曖昧になる。
ホルモン補充療法をしてみた
寝汗がひどく、パジャマを着替えまくることも、指が痛いのも、どうにかならないものかとたどり着いたのが、この療法だった
人によって、やり方は少し変わるようなのだが、
医師と相談して
私は「貼るタイプと飲むタイプの薬」の併用で、この療法をやることにした
貼るタイプは違和感なくできていたが、
飲むタイプは副作用が強く出た
飲み始めてすぐに吐き気が始まり、1日中吐き気や気持ち悪さが付きまとった
日常が失われ、ただ吐き気に耐える時間を過ごしながら、「副作用を乗り越えたら楽になるかもしれない」と思い、しばらく飲み続けた
その間に、普段より少し食欲は落ち、眠気と吐き気で持病の薬が飲めなくなっていた
果たしてこれで良いのか、わからなくなった
今までの自分の中に、
多少はあった「意欲」や「食欲」がなくなり、
普段感じていた「持病のきつさ」は後ろに追いやられた
また「持病の薬を飲むこと」ができなくなり、『吐き気だけが自分の全て』のような状態になった
「吐き気だけの存在の私」は、『今までの私の連続性』を失っていた
ホルモンだけで「私」というものがこうも変わるのかと思うと「私」って何なんだという命題を、吐き気の中ぼんやりと考えていた
どちらの私でありたいか、
至らない、おぼつかない私でも、「今までの自分」で、生きたほうがいいとぐるぐる迷いながらも思い、療法をいったん中止することを医師と話し決めた
ホルモンで左右される曖昧な私の存在を認識した
『私を私足らしめているもの』がなんなのかわからなくなる、経験を私はした
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