雨田はな

あめだ、です。あまだじゃなくて。ブンゲイファイトクラブ4に「踏みしだく」で本戦出場。「…

雨田はな

あめだ、です。あまだじゃなくて。ブンゲイファイトクラブ4に「踏みしだく」で本戦出場。「エッチな小説を読ませてもらいま賞」次点。紅坂紫さんが編集をされているCALL magazine第15回に参加させていただきました。凄いメンバーに囲まれてアワワしてます。

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完璧な日曜日

「完璧な日曜日の反対語、って何だろうね」  ヒロが突拍子もないことを言うのには慣れていたはずだった。不思議ちゃんを気取るわけでもなく、突然おかしなことを言うのは…

雨田はな
6か月前
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唾鬼

    唾鬼 たっぷりと泡だった生暖かい唾液と共に、微かな甘味のする何かが、口に運ばれる。残っているざらついた粒で、それが粥だと分かり吐き出そうとするが、匙で止…

雨田はな
7か月前
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CALL magazine VOL.15

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雨田はな
1年前

FUKUYA

―だめじゃん、ちゃんと拭けてないよ。  二の腕を捕まれた。肩先の水滴をケイさんが拭く。ジャスミンの柔軟剤の香りの、毛足の長いタオルを押し当て、貴重品を扱うよう…

雨田はな
1年前
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BFC4 1回戦Bグループ|ブンゲイファイトクラブ

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雨田はな
1年前
完璧な日曜日

完璧な日曜日

「完璧な日曜日の反対語、って何だろうね」
 ヒロが突拍子もないことを言うのには慣れていたはずだった。不思議ちゃんを気取るわけでもなく、突然おかしなことを言うのは、知り合った頃からのことで、美しい眉根に皺を寄せて、ぽつりと呟く言葉は、天啓のように私の心を直撃し、ヒロの魅力を増量させた。 
 全身から嫌な汗が噴き出た。ここで、「不完全な水曜日」などと凡庸な言葉を吐いたら、捨てられるのは目に見えていた。

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唾鬼

唾鬼

    唾鬼
たっぷりと泡だった生暖かい唾液と共に、微かな甘味のする何かが、口に運ばれる。残っているざらついた粒で、それが粥だと分かり吐き出そうとするが、匙で止められる。再び吐き出そうとするのを、押し戻されるので、仕方なく飲み込む。
「いい子ね、レイ」飛び切りの笑顔で母が微笑む。
これがレイの、生まれて最初の記憶だ。
ベビーチェアに固定され、目の前に陣取った母が、自分の口でぐちゃぐちゃに咀嚼した粥

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FUKUYA

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―だめじゃん、ちゃんと拭けてないよ。
 二の腕を捕まれた。肩先の水滴をケイさんが拭く。ジャスミンの柔軟剤の香りの、毛足の長いタオルを押し当て、貴重品を扱うように、そっとそっと。髪より細い繊維で出来た、ポリエステル八十パーセント、ナイロン二十パーセントのマイクロファイバーが柔らか過ぎて、足元から力が抜けてしまう。
 ―あ、ありがとう。
 ―風邪引くよ。髪も濡れてる。はい、やり直し。
 ほつれて

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