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【自作小説】来世はネコになりたい(5)
「結論から言うと、今働いてる会社の広報用の動画作りを手伝ってほしいんだ」
久々の再会を喜んだり、近況の情報交換をすることもなく西沢は単刀直入に言ってきた。
僕もそんな世間話とか苦手だから、話が早くて助かる。
「動画作り?」
「そう。で、隣の広瀬さんはうちの会社の広報担当なの」
なるほど、広瀬さんは今の西沢の同僚ということか。
「急な話ですみません。詳しい話はまた後日にしようと思いますが、まずは簡単に話をさせてもらいたくて。よければご協力いただきたいと思ってます」
ほんと急ですよ!とは、広瀬さんには言えない。
でも、なんで僕が手伝うことになるんだ?と思っていたら、西沢から理由を話された。
「新入社員時代にグループワークの報告会があったじゃん?あのとき、山田のグループだけは動画で報告してたよね」
あー、そういうことあったね。
「それで、その時の動画編集をやったのが山田だって聞いて白羽の矢がたったわけ」
なるほど、僕が動画編集をしたことを誰が垂れ流したかは今は考えないでおこう。
「僕も趣味程度にしかやってないし役には立てないと思うよ」
大学生のときにYouTubeにゲーム実況動画をあげているときがあった。
そのときに編集もそこそこ凝ったものを作っていたのだが、今では完全な黒歴史だ。
「いや、うちの会社には編集のへの字も知らない人ばっかりで。山田がアドバイザーとしていてくれるだけでも助かるんだ」
少し沈黙して考えていると、西沢の隣の広瀬さんが頭を下げてきた。
「すみません、私たちには何の知識も頼る人もいなくて。ご協力いただけないでしょうか」
大の大人から頭を下げられることは早々ない。
「わかりました。とりあえず話を聞きます。今後の話はまたその後から決めましょう」
頭をあげた広瀬さんは満面の笑みだった。
それから、二人に会社のことなどを詳しく聞かせてもらった。
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