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【試写レポ】『波紋』試写会【12_2023】

ごきげんよう。雨宮はなです。

PINTSCOPEさんのTwitterキャンペーンに当選し、イベント付き試写会で鑑賞させていただきました。
ありがとうございます!

作品について

登場人物が全員クズで、出演役者は全員チート級!
社会問題や刷り込まれた価値観とそれをひっくり返すような設定や展開に揺さぶられながら、もう、絶望を笑うしかありませんでした!

映画『波紋』公式サイト

正しく「平等」に「対等」にされた人物設定

この作品に出てくる、どの人物もクズです。
そして、どの人物にも「この人だって大変なのよ、だってね……」とフォローしようと思えばできる要素があります。
それがまあ、なんと等しいこと!

私が特にお気に入りのシーンに「主人公が息子の彼女と出かけた先で、息子の彼女にマウントを取られる」というものがあります。
この”息子の彼女”は聴覚障害を持つという設定なのですが、世間一般に広く浸透した「障碍者=弱者、虐げられる側」というイメージをぶち壊してくれます。
めちゃくちゃ底意地の悪い、したたかな、いや~な女なんです。
そのシーンは観るたびに腹がたちますが、「これこそ平等で対等!」と叫びんで拍手したくなる、素晴らしいものです。

本当に「忘れない」とはこういうこと

被災者を主人公に据え、その記憶やイメージを盛り込めば「震災を忘れない」というメッセージだといえるのか?
私は声を大きくして「NO」とこたえます。
適当な情報や間違った知識で“それっぽく”繰り広げられるものに見えるのは「忘れてますよ、ちゃんと調べるようなことでもないし」というメッセージ。

この作品は違います。
当時を彷彿とさせる日常を描くことで、「そういえばそうだった」と当事者でさえ忘れている出来事を思い出させます。
そして、“そこに取り残されてしまった人”を絶妙に描き、誰もがふつうを装っている可能性を示唆します。
本当に何かについて気にかけている人、取り込んで描こうとする人はこうやって表現するんだなあと感動を覚えました。

試写会について

開場前にも関わらず長蛇の列

開場時間の30分前にも関わらず、試写会場のニッショーホールからずっと列が伸び、角を曲がってもまだ人が並んでいるといった状態でした。
作品への期待度が伺えると同時に、よその建物への迷惑が気になりました。
最近はイベントも販売も「時間前からの整列はご迷惑になりますのでご遠慮ください(=禁止です)」というアナウンスがあるものですが、今回はなかったようです。

まさかの主演が登場!

監督とゲストによるトークイベントがある試写会でしたが、応援として主演の筒井真理子さんが急遽登壇してくださいました!
年上の方に失礼かもしれませんが、めちゃくちゃかわいらしい方でした……。
綺麗なのは大前提。
腰が低くて丁寧だけど、トークははつらつとして、とても素敵な人でした。

トークイベント中の謎(不要)演出

途中、ゲストのみなみかわ(芸人)さんの妻が映像出演するという流れがありましたが、特に意味も面白味もなく、時間ばかりとっていて個人的には不要だと感じました。
「何をみせられてるんだろう、何がしたいの?」という感想しかなく、あとで聞いてみたら、”みなみかわの嫁”としてその界隈では知られているそうです。
映画、関係ないやんけ。
その映像中、筒井真理子さんが映像にかぶらないようにとずっと体を折っていらっしゃって、その気遣いに惚れました。

さいごに

この作品の荻上監督は『かもめ食堂』や『彼らが本気で編むときは』で有名ですが、独特の雰囲気から苦手だったりアンチも多いと聞きます。
そんな人にこそ観てほしい作品かもしれません!
ひとりで笑いに行ってもいいし、誰かと一緒に行ってあとで語ってもいい。

遠慮なくクズと絶望を笑える『波紋』は5月26日(金)よりロングラン上映中!


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