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まあお訳古今集 恋はいちごを添えて拾漆

 涼しいを超えて、徐々に寒くなってきましたね! 朝晩の寒さ、皆さんいかがお過ごしでしょうか、自称作家の あまおう まあお です!

 時の経つのの速いことと言ったらまさに矢のごとき速度で、なんと今年も残すところ約二か月というんですから、驚きますね! 今年はなんだか不安定で、とんでもない一年だったような気がしますが……それでもまあ、平安末期とか鎌倉時代もなかなかの動乱期だったと思うので、それに比べたらまだいい方なんじゃないかな、なんて思ってます。

 そんなわけで今回も強引に古今集、訳しますよ^ -☆

​恋歌三 詠み人しらず
君が名もわが名もたてじ 難波なるみつともいふな あひきともいはじ

噂になんかなりたくないでしょう? 私を見たとも言ってはいけない。あなたと逢ったことは口が裂けても言わないから。 #いちご訳

いけ好かんな?
本人が言わなくても噂になることはあるし、何よりこういうこと言うやつから「実はナイショやけどな」って言うじゃん!
みつは「御津(地名)」「見つ」、あひきは「網引き」「逢ひき」。要はダジャレ。
こんな歌貰ったら率先して言いふらしまぁす^ -☆ この歌残ってる時点で……

恋歌三 詠み人しらず
名取川せゞのむもれ木 顕ればいかにせんとか あひ見そめけん

名取川の瀬に埋もれた木だっていつ露わになるか分からないじゃない。わたしたちのこの恋、人に知れたらどうしたらいいの。 #いちご訳

禁断の恋シリーズ。
どのレベルで禁断なのかにもよると思うんですよね……? 伊勢物語の某氏なんか、平気な顔してましたけどね。
時代や地域や身分によっては、きょうだい婚とかザラなので……。
私の感覚からすると気にしすぎかと。むもれ「木」だけに。#盛り上がってるとこ水を差すスタイル

恋歌三 詠み人しらず
吉野河 水の心ははやくとも 滝の音にはたてじとぞおもふ

吉野川のようにはやるこの僕の恋心。けれど僕は心のままに流されて、滝のように音を立てるようなことはしないと誓うよ。 #いちご訳

よく言えば素直な歌ですね。
内容から言っても、すでに付き合ってる感じがしますが、なんかこう思い込みが激しそうと言うか、この方、間もなくフラれそうな予感がします。
ご本人もそう思っているから「心ははやく」なるんですかね。秘密の恋というより、温度差を感じる一首……。
#嫌な予感

恋歌三 詠み人しらず
恋しくはしたにをおもへ 紫のねずりの衣 色にいづなゆめ

どんなに恋しくても心の中で思うだけにしよう。根摺の衣のように鮮やかな色を表に出してはいけないんだよ……。 #いちご訳

ねずりってなん? と思ったら根っこで染めるみたいですね。紫草染だそうです。
命令形の歌なんで「お前、顔に出すなよ?」という解釈もあるんですが、自分に言い聞かせている片思いの歌ですよね? 私にはそのようによめました。
しかし紫の衣と言われると、何か思い出すものがありますね……。

恋歌三 小野春風
花薄ほにいでて恋ひば名を惜しみ 下結ふ紐のむすぼほれつゝ

はっきり顔に出して恋の噂が立つのを恐れているから、あのひとの下紐が解けないでいるんだ。ああ、憂鬱。 #いちご訳

なぜかこの解釈が出て来ないのですが。下紐ってそういう意味じゃないんですかね?
参考例
二人してむすびし紐をひとりしてあひ見るまでは解かじとぞ思ふ(伊勢物語)
紐って出てきたら、もう全部そういう意味だと思ってる! でも研究者に「違います」って言われたら素直に引き下がりますけど。

恋歌三 詠み人しらず
思ふどちひとりひとりが恋ひ死なば たれによそへて藤衣きん

ひそかに心を通わせた恋人同士。その片方が恋死にしてしまったら、残された方は誰を偲ぶと言って喪服に袖を通せばいいのかしら。 #いちご訳

ひとりひとりが、で「どちらか一人が」。
藤衣はここでは「喪服」の意味で使われています。
この歌、詠み人しらずなんですが詞書にこうあります。
橘清樹がこっそり通っている女のところから言ってきました。明日はこの返歌が来ますよ。お楽しみに!

恋歌三 橘清樹
泣き恋ふる涙に袖のそぼちなば ぬぎかへがてら夜こそはきめ

恋しさのあまり泣き続けて袖がびしょ濡れになったらば。着替えるという理由をつけて夜に喪服を着ればいいんじゃないか。 #いちご訳

これだけだと、いまいちよく分かりませんね。昨日の歌とセットでよみますと……うまく誤魔化した模様
どうも清樹(きよき)さんの方は、公にされるとなんかマズいそうです。訳ありの予感しかしないな?
詞書に実名が出ているので、それなりに有名な方と思われますがこの歌くらいしか見当たらず。

恋歌三 小野小町
うつゝにはさもこそあらめ 夢にさへ人めをもると見るがわびしさ

事情は私も分かっているわ。でもせめて、夢なら人目をはばからずに会いに来てくださってもいいんじゃないの。私、つらいの。 #いちご訳

いま、会いに行きまぁす!!(光速)
これが小町様の女子力ですよ……ごくり! 歌の才能以前にこのひと、何か別の才能がありますよね。
たぶんですが、もらった殿方は返歌を考える時間も惜しんで、すっ飛んで来られたのではないでしょうかね。
#ひとたまりもない #これは強い #最強の小町様

恋歌三 小野小町
限りなき思ひのままによるもこむ 夢路をさへに人はとがめじ

際限なくあなたを想ってる。僕は夜が好きだ。夢の中であなたに逢うことくらいは、許されているんだからね。 #いちご訳

「夜も来む」が解釈割れしているところらしいのですが。小町さんが作った歌だからって主人公が女性でないといけないとは言わないわけで。
実際、男性歌人のネカマ歌とか普通にあるので……
とすると、素直に「出かけていく人」=男性の立場の歌と捉えて、間違いとは言えないんじゃないでしょうか。


恋歌三 小野小町
夢路には足もやすめず通へども うつゝに一目見しごとはあらず

毎晩夢の中であなたのところへ通っておりますが、現実の世界でほんの一目、お見かけする方がどんなにか…… #いちご訳

これは解釈割れせず男歌ですね。
でも小町さん、あなた普通に「海人の足たゆくくる」とか言って追い返すじゃないですか……!
分かってて追い返すなんて、ひどいですよ。ま、まさかこの時代もやっぱり「ただしイケメンに限る」んですかー?! 絶望した!!
#ただしイケメン #あきらメロン


 今回はこの辺までにしようかな。最後、怒涛の小町様ラッシュで畳みかけてきましたね。小町様はやっぱり、歌がうまいなあと思います。なんというか、技術うんぬん以上に女流歌人としての圧を感じるんですよね。
 小町様に比べたら、業平様はまだなんかちょっとキュートな感じがするんですが、業平様のことだから「そういう作戦」でモテようとしているのかもしれませんね!

 秋深きとなりは何をするひとぞ(芭蕉)

 皆さんは芭蕉さんのように体調崩したりなさらぬよう、ご自愛くださいね! 以上、自称作家の あまおう まあお でした!(フォロワー大絶賛募集中☆)

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