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バムハントについて

 お久しぶりです。

 noteって一度モチベーションを失って書かなくなると本当おしまいですね。
 仲間内のポーカーやシンガポールのポーカールームのこと、ポーカーアプリのこと等で書きたいネタはいっぱいあるのですが、中々筆を取る気にならず気づいたら前回の記事から1年近く経過していました。
 万が一続編を期待していた数奇者がいらっしゃったらすみませんでした。

 ポーカーは相変わらずやってます。というか稼働時間だけなら2021年4月は過去最長だったと思います。

 今日Twitterを見ていたら興味深い話を目にしたので、これについてずっと前から思ってる自分の意見を書きたいと思います。テーマはずばり、バムハントについてです。

【バムハント】
 弱いプレイヤーばかりを狙う行為

 ポーカーで優れた成績を残すためには、様々なファクターが必要とされます。実力、バンクロール、コンディション等。
 その中で最も重要なものは『相手』です。当たり前の話ですが、同卓するプレイヤーが弱ければ弱いほど自分の成績は向上します。

 さぁポーカーやるぞとスマホアプリを起動して、お目当てのステークスを覗いたら、レギュラーだらけのテーブルとフィッシュだらけのテーブルが両方1席ずつ空いています。ほぼ全員迷わず後者を選ぶことでしょう。
 また、座っているテーブルに1人もフィッシュが見当たらなくなってしまったら、一刻も早くその場から離れたい気持ちに駆られ、別のテーブルを探しに行きたくなると思います。
 俺より強い奴に会いに行く的な格闘家タイプの人でない限り、できれば弱い人とプレイしたいと思うのが普通だからです。

 カジノでも同様に、テーブルを移動する権利が与えられています。ただ、カジノによっては一旦テーブルに着いてから次に移動するまでに最低プレイしなければいけない時間が定められていたりして、オンライン程頻繁に退席・移動を繰り返すことはできない場合もあります。
 とは言え、一切テーブル移動をしないプレイヤーは非常に珍しく、歴戦のプロでもチェンジテーブルリストにウェイティングを入れる人の方が多いです。

 ここまでで大体私の意見はわかると思いますが、私はバムハントを肯定する考えを持っています。
 もちろん長期的に見れば、しっかり座学をして、ポーカーの実力そのものを向上させることが最良なのは言うまでもありません。
 しかし、それを無視してでも目先の利益に飛びついてしまうのが人間という弱い生き物であり、それ程にポーカーにおけるバムハントの威力は絶大です。

 私はプロポーカープレイヤーではありませんが、生計の一部をポーカーで立てている以上、その支障となる行為はしません。その行為とは『利益の出ないテーブルで打つこと』です。

 私はKKポーカー等のポーカーアプリにおいて、自分が定めた利益水準以下のテーブルを一切打ちません。逆に利益的なテーブルだと感じればどのステークスでも座り、利益的ではなくなった瞬間に離席します。

 シンガポールの専業時代は、ライブでポーカーを打つことが余りにも楽しくて、レーキを考えると明らかにマイナス時給のテーブルなのに打ち続けることも多かったですが、それでも周りのプレイヤーに比べて頻繁にテーブル移動を繰り返していたと思います。
 仲の良かった中国人専業に「ヘイ!次はどこに移動するんだ?湖か?それとも海か?」とからかわれたこともあります(笑)。

 しかし、バムハントは最も利益的な行動であると共に、最も嫌われる行動でもあります。
 バムハントをしているプレイヤーは直ぐに判断がつきます。

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 これは私のPPPokerのスタッツです。
 注目は総ハンド数と総ゲーム数で、1ゲーム当たり37ハンドしかプレイしていないことから、どれだけ頻繁にテーブル移動しているかが伺えます。
 これだけ露骨にやっているとレギュラーからは当然嫌われて、私が着席するや否やうんこやロケットがテーブル中から飛んで来るようになりました。終いには狙っていた魚からも勘づかれて、私が座った瞬間に置いてあるBBを捨てて即抜けされるまでに至りました。
 しかしその見返りとして、通算で25BB/100handという凄まじい成績を残すことができました。

 シンガポールでも一部のプレイヤーからは嫌われていたかもしれませんが、私は日本人には珍しく一生他のプレイヤーと喋り続けるタイプだったので、殆どのレギュラーとは仲良くできていたと思います。日本人専業はあまりコミュニケーションを取ろうとしないので…。

 また、運営側からしてもバムハントするプレイヤーは害悪でしかありません。プレイヤーの離席は離席の連鎖を生みます。その結果テーブルが割れてしまうことになれば、レーキを落としているとはいえ、クラブ・カジノ全体で見るとそのプレイヤーの存在はマイナスです。

 半年程前だったと思いますが、N8でドイツ人プロがバムハントをしていたとして約20万ドルの没収を食らったという事件がありました。

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 N8の規約には「Bum Hunting(バムハンティング)だと認められた場合アカウントの残高を没収する」と明記されているようです。
 チーミングやbotと同じレベルの違反行為として扱われているようですね。

 このようにバムハントは全員から忌み嫌われる行為ですが、他のプレイヤーが同様の行為をしていても何も思いませんし、寧ろ徹底している姿勢に共感します。
 みんな大切な、大切な、お金を賭けてプレイしているのですから。

 ただ、そんな私が一つだけ許せない行為があります。
 それは『1人で待っているプレイヤーが、次に入ってきたプレイヤーがフィッシュじゃなかった場合に即抜けすること』です。

 私の理想のポーカープレイヤー像は、余りにも強すぎて1人で待っているのに誰も入って来ないプレイヤーです。1人で待つということは、相手が誰であっても逃げずに相手になるという意思表示に他なりません。

 それがフィールドの最高レートであれば尚更です。最高レートに1人で座っている人を見て、周囲にはそれを敬意と畏怖の眼差しで見る人も多いと思います。私もその1人です。
 マカオで1000/2000HKDのウェイティングに1人だけ名前を入れている人とかいますよね。もしその人が次に名前を入れた人を見て登録を取り消したり、しなかったりコロコロ変えていたら物凄く格好悪いと思いませんか?

 バムハントは、正直程度問題です。どんなKKの猛者でもTruetellerからは逃げるでしょうし、自分と同等クラスのプレイヤーと打っても利益にならないから打たないというのは普通のことだと思います。その線引きは人それぞれでしょうけど。

 しかしこのケースは違います。そもそも1人で待っている人なんて大概腕に覚えのあるプレイヤーです。そんな猛者に戦いを挑んで来るのって、超強い人とまでは行かなくても、ほぼレギュラーなんですよね。その覚悟もないのに座るなって思ってしまうのです。
 端的に言うと、死ぬほどダサいです。

 バムハントの専門である私がこんなことを言ってるのをおかしいと感じる人もいると思います。
 でも魚相手にしか利益を出せない人は、それなりに身分をわきまえないといけない。人に指摘されたり、周りから嫌われたとしても、甘んじて受け入れないといけない。
 間違っても鉄強の真似事をして、高レートで1人で待った上で相手を選ぶ、なんてことはしてはいけないんです。
 これは、私なりの美学です。


 先日、私の友人と呼ぶのもおこがましいようなマカオのハイステークスプレイヤーと通話していたときに、こんなことを言われました。
 「実は、これまで一度もテーブル移動をしたことがないんだ。プロは他のプレイヤー、そしてハウスと共存していかないといけない。ハウスが嫌がること、例えば魚がいなくなったら即ヤメして、結果テーブルが割れるなんてことは絶対にしてはいけない。テーブルにプロしかいなくなっても打ち続けるのが本物のプロなんだ。ハウスがあるから稼ぐことができることを忘れてはいけないんだよ。別に全員にそれを求めているわけじゃないけど、プロならプロらしくしろよと思うし、自分は常にそうありたいと強く思ってるよ。これは、ポーカープロとしての俺の美学だ。」

 

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