【ネタバレ】Switch版Cresteajuを語りたい アルシア〜建国宣言まで

Switchクレスのざっくりした感想(アルシア〜建国宣言まで)です。
ネタバレあり、箇条書きです。今回ちょっと長いです。
※PC版はプレイ済みなので、PC版のストーリーを全て知った上で改めて感じたこと、考察したことです。Switchでの追加要素は初見です。


◆アルシア巡回

・長老に挨拶。ディザがメモリーオーブのことを尋ねる。「そこの嬢ちゃんが欲しがってるじゃろ」に「オレも欲しい」と答えた。クレイシヴはいつかぶった切るから、今はオーブだと。
ディザは「そう、こいつのためだ」と答えるとルナンにまた気を遣わせるというか、助けられてばかりだと思わせてしまうのがわかってそう答えたように見える。
そして長老も、ディザ自身は少しもオーブを欲しがってないことはわかっている。失った自分を取り戻すことへの注意をルナンにしたあと、ディザも肝に銘じておけと念を押す。彼女にとってディザがどういう存在かを長老はすぐにわかって、彼女に付き合うことで自分にどう影響するのかを警告してる。
すごいんだよなぁ。テキストだけの短い言葉のやり取りなのに、長老の人柄や経験の豊かさ、教え子に説くようなディザとの信頼関係、全て伝わってくる。入れ歯パワーブースト悪口おじいさんなのにすごく人間味があってかっこいい。素敵すぎる。

・両親に挨拶。ディザが心の内を吐露する。ルナンは「ごめん、なんて言えばいいかわからない」と。こういう時はただ黙って聞いているだけで十分なものだけど、違う。
ルナンはこれまでディザにたくさん不安を聞いてもらい励ましてもらったから、自分も彼を励ましてあげたかったんだよね。なのに何も出てこない自分に無力さを感じた。「何かあればいつでも聞くから」と最後に付け足すことしかできなかった。
ただ、ディザだってルナンが何も言えないことはわかっていただろう。それでもつい吐き出してしまうのは、彼女に心を開いている証拠だと思う。ただそばにいて受け止めてあげるだけでもディザは十分助かってるかもよ。
そこにナックが来ると、ディザはすぐ家へ帰ってしまう。妹と一緒に親の前に立ちたくないように見えた。照れくさいだけかな?
「父さん母さんのこと、忘れないようにしなきゃね」。両親の記憶がないルナンからこの言葉が出たのは、ナックへのできる限りの心遣いだろうか。ナックの「うん。いつまでもしっかり覚えておくんだ、そうでしょ?」という返事に、ルナンは自分の両親のことについて重ね合わせないはずがない。
最後に「兄ちゃんもルナンも、あたしのことも見守ってください」と願う。細かいことだけど、“あたし”を最後に並べるあたり、本当にナックは自分よりも他の誰かのためを一番に考える子だよなぁと思う。
このアルシア巡回での三人のやり取りには、出た言葉の裏側に、出なかった多くの想いを抱えているのがすごく伝わる。
さっきも書いたけどこのゲームは会話に顔グラフィックなどはなく、文字だけ。それでもみんなそれぞれの心の機微というか、言葉や間から感情が浮かび上がってくる。

・兄妹宅でのひと時も良い。整頓された部屋と散らかった部屋に兄妹の性格が出る。タンスに入ってた木刀とキラキライヤリングに過去に大事にしてたものがわかる。
そして調べ事の時、長老の話に不安を抱くルナンに「過去を取り戻して今がなくなるわけじゃないんなら、ルナンはルナンのままだ」とディザ。その後モノローグで「ディザ、ありがとう」。言うまでもなく最高のシーンなんだけど、何が最高たらしめているのかようやくわかった。
ナックの「ご飯ができたよー!」のひと声だ。たったこのひと声がもしなかったらと想像すると、全然印象が違うのがわかる。それが意味しているのは、これは生活の中のなんでもない日常会話であり、特別じゃないごく普通の時間であること。
その中でディザはあの言葉がさらっと出てくる。そこに飾り気や嘘くささがなく、本心から思ったことをそのまま言ってるだけ。だから聞くほうもそのまま素直に受け取れる。彼は励ましているつもりすらないのかも知れない。なのに結果的にルナンは励まされる。
こんなの……最高以外の何物でもないでしょ。どうやったらこんなの描けるようになるんですか……もう感想というか分析になってしまいます。



◆大クレーター、セノウ通過
大クレーター、ここはゼビアマイン遺跡での会話の前振りでもあったんだな。
セノウで、生き残った老人から衝撃の真実を告げられる。ルナンは目の前が真っ暗になる。
「父さんが嘘を言うわけがない」、回想の始めと終わりに二度出てくる言葉。父を疑いたくないよな……もう何も信じられないだろうな。
蓋を開けるまでわからないとディザはまた励ましてくれる。けど開けるまでが長い……だからこういう時に一緒にいてくれる仲間ほどありがたいものはない。



◆ゼビアマイン

・炭鉱に潜入。服屋さんにコレクション目当てと思われて働く気ないのも見抜かれたら、確かに誤魔化しが利かないな。ナックの「ルナンだけずーるーいーよー」が可愛すぎ。
で、バレて捕まるわけだが、連れて行かれた先が弱っちいディヤマのとこで逆に良かった。もしエターナルは中身がルナンだとわかれば上層部に持っていくかツーリア行き……ストーリーがさらにカオスなことに。それはそれでアツくなりそうだが。
・ユミと合流。ユミさんの声また聴けて嬉しいのと、メニュー画面のユミさん美人すぎ! めちゃお淑やかなんだが……この容姿と「クックック……」のボイスがどうにも結びつかないぞ?w  表情によるのかもだが……
戦闘中のボイスも好きだ。「痛いわよ」で当てて倒したらカッコいい。全体的に姉御肌っぽいな。

・遺跡でファスラクリアを入手するとエターナルら現る。ユミとアズグレイは顔見知りか……ユミ編で語られるのが楽しみ。
大クレーターがどうやって出来たかを知り、そんなの嘘だというルナンの動揺、それを不思議がるラーフィア。あれを作ったのが自分だなんて信じたくないし、セノウ生まれの真実を知った直後だから余計に恐ろしく思えるだろう。
逆に真の生存者であるラーフィアに「村の人は国の支配など望んだの?」と尋ねると、一瞬言葉を詰まらせる……ものすごいやり取りだ。
ルナンとラーフィアは故郷を失った者同士。争う必要がない……とルナンはこの時点で感じたかはわからないが、故郷への想いという共通点があるのに、正義の違いでぶつかり合っていることへの違和感はあっただろうね。
そしてファスラクリアをエターナルに奪われようとしたところをクレイシヴに奪われる……すんげえ展開。この人、先に遺跡に入ったのにあとから出てきた。どこに隠れてた? 隈なく探索したのに(違
思えば、ここでクレイシヴが現れてくれなかったら、きっとアズグレイらには剣を奪われるだけじゃ済まなかったんじゃないか。奴らにとってルナンたちは邪魔者、できればここで潰しておきたかったはず。やられて捕まってたか殺されてた可能性も……だからある意味助けられた。
彼らが去る時、ラーフィアがルナンたちに一瞥する動きがイイ。ルナンとラーフィアは既にパーソナルな心のやり取りを始めていると思う。ラーフィアは都会育ちのルナンに嫉妬に近い感情があるのかな。「助ける者」を求めるアズグレイの理想についていくほどには、「金があるのに助けてくれなかった都市の奴ら」で括って憎んでいるのかな……。

・酒場でサヴィアーと再会。サヴィアー編から線と線が交わった。
神話の解釈についての話。ユミだけカウンター席に座ってるのなんかいいな。仲間内の空気に馴染めずに外側から見てるのがいかにもユミっぽいし、カウンターに頬杖ついて、かったるそうに「この変な人だれ?」と刺々しく訊いてくる様子が脳内再生されるw

・建国宣言決定の報が飛んでくる。ついに手を失ったエターナルの強行手段。
「クレスティーユを蘇らせれば国家はできる」「クレスティーユはいませんでした。どうしますか?」「聖剣があれば国家はできる」「聖剣も奪われました。次は?」「宣言をすれば国家はできる」
お前ら……海外のコメディか。客席の笑い声が聞こえてきそうだわ。
アズグレイの余裕のなさが見て取れる。エターナルはどんどん強くなってるように見えて、俯瞰してみるとむしろ追い詰められているような。外からは見えないメンタルの部分が。
憧れられたりサイン欲しがられたりするほどカリスマ性を持つアズグレイ。その実、自分の正義を急ぎすぎて自らの“終わり”を招く運命……なんか気の毒だ。ここでもやはり“欲と破滅”のテーマを感じる。戦士団の頃のほうがギラギラしてたんだろうな……トップは大変。



◆建国宣言

・故郷へ帰還。そういえば中央図書館の本棚を見てなかったなと思い出してこのタイミングで探したら、新アイテムを手に入れた!
攻撃魔法の範囲を広げる、めちゃくちゃ有能だけど対価として必ずターンの最後か。スピードスペルと組み合わせたらいい感じになるのかな? そのうち試す。

・夜のルナディザの会話……ここはだめ。濃すぎる。話したいことが止まらん。一旦省いて最後に回す。とりあえず最高すぎ。

・そして始まった建国宣言。
ここは……ストーリー中で一二を争うと言っていいほどの衝撃展開。
これから大陸はどうなるんだろう、エターナルをどうやって倒そう、倒した後はどうなるんだろう。本当に自分達にできるのか。様々な不安で落ち着かず、目の前の一つ一つをやってくしかないよね……って時に、この出来事。
嵐の前の静けさ、妙な胸騒ぎから事件発生まで、流れが美しすぎる。音楽のかかるタイミング、現場の瞬間をあえて映さない演出、敵VS敵の戦闘そしてクレイシヴの圧倒的な強さ……全てが芸術的。
エターナルの下っ端たちは、名乗り出たクレイシヴをあっさり受け入れて歓声を上げてる。のちに訪れるツーリアの住人もだが、彼らはアズグレイを信じていたわけでもなく、ただ神の意志とか、幸せをもたらす存在とか、証とか……そういうものに心酔していたいんだろうな。
偶像ってやつだろうか。とりあえず何か信じるものが欲しい。幻想を抱いていたい。導かれたい。みんな生きることに漠然とした不安があったり、自信がなかったりして。
彼らにとってはエターナルの一員であること自体が安心材料なのかな。信念がある人たちは指導者の交代で辞めるだろうが、そうでない人らは指導者が誰であろうとただ“幸せ”を信じ続ける……なんかこういうところに人間のダークな部分を感じる。

・その後、宿でシンディと合流。ナックがシンディを良く思っていないことがここで明らかになる。ちょっと空気がピリつくよな。
シンディは一緒にツーリアへ行きたいと言い、エターナルに入った理由を正直に話す。けどそれでもナックだけは納得してなさそうだった。
シンディの話を信用していないのか、シンディ自体を信用していないのか……ルナンたちがツーリアでやろうとしていることを密告する可能性があるって思ったのかな(実際、このナックの勘は鋭かったわけだが……)。
人を傷つけたり、何かを奪ったりする行いを人一倍嫌うナック。エターナルにも色々な人がいるが、所属しているというだけで嫌悪感を示すほどエターナルを敵視しているとは思わなかった。ここから物語の最後までで、シンディと会話した瞬間あったっけ……この後の展開を考えるとあり得ない話な気はする。
人と人だから、分かり合えないのも仕方ない……ちょっと複雑。

・ユミは次の目的地が決まると「クレイシヴの動きを追いたい」と言って一緒に行くことを決めるが、ゼビアマインからクレスフィールドへ一緒に来た理由も「クレイシヴの動きを追いたいから」だと。
気のせいかな……彼女はクレイシヴの行動を先読みしてるような。彼がクレスフィールドに来る予兆は何もなかったと思うけど……一緒についていけばそのうち出くわす確信があったとかならわかる。
しかしグラウンドシップ落書きは笑う。丸に変な三本の線は流れ星かw
あいつらなんで落書きに走ったんやろな……盗もうとしたけど操縦できなくてムカついたから落書きしてやる、とかかな。可愛い。
近くにいるんなら探し出して一緒にツーリア連れて行きたい。あとお頭見つけた? はよ見つけてもろてw


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◆最後に宣言前夜、自宅前でのルナンとディザ

ルナン「故郷にいた頃は毎日幸せだった。けど今ほど死を考えたり、泣いたり叫んだりすることもなかった。今は大変だけど昔には戻りたくない」
正直、驚いた。彼女は成長しているだけでなく、それを実感もしていて、楽しかった日々より、辛くても成長できる日々のほうを尊んでいる。でなければこんな言葉は出ない。それ自体が一番の大きな成長というか……いや、“成長”って言い方が上から目線に思えるほど。なんかもう尊敬です。
誰だって、楽で安全なほうにいたい。それを奪われて危険に身を投じるしかなかっただけなのに、いつの間にか厳しい道を受け入れていて……
いや、エターナルと戦う決心をした時からそうだろうが、先に何が待ち受けていて、どんな危険があるのかはよく理解していなかった。でもそれを理解した今も、その道を歩み続けることを受け入れている。それにびっくりしたわけで。
「運命を切り開く者」……か。

そしてエターナルとの戦いの、その後の話。いつまでもみんなと一緒ではいられない、と。「そりゃずっと一緒ってわけにはいかないよな」とディザが言うと、ルナン「そうよね……」。
寂しそうな返事。この気持ちにはすごく共感できる。頭でわかってるつもりでも、ハッキリ言葉にされると急に寂しくなる。「そんなことない、ずっと一緒だ」という言葉を期待してた自分に気づくんだよ。
「ディザは離れ離れでも平気?」と訊くと、即答はできない様子。「その時はその時だ」と答えた。ここで気づいたのが、彼は過去のことを深く悩まないが、未来のこともまた深く悩まない人間なんだ。彼は“今”を生きている旅人。そういう意味でもルナンと正反対なのかも。

ルナン「今はエターナルに勝たないとね」、すると「願えば、なんだって叶うぜ」。これディザのセリフで一番好き。
気合や根性の親戚(「やればできる」とか)みたいなもんだと言ったけど、自分はこの「願えば叶う」という言葉単体が好き。どちらかというと腕力で解決するタイプのディザが“願い”という綺麗な言葉を使うのが印象的で。意外にもロマンチストだなって。

そして最後。
ルナンが「もしも……」と切り出す。ディザはそれを聞いてすぐに話を止めず「もしも?」と相槌を打ち、続きを待ってくれる。
ルナン「もしも私がクレスティーユでも、今まで通りいてくれるよね?」ディザ「万が一そうなら……千年前のことでも教えてもらおうか」。
過去の話ではなかった。が、ルナンは薄々と、自分が本当にクレスティーユなような気がしてきてるんだと思う。そしてこれは、今まで通りいて欲しい、というお願いの意味。
ディザはここで言葉に詰まったり、返事に時間をかけたりすれば、ルナンをまた不安にさせる。それがわかってか、わからずか、深く考えず当たり前のように答えてくれる。ああ、ディザ……本当にありがとうな。
「戻ろうぜ」と歩き出す時、ディザだけが体の向きを変え、ルナンは彼のほうを向いたままだった。ここにそれぞれの気持ちが表れてる。
ディザは“今”を生きているから、一つのことに長く囚われない、というか囚われたくないのかもね。だからすぐに歩き出せる。
画面はここで暗転するが、その後ルナンは少しディザに置いてかれて、遅れて歩き出すんだろう。過去も未来も背負い込んで歩みの重たいルナンに、「そんなの今は置いていけ」とリードしてあげてるようだった。
最高オブ最高。なんでこんなに最高なのか。


以上アルシアから建国宣言までの感想。
次はツーリアから。
この自己満足の塊のレビューを読んでくださって恐れ多いです。PC版から10周近くプレイしているので約10周分の想いが溜まっており、事細かく語り倒して長くなってしまいます。
以前まで、プレイしてここまで人物たちの気持ちに入り込み、言葉のやり取り一つ一つに感動したことはありませんでした。
何度遊んでも新たな発見があり、ある意味この作品の全てを完全に理解することは一生ないのだろうなとも思います。



Cresteaju


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