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夜のソウル ソウルへの旅

ソウルの夜の街をふらりふらりと歩くのが、好きだ。

もしくは、バスに揺られて眺めるのが。

初めてソウルを訪れたとき、着いたのは夜で、タクシーの車窓から赤く光る十字架(それも、たくさんの)を見たことが忘れられない。
そのときから、わたしにとってのソウルは、あの十字架のイメージになった。

東京も夜のネオンは明るいけれど、なんとなく素っ気なく思える。ソウルのそれに比べると。

ソウルの夜は長い。遅くまで開けている店も多いし、夜中にふらりと歩いていると、バスを待つ人が何人もいたりする。

そのせいか分からないけれど、ソウルの街の夜の灯りは、とても多彩だ。

ライトアップされた様々な建物が、目を楽しませる。
シンボリックな建物やオブジェがいたるところにあるからかもしれない。

だけど、本当に好きなのは人々が生活している場所の、夜だ。
東京の夜と全く違うそれは「あぁ、違う国にいるのだな」と沁々と感じさせてくれる。

「ぽつり」と夜に放り出された気持ちになる。寂しいような、自由なような気持ち。

そして、一番好きはのは、バス。東京の色彩と全く違う、街を網羅して走るバスと、それを取り巻く風景。

そしてそのバスに乗り込み、車窓をぼんやり眺めると、とても孤独で、それでいてどこか安心な気持ちになる。流れていく、知らない人たちの生活を眺めながら。

そしてバスを降りると、温かな灯りがわたしを迎えてくれたりする。

屋台に立ち上る湯気や、赤みを帯びた灯りが。

こうして「眠らない街」といわれるソウルの夜は更けていく。

ソウルを訪ねた際は、是非夜の街を歩いてみて欲しい。
そこには、昼間の顔と全く違うソウルを見ることができる。
昼間とは、違う角度の人々の生活や時間の流れを。

すっぽりとそれに呑み込まれて、漂ってみるのも悪くないと思う。

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