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食洗機を買ったら、生きるのが少しだけめんどくさくなくなった

生きるのって、本当にめんどくさい。
息をするだけでお金がかかるとはよく言ったもので。

生きるために、娯楽の時間を削って 労働をして、家事をする。

私は毎日を楽しく暮らしている方だとは思うし、死にたいわけじゃないけれど、明確に生きる目的があるわけでもなくて。
自分が生きている間はずーっとお金がかかるし、労働と家事をし続けなくてはならない。そんな未来を思うと ゾッとするし、途方もない道のりに軽く絶望する。生きるのって、本当にめんどくさい。

さて、そんなことを考えながら家事をしていたある日、食洗機を買った。そうしたら、少しだけ未来が明るくなった。そういう話です。


食洗機は前々からほしいと思っていた。
なぜなら、私の嫌いな家事、栄えある第1位が「食器洗い」だからだ。
嫌いな理由は、ひとえにめんどくさいから。
まず水を使うのがめんどくさいし、手が濡れる。食器がぬるぬるしていてもめんどくさいし、カピカピしていてもめんどくさい。大きくてもめんどくさいし、細々していてもめんどくさい。

やり始めれば10分で終わると分かっていても、2時間くらい床でごねてしまうくらい、本当に嫌い。

ただ、食洗機は定期的なメンテナンスがめんどくさいという話を聞いたことがあって 躊躇っていて。
この度 めんどくさいを天秤にかけ、〝ときどきめんどくさいより、毎日めんどくさい方が嫌だ〟という結論に至り、買うことにしたのだ。

あれこれ調べた結果、私が買ったのはタンク式の3人用。
最近は1人用のコンパクトな食洗機も増えているけれど、自炊をすることと稼働回数を減らしたいことを考え、大きめを選んだ。

説明書を読み、組み立て、ホースをシンクに固定して完成。
ぴかぴかで可愛い。私の食器を洗うためだけに存在しているんだと思うと、愛しくてたまらない。
やっぱり自動家電は最高である。

さっそく食器を入れ 電源をオンにすると、給水を促すランプが灯った。
タンク式なので手動で水を入れる必要がある。それすら少しめんどくさいけれど、こればかりは仕方ない。

指示された分量の水を注ぎ、スタートボタンを押す。
ごとごと という音と モーター音。そして 水がばしゃばしゃ動いているのを食洗機の窓から見て、思った。

私の食器洗い、今日からこれで終わり…?

もうぬるぬるともカピカピとも戦わなくていい。
そして、家事の時間が減ったのはもちろんだけれど。それよりも めんどくさいと思いながら過ごす時間が激減した。

食べたらお皿を洗わないと っていう憂鬱な気持ちとか、洗いたくないからもう少しだけ携帯を弄ろう って目を背けたりとか。そういうのを抱えた 嫌な時間。

そんな大袈裟な、ちゃちゃっとやれば済むことじゃん、という方のことは大いに尊敬するけれど。
ちゃちゃっとやれない私にとっては、1日の終わりに襲ってくるこの時間が 何より精神と体力の消耗だった。そして、それが〝生きるのってめんどくさい〟につながっていた。
なんて、気がついたのは食洗機を導入した後。それまでは、〝こんな当たり前の家事ができないなんて、ものぐさにもほどがある〟と、自分のことなのにちょっと引いていた。

ちなみに、私は元々食洗機に興味があったので、以前からお皿や調理器具を買う際は 食洗機対応のものを選んでいた。
そして、以前購入した自動調理鍋も内釜以外は食洗機対応。
いまやお箸やコップ含め、ほぼすべての食器を食洗機が洗っている。

そんな毎日にも慣れてきて、いまや〝生きること〟は〝めんどくさいこと〟ではなくなりつつある。
どれだけ食器洗いが嫌いなんだよ、って思わず苦笑してしまうけれど、嫌いなんだからしょうがない。

そういえば、この話を何人かの友達にしたら「食器洗い、私は嫌いじゃないしむしろ好きだよ」という返答がいちばん多かった。
けれど、みんなその後に加えて「洗濯物を干すほうが嫌」「その代わり、自炊はしないかな」「それより部屋の片付けがめんどくさい」なんて、それぞれの〝できない〟を教えてくれた。

私は食器洗いが本当に嫌いだけれど、洗濯物も自炊も片付けもめんどうではない。片付けに至っては、むしろ進んでやるくらい。
みんなそれぞれ〝めんどくさい〟も〝嫌い〟も持っていることに、すごく安心した。


そして、もうひとつ。
私はめんどくさがりだし、めんどくさいことは大嫌いだけれど。〝めんどくさいことをどう減らすか〟を考えることは大好きなのだ。

生きるのはめんどくさいけれど、この〝めんどくさい〟を少しずつ取り払って、〝楽しい〟の面積を増やすことに尽力しよう。
なんて、最近はそんなことを思っている。

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