連載小説「ぬくもりの朝、やさしい夜」7
投稿7 さくらーあすみ
重い。ランドセルが、重い。
宿題ってなんでやらなきゃいけないんだろう。
でもやらないと怒られる。
怒られたくないからやる。
勉強ってそんな感じなのかなって思うけど、
多分そうじゃない人もいると思う。
あすみ、とか。
あすみって何でもできるよなあ。
あすみってなんで何でもできるんだろう。
なんで授業のときたくさん発表するんだろう。
なんでテストで絶対100点取るんだろう。
なんで先生に質問行くんだろう。
なんでクラスみんなに優しいんだろう。
なんでセーラー服が似合うんだろう。
なんで上級生に可愛がられるんだろう
なんであんなに上手に三つ編みできるんだろう。
なんで私とずっと
「親友」やってくれてるんだろう。
「さくら!」
帰りの会が終わると、あすみは人をかき分けて
私の机へ一目散にやって来る。
そして「バン!」と机を両手で叩く。
「さっき、職員室前の廊下歩いてたら、いそてぃーに『あいさつの声が小さい』って言われた〜!私ちゃんと言ったよ?いそてぃーの耳が悪いんじゃないの!?ムカつく〜!!」
あすみが怒ってる。でもわたしは今日も
3本が美しく揃えられた三つ編みを
じっと見てしまう。
「そっか。そしたら今度いそてぃーに会ったら言っとくよ。『あすみのこと、いつもよく見てるんですね』って。きもいね。あいつ。」
「さすがさくら〜!イケメン!!!」
あすみがわたしの腕に手を通した。
わたしもなんとなくあすみの腕を組んだ。
あすみの腕は白くてふわふわしてる。
私の腕はくすんでて骨ばってる。
私たちは毎日、学校が終わると
放課後託児所、すなわち
凛さんのお屋敷に向かう。
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