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leave them all behind 2020 second to none(セコナン)/KRUELTY at 恵比寿 Liquidroom 2020/2/2 私感的備忘録

Daymareよりleave them all behind 2020のラインナップが2019年9月に告知されてより5ヶ月。

東京2days2日目、2月2日はアンダーグランド界の帝王 second to noneが恵比寿 Liquidroomに降臨、そして直系師弟バンドKRUELTYも同じステージに立つと言う。

告知をTwitterで目にし、即座に私の脳内ではヘッドライナーsecond to none、サブヘッドライナー KRUELTY に書き換えが起こった。

メタル、ハードコア、ドゥームデス界のリスナーの分母を鑑みれば1000人キャパのステージはいつまた観れるとも限らない。それだけにこの日のステージは特別なものであった。


◼︎KRUELTY

チベットのマントラか、僧の読経では無く魔物の呪詛か。物の怪漂うサウンドエフェクトをオープニングに導入。魔界からリキッドルームへ現れた5人衆KRUELTY。

スポットライトに照らされ緑に浮き上がる彼らの姿は目指し帽にフードを被り、そしてキャップにバンダナで口を覆いほぼギャング団。

初めて彼らのステージを観たのは2年前の年の瀬、高円寺のアウシュビッツ、ドムスタジオ。密室は消灯され漆黒、重音ビートダウンでにわかにはじまる乱闘。重音被曝後いかに無傷で生き残るのかと言う監獄ライブだった。

KRUELTYの重爆音震を大パノラマ空間で体感出来る贅沢。そしてこの日、彼らはドムスタからリキッドルームまで、箱が小さかろうが大きかろうが、メンバーが流動的であろうが無かろうが、大舞台のオープニングアクトを務めるに相応しいバンドである事を証明した。モッシュピットで狂気乱舞、嬉々としたクルエルキッズ達の姿も眩しかった。

音楽を知的に解析しバンドの音像へ投影して行く感覚の鋭さ、メンタルの強度。ゴールデンハムスターを愛でブルータルな愛を紡ぐ新進気鋭のドゥームデスバンド、KRUELTYのこれからの展開は重要チェック事項である。


◼︎second to none

碧い森に隠者現わる。

second to none ボーカルTK氏の頭巾姿に心中静かにどよめく。

緑の森の隠者、KRUELTY ボーカル スエタ氏の頭巾姿そのままにセコナン ボーカル TK氏へオーバラップし幽体離脱。物語は第一話から第二話へ。

リキッドルーム内は鍾乳洞内かと錯覚する音響空間、縦4m程に積み上がるスピーカー。頭頂から爪先まで洞内のポリフォニックな共鳴音が五臓六腑を揺らす。これぞセコナン重音ボディソニック、最大級の重音振、重音圧、重音風。

目に映るセコナンのステージは碧い深海に閉じられた大きな墓場の様でもあり、この世では無くあの夜。

深海に沈んだ廃墟から海面に映る虚空の光を仰ぐ。碧い空洞にエフェクディブなギターが永らく響く。

予期せず起きたドラムのペダル破損で一時演奏が中断かと言う緊張が走った時、右手を負傷されていたかねうち氏のスペーシーでアンビエントなギターが碧を包む。

偶発的なトラブルだったと思われるが、セコナンの別のベクトルを予感させる様な出来事でもあった。かねうち氏は右手を負傷した時にギターはもう弾けないかも知れないと思った事をTwitterに書かれており、ライブの後にそれを知った。そのかねうち氏が、演奏が途絶えんとすと言う時に奏でた無垢な音に曰く言い難い感情を覚えこの隠喩的な出来事に不思議な感覚を覚えた。

ラストは月の女神アルテミスを具現化した歌姫4hoさん(ANYO)と、初期衝動的情動をあらわに全身全霊で吠えるTK氏との碧きコントラスト。逆光に浮かぶ2人のシルエットで閉る。

人間の根源的な力強い生への情動、暴力、死への衝動。そして鋭敏無垢、繊細に震える魂。

second to noneの楽曲群を前に頭で考えるちっぽけな理性や理屈は相対化される。

この日、紺碧の海へ深く身体を沈めた。


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