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遊戯王WCS2024 デュエルリンクス部門(スピード) 観戦メモ

今年も書きました。適当です。
デュエルリンクスの部(スピード)が10%くらい分かります。

↑リンクスの本戦は8日の0時40分からスタート


ルールの要約

一人5デッキの東海ルールBO5(全デッキでカードプール・リミットを共有)、予選はスイスドロー、決勝はトーナメント形式。
ここまでは去年と同じ。

変更点は二つ
「レジェンドスキル」を3デッキ以上採用しなければいけない
スタンダード/レジェンドデッキという概念が消滅し、代わりにスキルのルールが増えた。
デッキにセットできるスキルには「レジェンドスキル」と「アーカイブスキル」の二種類がある。

レジェンドスキル
そのスキルを所持しているレジェンドデュエリストのみが使用できるスキルです。そのレジェンドデュエリストと関係の深いカード・デッキを強化する効果のスキルが多く存在します。

アーカイブスキル
全てのレジェンドデュエリストが使用できるスキルです。
特定のレジェンドデュエリストとは関係のないカードを強化したり、汎用的な効果を持つスキルが多く存在します。

ゲーム内の説明

スキル名の横に〇か◇の記号があり、〇がレジェンドスキル、◇がアーカイブスキルを表している。

レジェンドとは名ばかりのゴミみてえな縛りを強要されていた去年よりデッキ編成の自由度は上がったが、競技的な視点ではこのルールにあまり意味はない。現在の環境デッキで使われるスキルはほとんどがレジェンドスキルだからである。
アーカイブスキルを使用するデッキの中で実戦レベルのパワーがあるのは【シャドール】、【不知火】、【魔妖】くらいで、一応これら全てを編成することはできなくなっている。


「タクティカルカード」を選べる

「タクティカルカード」を1種類選ぶことができる。「タクティカルカード」に選んだカードは各デッキに3枚入れることができる。ただし、リミット1のカードおよびゲーム内で1枚しか手に入らないカードをタクティカルカードとした場合は各デッキに1枚しか入れることができない。同様に、リミット2のカードおよびゲーム内で2枚しか手に入らないカードをタクティカルカードとした場合は各デッキに2枚しか入れることができない。

https://www.konami.com/yugioh/worldchampionship/2024/ja/

超重要な変更点。
汎用カードを積めることが強みのデッキを複数採用できるようになった。
なるべく多くのデッキで採用できるカードを設定したい。今の環境なら《禁じられた一滴》とか?
出場選手のデッキ選択を読んで、広く刺さりそうなメタカードを設定して5デッキ全てに投入するのもあり。

・その他
去年と変わっていなければ、デッキの使用順は毎試合自由で、各選手の使用キャラクターリストが事前に選手に配られるはず。多分スキルの種類も出る。


現代リンクスのゲーム性について

去年は「手札誘発のない遊戯王」と形容したが、今年は「「指名者」カードのない遊戯王」とでも表現できるか。
今年にかけて、二つの大きな変化があった。

・本格的な手札誘発の実装

2023年10月に《エフェクト・ヴェーラー》、2024年3月に《朔夜しぐれ》、7月に《原始生命態ニビル》が実装された。
去年は汎用的な手札誘発が《アーティファクト-ロンギヌス》と《D.D.クロウ》しかなかったことを考えると、随分とインフレを感じる。

以前から実装されている他の手札誘発には《スカル・マイスター》や《ドロール&ロックバード》がある。ドロバはほとんど使用されていない(スキルによるサーチを止めることができないためOCGやMDより弱い)。

なお、ニビルはセレクションボックスでの実装であり、3枚揃えようとするとまあまあのお金がかかる。


・より強力なスキルの実装

ただ強力なだけでなく、追加効果があるものが増えた。
例に挙げたスキル「ダークフルード・リンク」もその一つ。
注目すべきは②の効果の最後の部分で、2ターン目以降(=後攻をとったとき)にスキルを発動すると追加効果がある(手数が増えると書いてある)。「デッキ外からモンスター5体を特殊召喚可能な状態で除外し」の部分も意味不明だが。

こちらもインフレを象徴するスキルである。
③の効果には「墓地に」という文言が書いてあるおかげで、こちらの先攻展開にヴェーラーを打たれても追加効果で展開を続けることができる。
スキルを使用することで普通なら回るはずのないデッキが回るようになる、というのはリンクスではよくある強化方法だが、「三幻魔招来」は群を抜いている。無から幻魔を生やすってなんだよ。

今までスキルは「五枚目の手札」と呼ばれてきたが、テキストが整備され始めてからは、よりカードとしての側面が強まった。後攻時の追加効果や、相手墓地を参照する追加効果は、相手の手札誘発に対抗するための指名者カードの代わりであると言えるかもしれない。
デュエルリンクスに実装できるカードがほとんどなくなった今、スキルが新たなカードとなり、環境を動かしている。


環境デッキ一覧

ふわっと紹介。詳細に解説しようとすると展開で使用するカードの膨大なテキストを表示することになるので諦めた。
スキルで何が起きるのかをメインに紹介するので、細部に突っ込みは入れないでほしい。構築は強そうなものか筆者が使っているものを載せた。
環境で使われているデッキはもう少し多いが、直近の入賞率が高いと感じた6デッキを選んで紹介する。

【ヴァレット】 / リボルバー

https://x.com/shadow_gamesix/status/1831172544243916845
《ラピッド・トリガー》は二枚のみ実装

何が起きるのか
①召喚・特殊召喚に制限がかかり、《デュアルウィール・ドラゴン》と《エクスプロードヴァレット・ドラゴン》がリリース無しで召喚できる。
②墓地を肥やしながら《ヴァレルロード・R・ドラゴン》を儀式召喚する準備ができる。
③相手が動いていたらEXデッキから《ソーンヴァレル・ドラゴン》を出すことができる。

※「出す」は特殊召喚ではなく、特殊召喚にカウントされず、特殊召喚できない制約を貫通するが、「出す」で出したモンスターは特殊召喚された扱いとなる。

6月のWCS予選で猛威を振るったデッキ。日本2位で本戦出場を決めたRYOSUKE選手もこのデッキを使用していた。
その後、同期の代行者はボコボコに規制され解体されたがヴァレットは生き残った。なんで?

③の効果は相手墓地にモンスターが存在していても使えるため、こちらの先攻展開に対して手札誘発を打たれるとリンク2が生える。もちろん後攻なら確実に効果を使用できる。スキルはチェーンブロックを作らないため、ソーンヴァレルの着地時に妨害を当てることはできない(スキルの効果処理が終了してもヴァレット側から優先権が移らない)。

上の構築には入っていないが、スキルの②が指定する「攻守の合計が4000のモンスター」にはロンギヌスが含まれるため、なんとスキルの効果で手札誘発をサーチできる。
罠主体ではなく、《混源龍レヴィオニア》などを投入した展開重視のタイプも存在する。


【フルール焔聖騎士】 / シェリー・ルブラン

9月4日 水仙杯入賞(まだらめさん)
現代リンクスの到達点

何が起きるのか
①レベル8のフルールがリリース無しで召喚でき、後攻をとれば自動的に手数が増える。
②手札を一枚デッキに戻すことで、レベル1か2に調整可能なチューナーを場に出せる。
③自分の場のモンスター1体を墓地に送ってレベル8モンスターに変換できる。

強力なスキルには構築や特殊召喚に制限が設けられることがほとんどだが、このスキルには最低限の条件を除いて一切の制限がない。そのためあらゆるテーマを混ぜることが可能な汎用スキルであり、プレイヤーの構築力が試される。フルールFTKだけで何十本も動画を作った人もいた。

研究が進んだ現在では、【焔聖騎士】と混ぜるのが強いとされている。先攻では《メタルシルバー・アーマー》などを装備してとんでもなく硬い盤面を作り、後攻はスキルの手数と合わせて頑張る。《重力の斧ーグラール》を採用して一部のデッキをメタるタイプもある。(後述)


【光天使】 / ドルベ

9月4日 水仙杯優勝(TAKAさん)
《旋壊のヴェスペネイト》は一枚のみ実装

何が起きるのか
①召喚・特殊召喚に制限がかかり、《No.102 光天使グローリアス・ヘイロー》が二回攻撃できる。
②手数が増える。
③場を空けつつ手数が増える。

《光天使セプター》と《光天使スローネ》を揃えて展開する、いわゆるセプスロが全てを破壊する。過去にスキル無しでも暴れたセプスロがスキルを貰って帰ってきた!

セプターと《光天使スケール》のドローで妨害を引き込みながら4エクシーズで戦うデッキ。一見弱そうな《光天使ブックス》も展開に重要な役割を果たす。《光天使ウィングス》を入れる人もいる。

スキルの②も③も、裏側表示でモンスターを出すため反転召喚を挟む必要がある。そこに表示形式を変更できなくする効果を持つ《重力の斧ーグラール》が刺さるので、【フルール焔聖騎士】にグラールが採用されることがある。


【ダークフルード】 / Playmaker&Ai

https://note.com/hikaruchanchan/n/na7cd8891b93a
《ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード》は一枚のみ実装

何が起きるのか
①召喚・特殊召喚に制限がかかる。
②手数が増える。後攻だとさらに増える。
③リソースを回復する。

先行展開ですが、盤面はハニーボット+ダークフルード(3カウンター)

モンスター効果3無効(ダークフルード)
+効果対象耐性(ハニーボット)
+効果破壊耐性(墓地赤ファイアウォール)


を基本的に作ることになります。

https://note.com/hikaruchanchan/n/na7cd8891b93a

先攻は制圧、後攻はめちゃくちゃな手数でごり押すデッキ。
このデッキのせいで《禁じられた一滴》が流行っているらしい。

ぶっちゃけ筆者はダフリのことをよく分かっていないので、詳細な解説はこちらを読んでください。


【三幻魔】 / ユベル

ラビエル、ハモン、ウリアは全て一枚ずつの実装

何が起きるのか
①特殊召喚に制限がかかる。
②三幻魔の素引きを初動に変換できる。
③相手が動いていたらデッキから三幻魔を出せる。

《失楽園》の耐性で《幻魔皇ラビエル》を守りながら《幻魔皇ラビエルー天界蹂躙拳》でラビエルの打点を8000にしてぶん殴るデッキ。先攻で余裕があったら発動する《失楽の霹靂》も厄介。

失楽園の2ドローで妨害を引きにいけるのも強い。スキルの③で戻せるため、手札誘発を優先して採用する傾向がある。コストの確保が容易なため、《暴君の暴言》を採用する人もいる。


【閃刀姫】 / ゴーストガール など

《閃刀姫ーカガリ》は一枚のみ実装

何が起きるのか
①自分だけLP5500でデュエル開始して死ににくくなる。
②《閃刀姫ーハヤテ》の打点を2300にできる。

スキル「リンク・ダークレイズ」はレジェンドスキルではあるが、ゴーストガール、Playmaker、リボルバーの三名が使用できる。
ここまで紹介してきたスキルと比べると字面がショボいが、どちらもかなり強力な効果。

スピードデュエルは初期ライフが4000であり、これを基準に各デッキが展開・キルルートを考えているが、それが1500も増えるとなると話が変わってくる。スキルで本来ないはずの1ターンを確保しているようなものなので、見た目以上に強い効果である。過去の環境では「自分の初期LPが1000増える」というだけのスキルを採用したデッキがあるほど、デュエルリンクスではLPが重要な要素となっている。

②の効果も単純な打点上昇だが、直接攻撃できる効果を持つハヤテと組み合わせることで凶悪になる。ハヤテの攻撃を二回通せば勝てるようになるので、《閃刀機ーイーグルブースター》で無理やり耐えて殴るという戦法がシンプルながら有効。

そして20枚のデッキに対して《閃刀起動ーエンゲージ》が3枚投入できるため、エンゲージへのアクセス率がOCGやMDよりも高い。エンゲージが重なりでもしたら最後、凄まじい勢いで魔法を連打されて相手は死ぬ。


おわりに

ここまで紹介したデッキの他にも、【シャーク】や【破械】、【サンアバロン】、【Em】など様々なデッキが環境では使われている。そのどれもが強力なスキルで展開する。リンクスを知らない人が見たらかなり意味不明で面白いと思う。

本戦に出場される皆さん、頑張ってください!

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