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東京中古1Rマンション投資を真剣に考えた、そして止めた(2/2)

前回の続きです。

「素敵な」物件を紹介される

信頼しても良さそうと感じた業者さんに、肝いり採れたてピカピカの物件をいくつか紹介してもらいました。

  • いちばん大事な立地:ふむふむ、にぎやかな都心の駅の徒歩10分以内、自然災害リスクも低い。なるほど、セオリー通り、素晴らしい立地だ!

  • 築年数もだいたい10〜20年、程よくこなれている。

  • なになに、今この賃料は相場より少し低い、と。なので物件価格は安めであるのに、次の募集では賃料を上げられるかもと?そんな素敵なこともあるのかあ。

  • 戸数も30-50戸くらい。管理費修繕費を考慮するとこれくらいの規模がスイートスポットだそうだな、これもセオリー通りか。

  • 表面利回りは、、、4%程度か。だいたい実質利回りは1%程度下がるとみて3%。ローンはかなり低く抑えることができそうで1.5%か、となると、一応プラスで回せそうな感じだな!

  • あとは税金とかランニングコストとかシミュレーションしてみれば良いわけね

  • それで大丈夫なら、あとはほったらかしておけば最長でも35年くらいすれば月々10万円くらいの年金が入ってくる生活が叶うのか!

と、ここまでは盛り上がる一方。が、キャッシュフローシミュレーションを見て、手が止まりました。

あれ、、、、、諸経費70万、頭金なしで35年ローン組んだ場合、月々のキャッシュフローは、、、マイナス7,000円!?

ここで私の気持ちはだいぶしぼんでしまいました。私が思っていたのは、↓こんな感じだったのです。

  • 初期投資は限りなく抑えてフルローンとかオーバーローンで。だっていざとなればいつでも金融資産を現金化して全額支払うことは可能だし、でもその金融資産は手元において運用したほうが利率はローンより遥かに高いしね。

  • 月次のキャッシュフローは、まあ潤沢にとまでは期待しないけど、でもクリーニングとか修繕費不足とか不動産税とか諸々の費用を賄えるくらいのプラスは欲しいものだね。

が、「当社は物件選定に絶対の自信があります!」と期待値を釣り上げた上で提示されたのは、キャッシュフローがマイナスの物件。

これについて業者さん曰く:「そうですね、頭金を増やせば当然キャッシュフローをプラスにすることはできるので、そこはやり方次第ですね。でも月々数千円の投資だけでやがて数千万円の資産が手に入るんだったら素晴らしいですよね!」と。

更にこうも言います。「今生命保険で月々数千円払っていると思いますが、マンション投資ローンは団信に加入しますから、この数千円の保険は解約すればいいんですよ。そしたら実質的にはトントンです!」

うーん。。。そうなのか。。。。!?これは少し自分でも納得が行くようにシミュレーションしてみよう、と持ち帰ってみたのでした。

キャッシュフロートントンシミュレーション

確かに、頭金をいくら入れるかで月々のキャッシュフローが変わるのはそりゃそうだという話です。では、月々7,000円の持ち出しの是非が判断できればよいのでしょう。でもいまいちこれには実感が湧きにくいので、「月次キャッシュフローをだいたいトントンにできる程度の頭金をいれるとしたらいくらになるのか」という計算をすることにしました。

不動産投資のシミュレーターはネットでいくらでも手に入りますが、間違っていても嫌なので、生成AIに計算式を尋ね、その計算式を使ってスプレッドシートで計算することにしました。

色々頭金を入れて計算してみます。100万円でどうだ→うーん、ほとんど効果ないなあ。200万円?→あ、少し近くなってきた。300万円?→なるほど、これくらい入れればトントンが見えてくるのね。

まあ、当たり前といえば当たり前かもしれません。月々7,000円だと年間84,000円です。これに35年をかけると、294万円。頭金であろうが月々であろうが、これくらいの規模の持ち出しは必要ということです。

では、この300万円くらいの投資、価値があるのか?という話になります。

300万円を35年後に10倍にする投資の是非

細かいことは抜きにして、物件価格は3,000万円だとしてみます。これが仮に35年後も同じ価値を維持していると考えます(もちろんインフレで上がるかもしれないし、老朽化して下がるかもしれませんが、そこはわからないので)。

とすると、突き詰めるなら、300万円を35年で10倍にする、という投資を行う、というのが、この物件を買う意味になりますね。

10倍!すごい。さすがは不動産投資、レバレッジの妙味はここにあるのか。ということは、例えば1,000万円投資したら1億円の資産を作れるということ!?将来の億り人確定ってことか、やっぱり魅力的だなあ、一気に3件区くらい買っておくか。。。と、一瞬思いました。

の、ですが。もう少しだけ冷静になって考えました。ここで考えたのは「この投資は、今まで私がやってきた投資と比較して、果たして有利なんだろうか?」というものです。

「72という数字を想定利回りで割ると、投資額が2倍になるまでに必要な年数がわかる」という計算式があります。例えば5%の利回りであれば、資産が2倍になるのに要する時間は72÷5=14.4年。10%の利回りなら7.2年。

一旦夢をみることにします。10%の利回りで7.2年×3回=21.6年が過ぎると、2の3乗で8倍になります。28.8年が過ぎると16倍。36年が過ぎると32倍。

36年というのは、不動産投資ローンの返済期間と大体一緒です。そう考えると、レバレッジを掛けた不動産投資というのが圧倒的な優位性を持つか、というとそれほどでもなさそう。。。むしろ、35年より時間軸を長く取れば取るほどその差は広がっていく様子。

ちなみに、株式や投信で10%の利回りって高く見積もり過ぎでは?と思われるかもしれませんが、これが全然不可能ではないのです。ややこしいことは全く不要で、単純にVTIに投資して時間軸を長く取るだけで十分可能な水準だったりします。

此処から先は何を信じるかの話

ここまで考えると、私の気持ちは概ね決まってきました。つまり、私にとっては、不動産投資よりも、株式・投信への投資のほうが資産形成には有利に思えたのです。

もちろん不確定要素はどちらにもあります。此処から先は運の話であり、そしてどんな将来予測を信じるか、の話です。ただ、不確実性に対する耐性ということで言えば、金融資産のほうが遥かに柔軟でしょう。なにせ換金したかったらネットで数クリックするだけですぐに現金化可能です。不動産だと、いくら流動性が高い東京中古1Rマンションであってもそれなりの手続きと期間と手数料がかかります。

また、すべての不動産投資がうまく行かないわけではまったくない、というか不動産投資で正しく資産形成をしているかたもたくさんいるのだと思います。ただ不動産投資で成功するためにはそれなりの勉強や情報収集が継続的に必要で、その手間を惜しまずにできるかどうかが分かれ目なのかもしれないと思います。そして私にはその選択肢はなかった、ということなのですね。

もし、手がかからず、持ち出し不要で、リスクも少ない不動産投資案件を見つけることができたなら、これから先でもぜひやってみたいです。どうやってそれを見つけられるのか、まだその方法はわかりません(どなたか教えてください。。。)

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