アパートメントで起こった問題と、soarで起こっている問題について

鈴木悠平さんが性的な加害を複数人に与えたという問題を受けて、私個人としての考えを書こうと思います。

鈴木悠平さんは、私が設立した「ウェブマガジン アパートメント」という団体を長年に渡って手伝ってくれ、数週間前までは私に代わり代表の立場を務めていました。
1年前にアパートメントがプライバシーや著作権に関する問題を起こしたことから私は鈴木さんをはじめアパートメントと決裂することになり、現在は関係を断ったままです。

今回の鈴木さんの加害問題を知った時からSNSでその経過を追いかけ、被害を受けた方にとって最善の対応が取られることを願っていました。
しかし、問題が発表されて3週間経った今も被害を受けた方は誠実な対応を受けられず、加害側から二次加害への対応も拒まれ、苦しんでおられます。

私には1年前に鈴木さんやアパートメント管理人と双方理解しあえず、理不尽を感じたまま口をつぐまざるを得なかった経験があります。
その時私はプライベートや著作権を侵された被害者でもありましたが、もうひとりの被害者であるマスナリさんに対してはアパートメントの体制を作り上げ、鈴木さんに全権を一任した責任ある立場でもありました。
そういった立場や経験を通して今回の問題を見た時、鈴木さんとsoarの対応は、1年前に鈴木さんとアパートメントがマスナリさんに取った対応に通ずるものがあると考えました。
アパートメントは書き手とその表現に寄り添う場所であるはずで、soarもまた人と向き合う場であるのだと思います。
しかしアパートメントでは著作権の侵害や創作物の改ざんが、soarでは被害者への不誠実な対応という「どこで起きても許されないことではあるが、ましてやこの場所でだけは絶対に起きてはいけないこと」が為され、なお今もそれに真摯に向き合われることなく放置され、被害を受けた方の尊厳が損なわれ続けている。

このふたつは全く別の出来事なのだけれど、同じ根を有していると思いましたため、現在起こっている問題の何か助けになることがあればいいと願いつつ、書くことにしました。

この文章を書くにあたって、たくさんのためらいもありました。
まずは、直接的には関係のない問題を混ぜ込むことで、却って解決や対応に混乱が生じ被害者の方への負担になりはしないかということ。
またまったく面識のない私からの言葉や、新たな事実が、被害者の方々への負担になりはしないかということ。
それから、過去の問題をふたたび掘り返すことで、1年前のアパートメントの問題の被害者であったマスナリさんにご迷惑をかけるのではないかということ。(今回マスナリさんには、これを書くことを相談し了承を頂いています)
自分が離れたあとのアパートメント内部を知らぬ私が、一度噤んだ口を開き再び問題を蒸し返すことでどんな影響があるかわからないこと。(アパートメントの方には、これを書くことの了承を得ていません)

アパートメントに関わって下さるすべての方、読んで下さるすべての方を悲しませる行為になるのではないかということ。
そしてまた、SNSという、被害者にとっても加害者にとっても、あらゆる言葉や憶測が、あるべき以上の刃となって被害者や加害者の(もしかしたら間接的に別の方までもの)身を切り裂く場で、これを書くべきかという葛藤もありました。
罪はそれ相応の重みを持って引き受けられるべきだと思います。
しかしネット上では、それが過剰になり、歪に膨れ上がる。

そういう場で、果たして話すべきだろうか、悩みました。
被害を受けた方に直接お便りすることも考えましたが、先方が感じる負担を想像したらやはりこのような形で書くしかないのかもしれないと思いました。
また、私が中心にいたことでアパートメントという場の信用を鈴木さんに付与してしまった責が、元代表である私にはあります。
私はもちろん鈴木さんがどなたかに加害していることは知りませんでしたが、アパートメントを一緒に運営する中で、鈴木さんの人との接し方や団体のお金の使い方の違いなどに大きな違和感を抱きつつも、それを個人的な悩みの範囲でしか考えられないまま、代表を退きました。
もしかして私が代表であった時代にも、私の知らないところで重大なトラブルがあったかもしれません。
そうだとすれば、そのことに向けても、私は発信をするべきなのかもしれないとも考えました。

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1年前にアパートメントで起きた問題については、当時こちらに詳しく書きました。


※note文面は当時の文章のまま、編集していません
※アパートメント誌上に載せられた謝罪文は現在は削除されています(マスナリさんも了承済みの削除です)。

非常に長く、私の文章も分かりづらいので、おおまかに内容を記すと…、
マスナリさんとの個人的なエピソードを書いた私の文章を、アパートメントが承諾なく改ざんした形でウェブ上に載せ、それにマスナリさんと私が抗議したのが発端でした。
アパートメント管理人はその誤りを認めたものの、直接マスナリさんと対話することを避け、早期に弁護士を間に立て、最後にはマスナリさんの納得の行かないかたちで問題を収束させました。

今まで言わずにいたことがいくつかありますので、当時は何故私が責任ある立場を急に投げ出したのか(クラウドファンディングでお金を集めまでしたのに)疑問に思われ、不信を感じた方も多かったと思います。

以下に書きますのは、それに対する釈明ではありません。
ただ、当時の私が、アパートメントという場所を書き手や読者のみなさんに出来るだけ"心地よく優しい"場所として存続させたいと願って、そのために自分が口をつぐみ、去るのが一番良いと判断したことは誤りだったかもしれないということをこれまでも度々考えてきました。
あの時に内部で問題となり、結局私の能力では解決できなかった感覚のずれや、不信感のようなものを、私は正確に評価することができなかった。
単に私の感覚が他の人と違うから起こった軋轢であり、私がアパートメントのあるべき姿に固執しすぎ、また、表現者の立場から、管理人のみんなに厳しい要求をぶつけすぎているのかもしれないと考えました。
そして、みんなと意見が違いすぎる私がいなくなれば全てが丸く収まると結論して場を去りました。
しかし結果的に私は一番大事なことを貫かないままアパートメントを去ったことになるのかもしれません。
当時は私自身がアパートメントを失い、信用を失うだけなら、それを自分が受け止めれば良いと考えていました。私には上に立つ能力は無かった、お金を集める能力もなかった、それを自覚せずにみんなを振り回した罰だと思っていました。
でもそれはこうして長い目で見たら、自分が何より大事に思っていたアパートメントという場を裏切ることに繋がってしまったのかもしれません。
また、今回起こった問題の種のようなものを、正す機会を逸することにも繋がったのかもしれません。


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私がアパートメント管理人との間に決定的な溝を感じたのは、クラウドファンディング計画中でした。
クラウドファンディングでは支援者にお返しができる仕組み(リターン)があるのですが、私はそのお返しの仕組みを、アパートメントの書き手の方の作品を読者に届けられる機会にできたらと考えました。
書き手の方が提供してくださった作品に対してアパートメントからお支払いをし、その作品を支援者にお礼としてお送りするかたちです。
しかし、蓋を開けてみれば作品提供に対する予算はメインに据えられておらず、お金が足りないから「作品の提示値段をお願いして下げてもらおう」といった話がもちあがりました。
サイトリニューアルのプログラミングなどの予算は下げられないけれどアパートメントの書き手さんは身内のようなものだから、きっと分かってくれる。善意で参加してくれている方々だから、きっと相談に乗ってくれる。といった意見でした。
私は、作品を値切るなんて絶対にしてはいけないことだし、書き手の方はアパートメントにとって「身内」ではない。気持ちのうえでは「身内」のように親密でありたいけれど、そのことと混同してはいけない。書き手の方は読者のかたと同じ、一番近いお客様で、なにより尊重すべき表現者だ。ましてや、いったん提示してもらった作品の値段を下げてくれと頼むことなど、絶対にあってはならないことだと激昂しました。
作品を値切るという案は取り消されましたが、私が何故そこまで怒ったのかはあまり理解されなかったようでした。

このように関わって下さる方への考え方や、頂いたお金の扱いについて、私と他のメンバーとはずいぶん考え方が違いました。
例えば、鈴木さんはマスナリさんの問題が起こった時に弁護士を雇ったのですが、その何十万という費用をクラウドファンディングで得たお金から出すという考えでした。
もちろんそれは経費の一部として計上してよいものという判断もあるも思います。

私としてはそんなことに使うお金をクラウドファンディングで頂いたわけではないのだから反対したかったのですが、その時アパートメントから離れていたのでも口を出す権利は無く、状況を見守りました。
決定を見る前に私への情報共有は止められてしまい、その後のことは分かりません。

そういった感覚のズレや違和感は随所にあり、私はそれを理解しようとしたり、時には正したりすることに膨大な時間を割きましたが、遠方からの文字のやりとりにならざるを得なかったこともあり、お互いうまく理解し合うことは叶いませんでした。
私は、自分の信念を曲げられない以上、彼らと一緒に仕事をすることは無理だと思いました。

私はアパートメントを、何かを書く人の味方になるような場所にしたかった。それは自分が表現者として孤独を感じる事が若い頃にはあったからです。だからレビュー制度もはじめました。
もちろん管理人のみなさんもそれは共通して持ってくれている思いだと思います。

けれど、クラウドファンディングを経て、初めてお金がサイトに関係してくる段階に至って、表現者や表現されたものへの扱い、作品へ支払われるお金の問題について、あまりにも認識が低いのではないかと感じる場面が頻出しました。
それは、普段書いていただいているコラムへの扱いにもにじみ出ることだと私は考えます。

そして、私のコラムを無断で改ざんし掲載したことにも繋がって来、また、そのことを軽く見てマスナリさんに誠実な謝罪ができなかったことにも繋がっています。


noteにも書いたように、マスナリさんは結局一度も鈴木さんと直接対話できませんでした。
アパートメントは、クラウドファンディングの支援者へ向けて催し物を開催したことがあったのですが、マスナリさんも支援者であったためその会場に行かれたところ、管理人たちはマスナリさんを会場に入れないどころか警察を呼んで遠ざけ、弁護士に身柄を確保させました。
警察を呼ぶというのはちょっと普通の対応ではないように私には感じられたため、私はマスナリさんの行動に行き過ぎたものがあったのではないかと疑ってしまいました。
また一方で同時に、直接の対話を拒むどころか警察を呼んで取り囲ませるとはどういうつもりだったのかアパートメント側にも問いただしました。

結果私はマスナリさんとも衝突し、アパートメント側からも味方してくれないならもういい、という態度をとられ、その後解決までは仲介をすることもやめました。(弁護士が入っているので私が間に入るわけにはいかなくなったことも理由のひとつです)

その後もマスナリさんは、私も被害者のひとりなのだということで私に都度進捗の報告をしてくれてはいました。
しかしアパートメント側からは一切の連絡もありませんでした。

しばらく経ってからマスナリさんより、解決したとの連絡が来ました。
解決とはいっても、マスナリさんに対しアパートメント管理人全員から手書きの謝罪文を送る代わりに、マスナリさんはこの件についてこれ以上話さないことという口止めを弁護士から言い渡されるという交換条件つきでした。
しかし鈴木さんからの手書きの謝罪文は「二度とあなたと関わりたくありません」という文章で締めくくられるなぐり書きでした。
「なぐり書き」というのは大げさな言葉ではなくて、実際に、間違った文字はぐしゃぐしゃペンで消されているような、全く清書されているとは思えない手紙だったのです。
しかしそんな手紙を"謝罪文"であるとして受け取った怒りを、マスナリさんはどこにも漏らすことができませんでした。
弁護士から口止めをされ、それに同意してしまったあとだからです。
そもそも、加害した団体が被害者個人に口止めをするなんて許されないと思うし、それをよりによって「アパートメント」というサイトがしたかと思うと、怒りで頭がパンクしそうでした。

あまりのことに鈴木さんも含まれたアパートメント管理人のグループメールに「一度も直接謝りもしなかったどころか、被害を受けた方に対して捨て台詞を吐くとはどういうことなのだ」と問いました。
そもそも、私も被害者のひとりであるし、この件についてアパートメント側から仲裁を頼まれた立場でもある。それなのに私への報告より先に、アパートメント紙面で解決を伝えているのはおかしいのではないか?
自分たちが行ったことの重大さが分かっていないのではないか、だからマスナリさんに対しても真摯に謝罪ができず、捨て台詞まで吐けるのではないか?と厳しく問いました。
そして「もし納得の行く説明がないなら、私はアパートメントに二度と関わりたくない。私の記事やアカウントは消して下さい」と言いました。
すると、鈴木さんからは「言えることはありません。」の一言だけが送信されてきて、即座にアパートメントの私のアカウントや記事は全部消去されました。
仕方なく私は、アパートメントを離れる、という公式発表をしました(それが上にリンクしたnoteの記事です)。
そのあとすぐアパートメントのSNSや鈴木さん個人のSNS全てからブロックを受け、それ以降鈴木さんからは今日に至って何の連絡もありません。


私はそんなふうにして、自分がつくり、8年間毎日見守ってきた場所を離れざるを得なくなりました。


自分のコラムは望んで消してもらったのですが、レビューは私だけの文章ではなく、書き手の方のものでもあるので、慎重に対応してほしいと頼みました。
しかし技術的に難しいなどと言い訳をされて取り合ってもらえませんでした。

書き手の方からの問い合わせもあったため後々再度お願いしたのですが、やはり聞き入れられませんでした。

アパートメントの中では、レビューと本文は切り離せないような関係にあります。まして私の書いたレビューは数が膨大でしたし、中には直接作品に深く繋がっているものもありました。

レビューと本文との繋がりの大切さは、アパートメント内では共有されていることです。

それを犠牲にしなければならないほどのどんな技術的不可能がそこにあったのか、私にはよくわかりません。

私は、ちゃんと理由を聞きたかったです。
どういう経緯があって弁護士を立てたのか、なぜ対面で謝罪ができなくて、何故あんななぐり書きを送ったのか。

私には、元代表として聞く責任があると思ったし、被害者であるマスナリさんに説明する義務もあると思ったし、また被害者のひとりとして聞く権利があるとも思いました。
鈴木さんにはSNSをブロックされてしまったため、他の管理人に「どうしてこういうことになったのか教えて欲しい」と頼んだところ、謝ってはくれるものの「言えないことがあるので、理由を言えない」の一点張りでした。

私に言えないことがあるのは仕方のないことだし、何かを守るために口をつぐまねばならないこともあるとは思います。
けれど、理由は言えないけれど、理解しろ。
悪かったとは思っているけれど、直接会って謝ることもできない、今回のことは収めてくれ。
は、通用するわけもないのではないかと思います。
管理人一同からは、押しても引いてもその回答しかもらえなかったのが最後まで残念でした。
マスナリさんに対する鈴木さんの対応についてすべて承知している彼らが何を感じていたのか、何故素直に鈴木さんに従っているのかも、教えてもらうことはできませんでした。


私が現在起きている鈴木さんとsoarの問題が、かつてのアパートメントでの問題と似ていると思ったのは、周りにいる方が鈴木さんを守って、その結果鈴木さん自身が罪と正面から向き合わないでいられる環境が成り立っていることも同様です。
周りの方の態度が、それがたとえ優しさや善意から生まれたように見えるものであれ、結果的に加害者を守り、被害を受けた方の尊厳を損なう結果になっているのだとしたらそれは考え直されるべきではないか。
私はそう思います。


結局、アパートメントの内部にあった事件を書き連ねることに割いてしまいました。

こうして加害や被害の質もまったく違うことを引き合いに出して語ることが、正しいことだったのかわかりません。
しかし、ここに漂う微妙な違和感や、出来事の中にひそむ間違いの種のようなもの、鈴木さんをとりまく周囲の方たちの空気や、文章と行動の間にある乖離や齟齬のようなもの、非を認めようとしない姿勢、反省を見せながらも被害者に唾を吐きかけるかのように見える乖離した行動…それをこれ以上うまく短い文章で表すことができませんでした。

鈴木さんやアパートメント管理人を名指しで批判するような文章を書いてしまいましたが、本当にこれでよかったのかという思いが去来してもいます。
しかし、ここまで書かなくてはこの何となく許されて鎮火してしまう空気には抗えないと思いました。
そして被害を受けた方だけがいつまでも自らを責め続けて、孤独になって、長い時間痛みの中に取り残される。
わたしはそんなことを絶対に許したくありません。


鈴木さんには、誤りの本質は何だったのか、被害を受けた方に何をすべきなのか、考え抜いて行動してほしいと願います。
鈴木さんをフォローしている方も、被害を受けた方の尊厳を守るためには何が必要なのかをまず重大なこととして捉え直してほしいと願います。
鈴木さんのFacebookでは、鈴木さんを励ますような言葉だけが残され、批判の言葉はすべて消去されていると聞きました。
そういった状況を、鈴木さんをフォローする方ならなおさら冷静に判断し、そしてその上でご自分がとっている行動が加害者が反省する機会を奪い、被害者の方の尊厳を傷つけ、また二次的な加害に加担することになる可能性についても熟考してほしいと願います。


アパートメントから正式にお知らせが出ていますとおり(https://apartment-home.net/kanrinin-dayori/info0401/)、万が一何かしらの被害に遭われ相談をされたいと思われる場合には受け入れ態勢があるとのことですが、それとはまた別に、私個人としても、私がアパートメント代表であった頃に加害があった可能性を懸念しています。
もしかしたら私個人になら話しやすいかもしれないと思える方は、お声をかけていただけたらと思います。
私は専門家ではないため、私個人がそれを解決できるなどとは考えていません。なんとかそのことを一緒にどうにかできる道を考える、または然るべき場所にお繋げするようなことしか自分に出来ることはないのかもしれません。
また、鈴木さんではなく、過去の主催者からの加害についても同様にご相談いただけたらと思います。こちらも私の元に暴力と数件のお金に関する被害が報告されており対応しております。
おそらく長いアパートメントの住人さんであればなおさら、このことは私に話しづらいことではなかったかと思いますので、あえてアナウンスさせていただきます。
(※)

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最後になりましたが、被害を受けた方のくるしみが少しでも和らぐ瞬間が訪れることを心からお祈りいたします。

何をもって解決と呼ぶのか、良い方向に向かうとは果たしてこの場合どういうことか、そんなものはないのではないか、色んな思いがよぎります。
私も、最後までこの問題をみつめ、見過ごすことはしません。





(※)4/18 23:16(欧州時間)追記
このあとに続く3行ほどの文章を消しました。その文章があるため私に連絡しづらくなるかもしれないと思ったからです。
私の連絡先を追加しておきます。
kaoriasahiro@gmail.com 

ブログを読んでくださって、嬉しいです!頂いたサポートはこれからも考え続けたり、つくりつづけたりする基盤となるようなことにあてさせていただきます。