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まあお訳古今集 恋はいちごを添えて弐拾壱

いやぁ、皆さん! 春ですねぇ^p^ あまおう まあおです!
皆さんは春の訪れをどんな時に感じておられますか? 梅にウグイス、月夜の桜、風に揺られるつくしの子。雅ですねぇ!

私はだいたい春になると、喉がイガイガして目がショボついて妙に鼻がグズつくんで、すぐ気づきますね。風の強い日なんかもう要注意ですよ。いや、違う! 花粉症ではないから! 花粉症なんかでは決して……!

認めなければ花粉症ではない。そんな信念を強く持ちつつ、今回も風雅な恋の歌でも、皆で読んでいきましょう! ハックション!!

恋歌四 詠み人しらず
飛鳥川ふちはせになる世なりとも 思ひそめてん人はわすれじ

飛鳥川の流れだって移り変わるこの世で。変わらずにいるのはただ、あの日あなたにと決めてしまったこの心だけだよ。#いちご訳

なんか老練~! 巧すぎてちょっと渋いかなあ。
思ひそむ、なんですが思ひ染む、なのか思ひ初む、なのか。どちらにせよ、染みついて忘れないほど生涯でもっとも愛したひとのことを言っているんでしょうね。
吉野川いはなみたかく行く水のはやくぞ人を思ひそめてし(貫之)
こっちは吉野川でしたね!

恋歌四 詠み人しらず
思ふてふ言の葉のみや 秋をへて色もかはらぬ物にはあるらん

秋になれば色が変わるのが葉だけれども。「愛してる」この「言の葉」だけがたった一つの例外なのかな。#いちご訳

今度は急なオシャレ感!
寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた、とのことでかなり技巧的。紅葉と言の葉を比べて「あきがきても」(秋・飽き)変わらないよ、ということなのでしょう。
のみやーあるらむの係り結びでどことなく遊び心を感じられるので、あまり相手のある恋歌という雰囲気がないですね。

恋歌四 詠み人しらず
さむしろに衣かたしき こよひもや我をまつらん 宇治の橋姫

むしろの上で衣を敷いて独り寝をして。今日も僕のこと待ってるんだろうなあ、宇治の橋姫ちゃんは。#いちご訳

いや、笑っちゃいけないというか……長い歴史で予期せぬ奇跡が起きてしまった一首。
宇治の橋姫ってこの時代は「愛しい恋人」のイメージらしいんですが、後に色々ありまして現在では「丑の刻参り」のイメージがついております……。
我を待つらむ、とか呑気にしてますが、私の目から見ると #逃げてー


恋歌四 詠み人しらず
君やこむ我やゆかんのいさよひに まきの板戸もさゝずねにけり

今夜は来るかしら、いっそ私から行ってしまおうか。ためらっている月の夜に戸締りもせず眠ってしまったわ。#いちご訳

十六夜の月は、満月より遅く出るので「ためらい」の月と言われています。風流ですが、戸締りしないのは物騒ですね。
君や来し我や行きけむおもほえず夢か現かねてかさめてか(伊勢物語)
これと似ていますが、実際に出かけていく可能性はなさそうです。伊勢は状況が特殊なんですよ。#戸締り推奨

恋歌四 素性法師
今こんといひしばかりに 長月の有明の月を待ち出でつるかな

すぐ行くとおっしゃるから、信じて待っていたの。この長い秋の夜に有明の月が出るまでずっとよ。#いちご訳

有名な歌ですが、そう、これもネカマ歌だと思いますね!
ということはですよ? 今こんと言っていたのって本当は誰だったんでしょうかね。ま、僧侶だし歌うまい人の言うことですからきっと創作ですね。
素性法師、恋歌多いですよね。あっ、いや、なんでもありません。煩悩消滅、一切皆空、色即是空!

恋歌四 詠み人しらず
月夜よし夜よしと人につげやらば こてふににたり 待たずしもあらず

素敵な月ね、よい夜だわと、あのひとへの伝言。遠回しに言ったつもりだけどもう、来てと言ったのと同じだったわ。待ってないとは言わないけどねっ!#いちご訳

うわあ、ツンデレ……
申し訳ないんですけど、私ツンデレ女性って全然好きじゃないです。ツンデレ男子ならちょっとアリだと思ってますが^p^
ツンデレの何がめんどくせえって高度な察しを期待してくるのがほんともうダメ! 全然かわいくない。
#個人的恨み #すまないツンデレ女は帰ってくれないか

恋歌四 詠み人しらず
君こずはねやへもいらじ 濃紫の我がもとゆひに霜はおくとも

あなたが来ないなら寝室へ入らないわ。束ねた長い髪に霜がつくほど寒くてもよ。#いちご訳

濃紫(こむらさき)は黒髪の比喩なのか、束ねている紐の色なのか分からないのですが、まあなんにせよ
野宿はお勧めしませんねえ^p^
「来む」が入ってるという説もあり、まあ催促の歌です。催促シリーズほんとダメ。行っても遅いとかグチグチ言われそうだから、行きたくない! #呼ばれてない

恋歌四 詠み人しらず
宮城野のもとあらの小萩 露を重み風を待つごと 君をこそまて

仙台の萩は先端についた露が重くて項垂れて風を待つわ。私のまつげも項垂れてあなたを待つのよ。#いちご訳

もとあら、というのは根元の方に葉っぱが疎(逆に先端部分が密)ということらしい。確かに重心バランスがおかしいですから、露がつくと垂下がるでしょう。
そこまで書いてはないけど、まあ露が涙でと考えると、その訳になりました。
うちの近所にも萩っぽいのが咲いてましたよ!
#これなら行きます

恋歌四 詠み人しらず
あな恋し 今も見てしが 山がつのかきほにさける大和撫子

ああいいなあ、今すぐにも会いたいなあ。貧しい山里の垣根に咲いたあの一輪の撫子ちゃんに。#いちご訳

身分違いで自分が格上のパターンの歌ですね。山がつ(きこり)というからには完全に庶民の娘でしょう。それもあってか、直接的で風流感はゼロ。
山がつの垣ほ荒るともをりをりにあはれはかけよ撫子の露(源氏物語)これは比喩だと思いますが貴族らしい美しい歌ですね。
#並べてみよう #差が歴然

恋歌四 詠み人しらず
津の国のなには思はず 山城のとはにあひ見んことをのみこそ

大阪は難波「何は」とも思いませんよ、京都は鳥羽「とは(永久)」にあなたと逢いたいだけです……#いちご訳

アカン言うてもおっさんは、どうしても意味不明のダジャレを入れてしまうらしく。
津の国の難波、山城の鳥羽
これ削ったら残るのはこれだけ「何は思はず永久にあひ見んことをのみこそ」。
本当にうまいこと言ったかどうか、今一度胸に手を当ててみてほしい!
難波と鳥羽の中距離恋愛なら評価します。

恋歌四 紀貫之
敷島の大和にはあらぬ唐衣 ころもへずしてあふよしもがな

唐ごろもは日本にはないんだよ。「頃(ころ)も経ず」すぐにあの子に逢えたらなあ……。#いちご訳

お、これは! 違うのかもしれませんが、なんか日中国際恋愛みたいな歌ですね?
遣唐使とかあったし……ひょっとしたらそんな恋もあったんでしょうか。
チャイナ服の姑娘なんか思い浮かべたりして^p^ もしくはチャイナ服の似合う日本の女の子なんだろうか。どちらにせよ、美人の話だと思われますね!

さて、いかがでしたでしょうか。今回はそんなに雅でもキュンでもないのが多かったかな?

この時代の貴族女子というのは基本的に「待つ」ものなんですよね。イケメンがいても、自分から会いに行くことができない。それでまあ、こういう歌が出てくるんでしょうね。

ぶっちゃけた話、時代や文化が多少違ったところで、女子や男子やそれ以外の性格が現代とそうそう違うとは思えません。ガンガンいこうぜタイプの貴族女子だって、たくさんいたと思うんですよね。

そして千年前からツンデレさんは思い切り存在していた……わが国はツンデレ大国なのかもしれませんね! あ、すみませんが私はあまりツンデレさんは好きではありません。 #きいてねーよ

プライベートのイザコザは一応一段落しました。そろそろ読書期に突入したいな、なんて思っていますので、和歌なんか一ミリも興味ないよ、というあなたからのフォローもお待ちしていますよっ^ -☆

いつも心が花粉症 あまおう まあお でした。グシュン!!

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