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TwiCall(ツイコール)で100人と話す

いろいろあって昨年末あたりからヒマになったので、TwiCall(ツイコール)というサービスを使って時間を潰すことにしました。このサービスはインターネット上で任意かつ先着1名のユーザーと無料通話ができるというもので、LINE通話のワンタイムメール版と思ってもらえればイメージしやすいかもしれません。

『斎藤さん』『mocri』など同様のサービスも存在していますが、TwiCallは通話相手がランダムかつ非映像共有サービスなので比較的治安の良い状況で利用できることが特徴です(通話相手を募集する/応募する、Twitterに紐付けする/しない等利用状況によってはこれが当てはまらない場合もあります)。また、外部アプリのインストール等が不要なため、気軽に利用可能な点も大きなメリットです。

当初は自分がTwiCallで通話を募集し、タイムラインに告知ツイートを流すことでフォロワー等から通話の応募を頂いていたのですが、いかんせん以前から知っている方が相手なので「これ、TwiCallじゃなくてLINEとかZoomで個別に連絡取ればいいじゃん」という状況になることが多々ありました。

というわけで途中からは、Twitterの検索機能からTwiCallユーザーを探して見ず知らずの方に話しかけるアプローチに方針転換しました。やはり見ず知らずの方と話したほうが得体のしれない話題になる傾向が強く、TwiCallというサービスのポテンシャルを活かせていると思います。

さて、何度かTwiCallを利用しているうちに知らない人と話す面白さに気がついたので、ある程度どんな層の人間が利用しているのかを記録しながら100人と通話してみることにしました。

なお、100人通話にあたっては、Twitterで「#TwiCall」とついたツイートを検索し、その時点で通話を募集しているリンクをテキトーに選んでアクセスしています。したがって、鍵アカウント(フォローしていない限り検索時にツイートが表示されない)の場合や、「#TwiCall」のハッシュタグを省いてツイートしている場合、そもそも募集ツイートをしていない場合などの通話には繋がっていません。

また、募集をかけているものの第三者のユーザーと通話が始まっていて繋がらなかった場合や、繋がったはいいけれど即切りされた場合は集計に含んでおりません。さらに、集計した内容の各項目も会話の中で自然に聞き取れた情報のみをまとめているため、「不明」という結果も含まれています。各ユーザーに毎回決められた項目の質問をぶつけているわけではないので、回答内容にもばらつきがあります。

前述の通り、目についたツイートをテキトーに選んでいる部分もあるため、厳格に期間や対象を定めて網羅的に調査したような内容ではないことを先にお断りします。「まあ検索からハッシュタグで調べた時に繋がるのがだいたいこんな感じなんだな」ぐらいに思ってもらえれば良いかと思います。以下、集計結果の内訳です。

利用者の性別

男性:79人
女性:21人

集計の通り、利用者は男性が圧倒的多数です。ただし、人気がある女性ユーザーは先に通話が始まっているために繋がらなかった例も多く、タイムライン上で視認したものの集計に含んでいないケースが存在します。したがって純粋な利用者数は集計よりもやや女性の割合が多いかと思われます。

利用者の年齢

10代:29人
20代:18人
30代以上:3人
詳細不明者:50人
(大学生・専門学生は20代にカウント)

会話の中で明確に年代が判明した利用者のデータを見ると、半数以上が10代であると分かります。詳細不明者についても(声質などから察したあいまいな判断ですが)年代はほぼ同様の割合で分布していたように思います。というわけで、基本的には若者が使っているサービスだと思ってもらえれば大丈夫です。

利用者の区分

フォートナイト:26人
エーペックスレジェンズ:7人
VALORANT:1人
裏垢女子:13人
裏垢男子:3人
知り合い:2人
その他:48人

何人かと通話を繋いでいると、多くのTwiCall利用者がTPSおよびFPSゲームのユーザーであると分かりました。フォートナイト・エーペックスレジェンズ・VALORANTは100人と通話する中で繋がった利用者のうち「ハマっているゲーム」の話題で名前が挙がったタイトルです。皆、1日4,5時間はプレイするのが当たり前だとのこと。ユーザー間ではDiscordというボイスチャットアプリで通話しながらゲームをプレイすることが一般的ですが、このサービスは事前に招待したアカウントとしか連絡できないため、それ以外との通話を目的にTwiCallも併用しているとのことです。また、これらのユーザー間で人気のYouTuberが動画内の企画でTwiCallを利用したことから、局所的にサービスの知名度が上がっている模様。

中高生のゲーマーは基本的に「自分が詳しく話せるカルチャーはゲームだけ」なようで、他の分野についてはほとんど興味がないとのことでした。ただ、学校の話とか部活の話とかはしてくれます。僕は繋がった中高生に「君は学校のクラスでどのへんの立ち位置にいるんだ」とよく聞いていたのですが、基本的に皆「中くらい」と答えていました。僕は学生時代のコンプレックスの話が好きなので、実際のところどうなのかを聞き込みたかったんですけど、さすがに見ず知らずのオッサン相手に10分程度で心を開いてくれる中高生は少ないようです。

あと、中高生はフォロー・フォロワー数を非常に気にしているらしく、そんなに話が盛り上がったわけでもないのに「フォロバするんでよかったらフォローしてください」という要求をされることが多々あります。友達が少なくて辛い、みたいな話もよく聞きます。僕は一貫して現実でもインターネットでも友だちが少ない学生時代を送ってきたし、「ネットユーザーの学生時代はそういうもの」という空気の中で育ってきたので、この反応には世代間格差を感じました。

ゲーマー以外に目立った傾向だと、裏垢女子(男子)が利用者の2割程度を占めているようです。最終的には性的な出会いを目的としていることからも、幅広い相手と音声通話が可能なTwiCallは相性が良いとのこと。なお、集計上裏垢男子は少数ですが、これは通話が繋がっても即切りされるパターンが多かったためです。もちろん、裏垢男子のマナーが悪いということではなく、話者である僕が男(かつ男声)であるためこういう対応をしているだけと思われます。目的を鑑みれば当然の対応といえます。僕みたいなオジサンと話す時間があれば、その分だけ女の子と喋る時間も減るわけで、そりゃ即切りして当然でしょう。

裏垢女子は、優しいです。そしてよく笑います。「そういう技術」に長けているんだなと感じました。また、通話している自分が何者なのかを名乗らずに会話を閉めようとすると非常に驚かれます。個人同士を認識することが大前提の業界だからだと思います。基本的に100人通話中は自分が何者なのかを相手に一切明かさなかったんですが、何度も「ウッ!この子に俺が何者なのかを教えて、今後も引き続き優しくしてもらいた~い!」と思う瞬間が何度かありました。でも「ごめんな。俺はエロ目的で君に群がるような奴らとは違うのサ」と思うことで自尊心を回復できる部分もありました。こういうのは卑怯なので、良くないことです。

以前からの知り合いと繋がった例は2件だけでした。不思議なもので、「自分が募集して、知り合いが繋がったパターン」よりも「知り合いが募集して、自分が繋げたパターン」のほうが楽しく感じられます。たぶん通話の成立に偶然性が加味されるためでしょうね。

通話後、自分は通話相手についてどう思ったか

また話したい:6人
時間潰しならまた話したい:78人
もう話したくない:16人

「また話したい」と思った相手は6人でした。そのうち2人は以前からの知り合いなので、実質4人だったといえます。また、「時間潰しならまた話したい」は78人でした。基本的に現状のTwiCall利用者は礼儀正しく、こちらが丁寧に話しかけた場合は概ね好印象で対応してくれます。10分程度時間を潰すだけの会話なら十分に満足できるレベルでした。

「もう話したくない」は16人ですが、これは態度が悪いという理由ではなく、壊滅的に話が面白くない・話が成立しない・話題が合わないという理由で選ばれています。むしろ僕がこれらの人々と話を合わせられるならばもっと楽しくできたし今後も話し合える関係性を築けたと予想されます。なので反省しています。

なお、興味が湧く面白い話をしてくれる人は日中に通話が繋がるケースが多かったです。利用者数は夕方~深夜帯が圧倒的に多いものの、面白い人の数が比例するわけではないため、夜は時間潰し目的以上のものを求めないことが無難です。

100人との通話が終了したのは1月12日の夜だったため、1日平均8.3人と繋がったことになります。1人あたりの通話時間は10分程度を目安にしていましたが、会話が盛り上がった場合は20分30分と続くこともありました。なんだかんだで期間中は毎日120分程度をTwiCallに費やしていたように思えます。

20人目と話している時くらいに気づいたのですが、多数の人々と次々にTwiCallで通話していく行為は、飲み屋で他の客に話しかける行為によく似ています。手狭な居酒屋とかバーとかのカウンターで隣に座っている客と、初対面同士で話す感覚。現実で同じことをしようとすれば一度の機会に出会える人の数は物理的に制限されますが、インターネットを介すことで究極的には無限大に増やせる点がTwiCallの魅力です。現実で話しかける際は相手の迫力にビビって声をかけられないことも多々ありますが、TwiCallならそれが軽減されるという意味でもメリットがあります。

また、コロナ禍の昨今に街の飲み屋で知らない客に話しかけることは極めて困難ですが、この問題を解決しているという意味でも便利なツールといえます。というわけで、飲み屋から素敵な出会いを求めるような方は、社会が落ち着くまで無料かつデメリットが少なく幅広い層にリーチできるTwiCallを利用しましょう。

ツイコール3

<志村貴子『どうにかなる日々』P2-3より。僕は「飲み屋で声をかける」という行為をイメージする時毎回この絵を頭の中に描いている。高校生でこの漫画を読んだときから「いつかこういうカッコいい会話をするぞ!」と思い続けているが、ついぞ実現できたことは1回もない。死ぬまでできない。>

結果的に、100人と通話した結果、友だちになりたいと思った方が2人見つかりました(ちなみにどちらも富野由悠季ファンです)。ただし、これはTwiCallというサービスを使わなくても、既存の検索エンジンやTwitter内の検索機能を駆使することで十分に出会えたであろう人でもあります。したがって、TwiCallがはらむ奇跡的な出会いを産む性質をこの身で体験することはできませんでした。なにか奇跡的なものを望む場合は、もっと長い期間をかけてもっと多くの人に話しかけることが大切かもしれません。
(ただし、「お互いを認知する→友だちになる」というミッションをクリアするにあたり、音声で会話するというプロセスを踏むことで、よりスムーズに関係性を築くことは可能だと思います。そういう意味では、TwiCallを挟むことはかなり効果的かもしれません)

おしまい

<ヘッダーは志村貴子『敷居の住人』6巻P177より>

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