芸術は爆発だ!

私にとっての「岡本太郎」と言えば『芸術は爆発だ。』の変わったオジサン。太陽の塔をデザインした人。くらいの存在だった。

「自分の中に毒を持て」というタイトルの岡本太郎の本を読むまでは。。。

18歳でパリに渡った
岡本太郎は
ソルボンヌ大学で
哲学、社会学、民俗学
などを学び
充実した毎日を過ごしていた。

しかし
「社会 対 個。」
「自 対 他。」
いったい自分は何なのか。

幼い頃から抱き続けていた
絶対に譲り渡すことのできない
アイデンティティーを
どうこの世界に
押し出していったらいいのか。

という根本の悩みの答えは
大学の授業では
見つからなかった。

思いつめた太郎は
気を紛らわすために
映画館に入る。

彼は暗い中で
じぃっと座席に身を沈めた。

スクリーンに明滅する
さまざまな映像。

彼は、そんなドラマを
目を伏せて退けた。

そして胸を押さえて
自分の身のうち
奥深いところに
無言で燃えている
炎だけを見据え
抱きしめた。

しかし後に、彼は気づく。

……そうだ。
俺は神聖な火炎を
大事にして
守ろうとしている。

大事にしているから
弱くなってしまうのだ。

己自身と戦え。

自分自身を
突き飛ばせばいいのだ。

炎はその瞬間燃え上がり
あとは無。

ーーー 爆発するんだ。

自分を認めさせようとか

この社会の中で自分は
どういう役割を
果たせるんだろうか
いろいろ状況を考えたり
成果を計算したり
そういうことで
自分を貫こうとしても
無意味な
袋小路に入ってしまう。

今、この瞬間、
全く無目的で、無償で
生命力と
情熱のありったけ
全存在で爆発する。
それが全てだ。

そう吹っ切れたとき
太郎は意外にも
自由になり
自分自身に
手応えを覚えたそうだ。

ところで岡本太郎氏のいう爆発は、一般にいう爆発とは異なる。

一般にいう爆発は、ドッカンと大きな音がしてモノが飛び散って周りを破壊するものだ。

しかし彼の言う「爆発」とは
全身全霊が宇宙に向かって、無条件にパーっと開くことだ。


若い頃の私には、岡本太郎さんが「変なオジサン」にしか見えなかったのは
きっとこの境地で生きる大人に、出会ったことがなかったからだろう。

充分な大人の年齢になった今、この本を通して語りかけてくる岡本太郎さんに、親しみと尊敬の念を感じてしまっている。笑笑💕

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