#5 キーワードは「余裕」【黒澤世莉ワークショップ録】


最・終・日〜〜〜〜!


まずもって1週間の嵐みたいなワークショップを達成しかけている皆さんに最大の敬意を!いやーすげえ、まじですげえ。ナイスクレイジー。

体も頭も限界だと思うのだけど、本日は最後に成果発表をYouTubeで配信します。
前日までの時点でガツンと二郎系ラーメンみたいな演技ばっかりで、見てて背徳感と胃もたれが凄まじい。
本日も汗と涙といろんな汁が迸る配信になる事が期待されます。


世莉「1週間のWSでやった事をどれだけ楽しむか。」


今日はギリギリまで稽古して、本番に望みます。楽しめ、楽しめ。
まずは昨日の稽古のフィードバックから。


■昨日のフィードバック


  「感情をポンと出せなかった。どういう風に情報を認識しておくといい?」

世莉「絶対言わないぞと思った方がいい。やらないと思ったことは人間はやっちゃうので。」

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  「やっている最中から、エネルギーがあんまり残っていなかった。始まる前までにもっと作れたらよかった。」

世莉「準備については色々やってみて。過去の記憶、匂い、とか・・・波を起こそうとしても起きない。目の前に相手がいるから、そっちに集中して。」

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  「小さい感情もうまいこと表現するを目標にしていた。でもよくわからないまま終わってしまった。明らかに相手の様相がおかしかった時に、『この感じの時にこの言葉を言う?』と思っちゃった。」

世莉「おかしいと思ったなら、そのままやりなよ。言葉の意味を考えすぎちゃっている。おかしいよなーと思っていながら話していい。正解が狭い。自分の読んだ筋ではなくて、この場に存在していることが全て。めちゃくちゃでも波がきたら乗らざるを得ない。」

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  「1回目の方が自然にできたなと思った。まだ準備ができる時間があるから、舞台に立ったら相手からのものをもらって、手放したい。」

世莉「自分を褒めていいよ。この1週間でどれだけできるようになったか。羨ましいより、自分にもそのすごいことが起こっていると考えて。」

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  「新鮮さがなくなってきている。自分のよかったところ、戯曲にあっていなくても土台を使えたことはよかった。」

世莉「できている事をフォーカス当てて良いよ。絶対値で見る。相対化しちゃダメ。今ある波しかない。あと、環境が変われば感じも変わる。」

「絶対値で見る。相対化しちゃダメ。」
確実にできていることに焦点を当てて、できないことを総合で見過ぎないように。

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  「やってみた事として、『その場にいない人を補給してみよう。』と思ってマーサを補給してみた。実感を持ちながらできたので、その場にいない人補給するといいことがあると思った。」

世莉「いない人を現存化させることって、高度な楽しみ方だと思う。」



■余裕


世莉「苦しいから、苦しいをやっている楽しさを持って。これは余裕がないとできづらい。

自分でうまくいかないようにしている事をやめたらいい。余裕を持つことが大事。
頑張っている様は観ている方も頑張る。観ている側にも頑張らせない方がいい。
舞台に立つ時に余裕を持った方がいい。追い詰められているのは自分じゃなくて役。競走馬の関係に似ている。騎手が走っている感じにはしたくない。
何かを積み上げるより、何かをやらない方が自分を助ける。

楽しくなくても、楽しい事を待っていたらいい。
完璧主義はあまり良くない、完璧なのは難しいから。思い切り甘やかして。」


前にうちの主宰が言っていた言葉で覚えているものがある。
「心のどこかで『自分たちは馬鹿なことをやっている』と思いながらやってほしい。」
性格上私は私が必死に頑張ってしまうので、なかなかそう思えていることはないのだけど。「うわーこいつこんなにグチャグチャになってら(笑)」と舞台の上ではどこか無責任に、どこか人ごとに、やれたらいいのかもしれない。準備の段階では自分が頑張って、舞台の上で頑張るのは役にお任せする。それが手放すということなのかと思った。


本日もリラックスからのリピテーション。
リラックスは世莉さんの体を意識するためのガイドはあるものの、自分に必要なことを基本的にみんなにお任せするスタンスでした。寝たい人は寝転がっていい。立って歩きたい人は歩いていい。

世莉「たまに相手ではなくて、空間と仲良くするつもりでやってみて。良く関わるために良さげな部分に立ってみる。そんなつもりで。」

体が温まったら、シーン稽古へ。


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  「呼吸ができていないことに気づいた。余裕がないなと思ってしまった。」

世莉「そう思ったら相手に集中する。次の打席を新鮮にやる事を信じて。その時あるものでやって。」

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  「感情が高まると硬くなってしまう。」

世莉「もっと余裕になれたらいいな。自分は緩んでいる、役が苦しんでいる。相手のセリフを聞いている時も動けたらいいよね。」

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■配信スタート

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さあ、やることはやりました。いよいよ配信が始まります。
配信発表会の目標をみんなに聞きました。

「楽しむ。」「ジョーを強い男に。余裕を持つ。」「楽しくなければ待つ。動く時は大胆に動く。」「もぐら(邪念)を叩いて繋ぐ」「なぞらない。自分にカレンを着せる。」「気持ちがぬめぬめしちゃったので、カラッとしてやる。」「コップの水をジャー。」「できないことを数えず、今の自分で最後まで挑戦する。」「余計な事を考えない。コップ投げつけるくらいでやる。」「出し切る。」「相手に集中して自由にやる。」

みんな頭使いすぎてない目標で面白い。この調子ならいい感じに頭を空にしてできるのではなかろうか。


世莉「空間と仲良くして。事故らないで。」


というわけで、配信スタート!


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何とも言えぬ緊張感の中、配信は進みました。緊張はひしひしと感じるものの、それも自分のエネルギーにして自分を解放しているように見えました。
ここで私は発見した。今までの稽古の中では、役の「感情」がどんどん形創られていきました。それだけでも向上だと思うのだけど、さらにうまく行っていたところは役の「目的」が見えた。そこからの「障害」が見えた。手に取るように見えた。
役の感情が見えて、こちらはそれを感じとって私は涙して、2人の障害からのその先に目が離せなくなった。非常に、濃密な時間でした。

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配信の様子はアーカイブが残っております。
みんなの勇姿、是非見届けておくれ。

ハンニャーズ中嶋かねまさ主催 黒澤世莉の演劇WS
成果発表会 リリアン・ヘルマン「子供の時間」




■配信を終えて


さあ、最後は終わってみての感想。

初回で立てた目標と比べてどうだったのでしょうか。


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 「楽しかった。だーっと、バーっと、出した方がやりやすかったです。前のチームからも力をもらえたし、概ね今日までやった事を出せてよかったです。」

世莉「独特のオノマトペや勢いなどがあって、それが舞台に出せたら面白かったかなと。役コーティングにならなかったので良かった。
雰囲気が怖くなりがちなので、相手に大丈夫だよと思わせられるようになったら(相手を安心させられるようになったら)より素敵になると思う。カレンでも、もうちょっと頭悪そうにできると思う。そういうところがあなたの魅力として出せるといいと思う。余裕を持って自分が出せるとより魅力が出せるかなと思う。」

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 「いないジョーを感じるをやってみた。ジョー役の人とハグしてみたけど、シーンにはあんまり入ってこなかった。初回だからうまくいかなかったけど、今後に生かしたい。空間はうまく使えたかな。」

世莉「説得力は初回より断然あった。落ち込んでいるあなたの面白さはあるから、それを使えていてよかった。前のシーンから引き継いでいない人を感じるのは素敵なチャレンジ。やったことが素敵。貪欲にパクっていきましょう。」

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 「本番は無理しちゃったね。と話してました。無理したことが感じられたから修正もできた。余裕があったからこそ、強いジョーを最後まで尾を引けました。
『ストレスの原因を突き止める。』っていうのが目標だったけど最初の方で突き止めてた。やりたくないことをやり切れてなかったんだな、と。分かんなかったら嘘をやればいいとか、逃げ場はないんだな、と。でも、余裕を持つことが逃げ場になった。」

世莉「情けなさをやれたらもっといい。弱い人もやるとより面白いと思う。
逃げ場、っていうより、遊び。深刻なシーンでも面白さを入れられたりとか、相手を困らせたりとかそれが演劇の面白さだから。どんどん豊かになっていくから。モヤモヤ解消してよかったね。」

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  「ココイチ楽しかった。目標の『楽しいを伸ばす』ことができました。マイズナーをやることで今までマイナスになっていたところに、正直になれたのが嬉しい。好きになれてよかった。」

世莉「最後の配信では言葉の具体性が増えた。言葉の景色や色合いが増えた。そして、確信があるぐらい最後声がデカくてよかった(笑)面白い時間になるように今後も楽しんで。」

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  「WSが始まってから、昨日までは自分ができることが増えて、感情が出るようになっていってた。でも今日は読解への苦手意識が強くて、本を読んだらどんどん分かんなくなった。分かんないが邪魔だった。でも読んでて明確なものは出せた。でもそうじゃないところは、急に分かんなくなっちゃう。意識が飛んでっちゃう。消化不良に最後になった。」

世莉「相手とやりとりできていない感じがある。という当初のものは解決できたんじゃないでしょうか?やりとりはできるようになったんだから、よかった。次の目標ができたね。本を読むことができるようになることは、読んだり観たりが必要。
諦めをまず殺すこと。目の前のマーサからその時はもらったらいい。さらに分からなかったら、相手に聞いたらいい。」

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  「『マイズナーでやった事をシーンにつなげる。』『役の体として感じる。』という目標だったけど、役として感じる事はほとんどなかったかな。目の前にある事をポンと出すのはできるようになった。リピをやってから久しぶりに舞台に立ったら、空間をだいぶ見られるようになったし、使えるようになった。それで相手に集中できた。本番は緊張した。見られている意識があった。でも自分で立て直せたので、それを増やせたらきっと楽しい。」

世莉「全体的によかった話でよかった。発表があることがいいのは、目標のエッジがきく。締め切りができる。他人から見られながらやることの異常さを身に感じられる。自分への大きな変化に気付けるので、これは回数をやった方がいい。
稽古と本番の距離を縮められる。自分の特徴を知って、それをまた生かせる。
考える事を減らせる、と言うマイズナーの利点を確認できてよかったね。」

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  「まず目標は、ジョーを振ることだったけどそこまでいけなくて悔しい。次の機会をよろしくお願いします・・・!こう言う事をこの場で言えるようになったことが成長。手にあるものを全て出す。それはできたけど窮屈さは抜けきらなかった。」

世莉「結構ベロベロになってよかったと思う。稽古場の風通しがいいって良いこと。みんなが言いたい事を抱えているのって良くないから。空間や体への意識がかなり苦手だったと思うけど、かなり良くなったんじゃないかと。体のこと・空間を意識する・動きを伴う何かをやるのが良いかなと。
何かが好きになって可愛くなった、変化したのはよかった。」

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  「この場にいる事、あと自分にできない事ってなんだろうってことを忘れていた。足りないのはフィーリングかなと思った。衝動とは仲良くなれたかな。
でも、無理やり発生させている。相手に開くことが足りなかった。もっと相手の言葉を聞いて、感じることができればよかった。
本番は一番リラックスできたかな、他の人の影響を受けやすいから、本番前走ってみたんです(笑)。どういう状態がやりやすいか見つけられたかな。
準備が足りないところを感じられてよかった。苦手なことがわかってよかった。これが一番の成果かな、と思う。それを克服して武器にできたらいいと思う。」

世莉「できない事を飲み込んで、認識したことは価値がある。できないと思ったらできるようになる。感じた事を行動できるようにしようという目標はフィーリングしていければ、エッジが立ってやりやすくなる。
リアクティグも大事。体を緩めて、焦らず、返す。走るのも助けになったと思う。試せたことがよかった。緊張を超える心拍数に慣れて。」

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  「騎手が頑張っている感じがして、取り返そうとしていた。無理したタイミングもいっぱいあって悔しかった。ティルフォードに助けられて、ティルフォードを助けられたかな。自分の感情と体は掴めたけど、まだキャラクターの感じが難しい。リピも繰り返しやるうちに楽しめるようになった。最近心が動かないと思っていたけど、WSでガバガバになった。悔しかったり、もどかしかったりした。うまくなりたいとも漠然に思っていたけど、たくさん道標をもらいました。」

世莉「見た目と中身が違う、負けん気が強くて面白い。目標が見つかって、リラックスして相手と向き合えば感情は動くから。悪いかどうかなんて自分が思っているより、分かんないから。アベレージをよくしていくこと、悪くても自分がわかっていれば良い。
体を使えるようになったら良いと思う。シンプルに出すことは苦手じゃないと思うから。反骨精神とかは全然良くて、体を他人に、空間を使う、テンポが悪くなるも体の使い方だと思う。体を意識して、いろんな動かし方をしてみると、できることが増えると思います。」

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  「手放す。と言う事を目標にしてやっていた。如何せん緊張しいなので緊張を酷くしていた。でも緊張の中でのアベレージとしてはよかったのではなかったかな。新しい発見もあって、心が固まってなかったと気づいてよかった。自分としてセリフを出すのが大嫌い。役を被ってやることはできると思っていたけど、役でしかなかった。懐の感情を出すことができるようになってよかった。」

世莉「すごい抵抗していた事をやってくれてよかったなと。よく俺を呼ぶし、よくやるなと思っていたけど、こちらの指摘した部分を自覚してやってくれたのは素敵だったな。
シーンの中では自分を支えていた。マイズナーでないと感情を使えないわけじゃない。マイズナーって楽なんですよ。早いので、いろんなことが。自分の感情が使えれば役でも使えるから。単純でやってけばできるようになるのが良いところだから。続けたらそれだけ良いことがあると思うよ。苦手なところに向かう姿勢と、やって、やったことは褒めて良いよ。」

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  「目標としては楽しむことはできました。リピの時から寂しいからやだなと思ってできていました。自由に舞台で遊べたかな。4日間しかいなかったけど、シーンは5回しかやってないけど毎日楽しかった。」

世莉「特に言うことないけど、楽しいならよかったなと。言葉の具体性が少ないかなとは思った。切り替わりがぼんやりしている。マーサのところは特に。過去が鮮やかにつながっていくことが感情だけではなく具体性が出てくるとより辛いシーンに慣れるかな。でも4日間だからこれくらいだよなと・・・2シーンあったし・・・。

言葉の一つ一つに質感がある。自分の中にあるイメージが付帯する。
いかにやばめの演劇にするかを考えると、いかに言葉の一つ一つに具体的なイメージを突き刺すのか。観ている人にここに見えないものを見せれたら・・・でも役だけにはならない。まずをベースを使って。」

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中嶋「ちょっと視野を変えて・・・この現場だけでなく、この催し物に対してちょっとずつ貢献している事を自覚して欲しい。
いい事したなと思ってもらえるとよりいいかな。役者って舞台のことだけやっていればいいわけじゃない。外のことを1でもやっていると自覚していることがうまくいく秘訣だと思う。
いい事したな、と思って眠って欲しい。いいイメージを持って眠って欲しい。
ああなりたいという瞬間近づいているから。寝る前くらいはちょっといい気持ちで眠りたいなと思うから。」


参加者の皆さんに賞賛の拍手を。
迷った時は明確に方法を提示して、悲観的になりそうな時は自分を認めるように、そんな風に参加者を導いていくれた世莉さんには感謝の拍手を。
日々の稽古の中でも、自分を褒めて伸ばして、よく眠れますように。



世莉「短い期間でやったものってなかなか定着しない。こう言う同じ気持ちの人が集まって、一緒に何かすることがいいと思う。
自分たちの課題を成長させてくれるといいかなと。
最後に行っていた、準備と余裕。余裕がある方が面白い。余裕を持つには地道な積み重ね。コツコツやらないとできないから。
どうやったら準備できるかなというのは、これやったら楽できるぞと、いう気持ちで。日々の生活が相まってできるものだから。自分にできる範囲の努力、続けられる努力をするといいと思います。

あー楽しかった!」



世莉さんを呼んでみよう!


【おしまい。】


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