間の中トークで,ペンた丸さんがあか抜けたという話になった.僕は前から思っていたが,確かに服もお洒落になったと思う.ある日見たら,上下ジャージからストリートなファッションになっていたし.なんかあったんじゃないかと僕は睨んでいる.雑誌とか読んだのかな.


 今日はブレナイというライブに出た.新井さんが昼夜逆転しているらしく,現地集合だった.頑張って生活習慣を直してもらいたい.僕も若干逆転しているが.

 楽屋で清水駿平さんとお話しした.僕が昔,漫画「クローズ」を全巻読んだ話をしたら,学生の頃のあだ名がリンダマンだったと教えてくれた.リンダマンといえば,クローズに登場する鈴蘭高校最強の男でとんでもなく強いし,寡黙で格好いい.

 由来は顔が似ているからとのことで,よく見ると確かに似ていた.勝手だが,これまで以上に,清水さんに親近感を抱いた.リンダマンか,いいなぁ.


 帰り,最寄り駅に着くと,駐輪場が撤去されかけていた.行きは自転車が数台あったはず.撤去までの着工が早いな.

 自転車が無いと赤ランプが点く仕様の駐輪場で,深夜は赤ランプが大量に並んでいた.一個一個がプラスチック爆弾みたいで,いつも怖いなぁと思っていた.

 一回も利用したことないのに感慨深くなってしまった.なんか感慨深くなりたいだけの人だなと自省.一回ぐらい使えばよかった.自転車持ってないけど.

 途中,曲がり角から出てきたおじさんと並走した.歩く速度がほぼ同じ.気が合いそうだなと思った.後頭部の髪が漫画の吹き出しみたいな形のおじさんだった.前にも似たような人に会ったが,前は丸い吹き出しのおじさん,今回は雲みたいな吹き出しのおじさん.

 関係ないが,白髪交じりの後頭部は星空の軌跡写真みたいだよなぁとよく思う.


 家まで歩く間,濁点とマ行の組み合わせの文字は,口に出して気持ちがいいので,色々呟いていた.グミとかダムとか.個人的お気に入りは,土間,だった.

 その流れでゴビと呟き,ゴビ砂漠を思い出す.ゴビ砂漠のゴビはモンゴル語で砂漠らしい.砂漠中の砂漠ってことか.

 砂漠と沙漠の違いってなんだっけなぁと思い出していたら家に着いた.組み合わせの文字のことなんて忘れていた.


 うーん,それにしてもどうでもいいことばかりの帰り道だった.でも,帰り道ってそういうものだ.帰り道らしい帰り道.今日の帰り道は帰り道の王道!

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