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詩集

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2021年1月の記事一覧

【詩】あなたの手を取り、世界は廻る

どうして波が寄せては返すのだろう。 どうして陽が昇っては沈みゆくのだろう。 どうして月が満ちては欠けてゆくのだろう。 それは、この地球(ほし)が自ら廻り続け、 全てをその重心に引き寄せ続けるからだろう。 それは、この地球(ほし)が月や太陽と、 絶対的で確実な距離を保っているからだろう。 星は廻り続ける。 宇宙は広がり続ける。 時間は流れ続ける。 すべては動きを伴い、エネルギーをもたらす。 ときには膨張し、ときには圧縮し、世界はひっそりと佇んでいる。 人

【詩】心よ満ちて、明日よ明るい日となって

心がからになると、ぽっかりと空洞が出来てしまう。 そこは風穴となり、冷たい風が通り抜け、 いつの間にか心は冷え切ってしまう。 穴の開いた心では、どんな言葉に出会っても、 その言葉は胸から零れ落ちてしまうだろう。 冷え切った心では、どんな優しさに出会っても、 その温かさを感じるのに時間が掛かるだろう。 心を満たそう。 温かくて、柔らかくて、強い気持ちで、あなたの心をたっぷりと満たそう。 そうすれば、思いもよらない変化があなたに訪れるはずだ。 空っぽだったその

【詩】虹の在り処

雨上がりの空に架かる虹、 七色の光がぼんやりと、時にくっきりと空に浮かぶ。 アーチを描いたり、太い柱のように伸びたり、 二本の虹が上下に重なったり、現れる情景は様々だ。 虹の存在、それは光の屈曲がもたらすプリズム現象。 それ自体は、起こるべくした起きた自然現象で、 そこに特別な意味はないのかもしれない。 ただ、あの美しい光を目の当たりにして、 私の心は震えないわけにはいかない。 雨上がりの昼空に、ぽっと浮かぶあの奇跡のような光景は、 いつ見ても心を奪われる。

【詩】美は光となり、あなたを照らす

嘆き苦しむ日々が続けば、 あなたの心は憔悴し、身体は疲弊しきってしまうかもしれない。 長く暗闇の日々が続けば、 あなたの心は光や色を、忘れてしまうかもしれない。 しかし、どんなに暗く絶望の日々が続こうとも、心に灯る光を忘れないでほしい。 その光は、あなたを暗闇から救い出す、大事な鍵なのだから。 もし光を忘れてしまいそうな時は、 光り輝く美しいものに触れてほしい。 中途半端な作り物でなく、悪意ある偽物でなく、 真に美しいものに触れてほしい。 美に触れることは

【詩】弱さ受け入れる、強き者よ

人は誰しも、その心に弱い部分をもっている。 あなたの魂をのせたその肉体も、時には弱ってしまうこともあるだろう。 思いもよらぬ出来事が続き、思考が弱気になる時もあるだろう。 己の未熟さを痛感する時、 不完全な肉体に絶望する時、 誰かの心の灯を消してしまった時、 あなたは自分の弱さを知るかもしれない。 自分の弱さを知ることは、とても苦々しく痛切で、やりきれないことだろう。 あなたのその弱さは、 誰かを悲しみの淵に追いやってしまったのかもしれない。 あなたのその弱

【詩】命は巡る、風のように

あなたがこの世界に辿り着くまでに、 いったいどれほどの歳月が流れてきたのだろう。 あなたがこの世界に生を受けるまでに、 どれほどの命が重ね続けられてきたのだろう。 本能や愛情や、様々な想いをもって、 数え切れぬ命がこの世界で育まれてきた。 それらは幾千年も幾万年もの時を超え、 脈々と今に受け継がれてきたのだろう。 誕生と消滅を繰り返していった数多の命たち。 きっとその命たちは、次の命を包む風となって、 時の流れと共に空の彼方へ過ぎ去っていくのだろう。 雲を運び、鳥

【詩】星に願いを

静寂と暗闇に包まれて、 凍えるような寒い夜でも、 空からあなたを静かに見守り続けている月がある。 荒波と海風が押し寄せて、 死と隣り合う暗い海でも、 太古の昔から変わらずにあなたを導き続ける星がある。 震える肩を自ら抱き、 明かりを求めて顔を上げた時、 あなたは夜空に浮かぶ月に気付くだろう。 暴れる舵をその手で制し、 祈る気持ちで天を仰いだ時、 あなたは夜空に瞬く星に気付くだろう。 この地球(ほし)が生まれた時から、あなたを見守り続ける星達。 その変わらない輝きを、

【詩】つぼみ

長く寒い冬が続き、固くきつく締まったつぼみ。 そのつぼみは、きれいな花を咲かせようと、 春を待ちながら力を蓄え続けているだろう。 しかし、そのつぼみは、 自分がどんな花を咲かせるか、まだ知らないのかもしれない。 いつその身が開くのかも、全く分からないのかもしれない。 けれど、つぼみは我が身を開花させることに、 全てのエネルギーを注ぎ続けるだろう。 冬の間もつぼみを開かせる為に、絶えず力を注ぎ続けていたからだろう。 あなたがもし、固いつぼみのままで、 つらい冬を過ご

【詩】涙

愛する者が去って行ったのだろうか、 その身が重い病に侵されたのだろうか、 思いもよらぬ災難で大切なものを失ってしまったのだろうか、 あなたの心はバリバリと音を立てながら引き裂かれ、 その身を支えることも出来ず、 大きな悲鳴を上げている。 稲妻に打たれたような衝撃がその身を襲い、 巨大な空白が思考を奪い、 訳も分からぬうちに、ただ涙が溢れてくる。 きっと、とても愛していたのだろう。 きっと、とても守りたいものがあったのだろう。 きっと、とても大事なものだったのだろう。

【詩】光は信じる心のように

信じれば裏切られ、 愛すれば捨てられ、 優しくすればつけこまれ、 あなたが人生を生きていく中で、 もう誰も信じられない、そんな風に思ってしまうような、 辛い経験をすることがあるかもしれない。 そんなとき、あなたは信じる心を失ってしまだろうか。 誰にも頼らず、一人で生きる道を選んでしまうだろうか。 人の気持ちなど当てにせず、誰とも目を合わせず、 じっと目を伏せながら日々を過ごすだろうか。 裏切りや失望といった深い傷を負ったあなたは、 光り輝く心を手放し、 深い闇の中に

【詩】人は誰かを好きになる

あなたが誰かを好きになったとき、 それが思いもよらぬ形であらわれ、 自分でも驚いたことがあるかもしれない。 あなたは異性を好きになると思っていたら、 思いがけず同性を好きになったのかもしれない。 またはその逆だったのかもしれない。 あたなは、 同じ習慣や同じ言葉で暮らす人を好きになると思っていたら、 思いがけず、 異なる習慣や言葉で暮らす人を好きになったのかもしれない。 誰かと結ばれている者や、 利害が生じる者、 血筋の近しい者など、 好意を抱いたことにより、複雑な

【詩】やがて夜空の星になる

私たちは皆、いつか必ず夜空に輝く星になる。 肉体のエネルギーを使い果たし、命の炎を燃やし尽くし、 それぞれに決まったタイミングで、空の彼方に散っていく。 魂の生まれ変わりがあるかどうかは分からないが、 少なくとも今生きているこの人生は、 間違いなく一度きりの人生だろう。 太陽のように熱い人生だろうか、 月のように静謐な人生だろうか、 流星のように刹那的な人生だろうか、 それぞれの人生の輝き方は、 幾千通りもの色を放っている。 無限に広がるこの宇宙の中で、 数多の