「夜勤疲れのお月様」(初投稿)
「夜勤疲れのお月様」 (note初投稿)
深夜よく行くコンビニの店員さんに
顔を覚えられた気がする。
別に何も気にしないけど何となく恥ずかしい。
友達との待ち合わせ。
時間潰しにカフェに入ってカルピスを飲みながらぼーっとしている時、
ふと後ろの知らない人の会話に耳を澄ましている自分に気付く。
お話に夢中で氷が溶けて
水の上澄みが美味しいアイスコーヒーを
不味そうに映えさせている。
つまりアイスコーヒーより優先なお話。
「結局春日さん家の夫が悪いんでしょ?」
友達から着いたとの連絡。
お会計を済ませてお迎えへ。
カラオケに行って温泉に行って。
1日遊び尽くした後、
少しだけ顔を出している控えめな月を見ながら
今日をゆっくりまた遊びなおす。
(…春日さん家の夫が悪いのかなぁ。)
いつの間にか月を見る事はやめて
横を通る軽自動車のナンバーを頭の中で足したり引いたりしていた。
帰り道、無性に日常を感じたくなって
いつものコンビニへ向かった。
夜勤の店員さんがいつも通り温かさと諦観の滲んだ目でお会計をしてくれる。
何も言わずにレシートを捨てる店員さんに
「僕がレシートを貰わない人なのがバレてるんだなぁ」と理解して、やっぱりなんか恥ずかしい。
ありがとうございました〜の余韻を
月に照らし合わせて自分の夜に世界を合わせる。
この日もコンビニ袋にスプーンの姿はなかった。
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