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防御率と与四死球率の関係は、思ったより大きくないかも!?

いよいよ1日から春季キャンプが始まりました。

個人的にも少しずつ忙しくなってきて、なかなか発信活動に時間を取れなくなってきているのですが、今日はオフということで記事を書いてみようと思います。

防御率について

先日、こんなアンケートを取ってみました。

防御率を良くするにはどこを改善すると良いのかという話ですが、結果としては与四死球がダントツのトップとなりました。(投票してくださった皆さんありがとうございました!)

安打や本塁打などはバッターの力量に大きく依存しますが、四死球はピッチャーの力量がほとんどなので、防御率との関係性が強そうな感じはしますよね。

というわけで今回は、「防御率に最も影響を与える指標は何か」というテーマで考察してみようと思います。

まずは関係性を調べてみました

今回は2005年から2021年までの17シーズンで規定投球回に達した全てのピッチャーのデータを収集しました。

まず4つの指標と防御率の関係性を見ていきたいわけですが、奪三振、被安打、被本塁打、与四死球はどれも合計値なので、たくさん投げれば投げるほど大きな数字になってしまいます。

なのでこれらをイニング数で割って、1イニングあたり何本ヒットを打たれたか、みたいな感じで比べてみようと思います。

結果はこんな感じになりました。

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このグラフを見ると、被安打率と防御率(左上のグラフ)の関係性が最も強いことがわかります。被安打率が多くなると(=グラフの右側にいくと)、きれいに防御率が高くなっていますね。

被本塁打率や与四死球率もそれなりに防御率とは関係がありそうですが、奪三振率と防御率はあまり関係なさそう、ということがわかります。

さらに、「重回帰分析」という方法でそれぞれの関係性の強さを数値化してみると、こんな結果になりました。

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防御率に与える影響の大きさは、被安打率が1番高くて、被本塁打率と与四死球率は同じくらい、奪三振率はほぼ関係ない、という感じですね。

なぜそうなったのか?

こういう問題について考えるとき、個人的に大切にしているのが「前提条件を明確にすること」です。

まず今回のデータでは、規定投球回到達者を対象にしています。

そして防御率は、「自責点÷投球回数」の式で表すことができます。

なので防御率を下げる方法は、①自責点を減らす、②投球回数を増やす、の2つがあるわけです。

さてここからひとつひとつ詳しく考えていきましょう。

規定投球回に到達する

まず規定投球回に到達するには、先発投手としてシーズンを通してローテを守ることが必要になります。

なので、比較的コントロールが良くてイニングを食える投手のみが対象となっているわけですね。

実際に先ほどのグラフを見ると、与四死球率のグラフは他と比べて左右方向のばらつきが小さいことがわかります。投手間での差が小さいということです。

また、平均的な四死球率は0.3前後ですから、9イニング投げて四死球3個くらいという計算になります。レベルが高いです。

自責点を減らす

自責点に明らかに関係していそうなのは、本塁打です。

安打とか四死球は1つ出しただけでは得点にならないケースが多いですが、本塁打は1本で自責点がついてしまいます。あらためて本塁打ってめちゃくちゃ怖いですね。

ただし本塁打は出現確率がかなり低いです。平均的にみると、安打は本塁打の11.3倍、四死球は本塁打の3.7倍発生しています。

単純計算で4安打=4四死球=1本塁打と考えると、四死球と本塁打は同じくらいで、安打がかなり強く関係していそうです。

奪三振についても、必ずアウトを取ることができるし、ランナーも基本的には進まないので、自責点を減らす上では有効な手段となりそうです。

バットに当たると、打ち取った当たりが野手の間に飛んでしまったり、アウトになったとしてもランナーが進んだりするので、どうしても点が入るリスクは高まるわけですね。

ただし直接的に自責点に繋がる安打や四死球や本塁打よりも重要かというと、さすがにそれはなさそうです。

投球回数を増やす

まず各要素と投球回数の関係の強さをグラフにしてみると、こんな感じになりました。

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投球回数を増やすためには、主に失点を減らすことと、球数を少なくすることが重要だと考えられます。

球数を減らすには、当然ながら四死球数を減らすことが求められますが、もうひとつ重要な点として「三振は球数が多くなりがち」というのがあります。

最低でも3球は投げなければいけないですし、ボールとかファールも入ってくる場合がほとんどですから、直感的には平均5-6球くらいは投げていそうです。

なので、投球回数を増やすという点では、奪三振は必ずしもプラスに働かない可能性があります。

本塁打は一球で発生するので、投球回数に与える影響は小さそうですね。

まとめ

上記の考察をまとめると、こんな感じになりそうです。

①規定投球回に達する投手の間では、四死球の差が小さい

②自責点を減らすには安打>本塁打=四死球>三振

③投球回数を増やすには四死球>安打>三振>本塁打

そしてこれらを総合的に合わせた結果が、最初に出した以下のグラフに現れているものと考えられます。

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ぼくの考察はこんな感じですが、他にも色々な考察ができると思いますので、ぜひTwitterとかで教えていただけると嬉しいです!

ではまた!

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