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2024年1月の記事一覧
~リアル・ファンタジー~ 草間さかえ『地下鉄の犬』
(drapコミックス 電子書籍版が現在入手可能です。
感想、ネタバレありますのでご承知おきください。)
草間さかえが好きだ!大好きだ!
今まで私のセレクトはけっこうじれじれした感じの乙女系の作品が多いように自分でも思うのだけど、草間作品は違う。え、そんなに簡単にイキマスか、というくらい思い切りよく先の段階に進んだりする。いいのかそんなにぐいぐいと先に進んでも~という作品は勿論BLには多いのだけど
~ギャップのある恋~ 本間アキラ『兎オトコ虎オトコ』
(花丸コミックス 紙本・電子書籍版ともに現在入手可能です。全5巻完結済 感想、ネタバレありますのでご承知おきください。)
物語は気の弱い小柄な外科医・卯月幸弘(=兎オトコ)が背中に虎の刺青を背負ってる見るからにヤクザ・野浪(=虎オトコ)が夜中の裏道で瀕死の状態のところに出くわし、見過ごせず命を助けるところから始まる。読み始めた時は、インテリとやくざという対照的な2人の男の出会いと純愛話か…とさ
~選ばれし者の恋~ 坂田靖子『ベル デアボリカ』
(トップ画像はサカタボックスのフリー素材を使わせて頂いております。
作品感想、ネタバレを含みます。ご承知おきください。)
その昔、何かの解説で読んだ言葉がある。"作家というのは生涯一つのテーマしか書けないものだ"(大意)。
作家萌えしやすく、好きになった漫画家の作品はかなり追っかけ続ける私はその言葉に大いに頷きながらも、(いや待てよ、坂田靖子はこれは例外だな、この人ほど多種多様多彩な作品を描き
~両性具有的流され侍~ 水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』
(フラワーコミックスα) 現在 電子書籍版で入手可能です。
作品感想、ネタバレを含むのでご承知おきください。
私は作品そのものよりもその後ろにいる作者に惹かれていってしまうところがある。特に人間の本質を突くような洞察力の鋭い人間に弱い。そういうセリフに弱い。人間を裏から斜めから読みつくすような視点を感じるとぞくぞくっとする。作者萌え?ってやつ?ああこう書くとなんだか危ない人のよう;そんな私に20
~究極の乙女男子 ささやかな幸福 イシノアヤ『椿びより』
(EDGE COMIX) 現在 電子書籍版で入手可能です。
作品感想、ネタバレを含むのでご承知おきください。
最近になって10代の頃のような萌えが出来た。乙女ちっくからは遠いところにきたもんだと思っていたのに、思春期のような頭の中だけの萌え感情がもてたことが本当に新鮮で、もうしばらくこのときめきを楽しんでいたいと思った。
何か進展を望むことがまったくないことって現実にあるんだ!
日常生活を送り
~美しい魔物 坂田靖子『ベル デアボリカ』
(ASAHIコミックス) 現在 電子書籍版で入手可能です。
作品感想、ネタバレを含むのでご承知おきください。
トップ画像はサカタボックスのフリー素材を使わせて頂いております。)
ケルウォースの城は冬は寒く、明かりは暗い。周辺には深い森と谷、領地は決して広くない。先代の領主が大国の顔色を窺って右往左往するうちに弱小の領国と成り果てていたのだ。そして谷には魔物と呼ばれる魔法使いが住んでいた…。物語は
~究極のピュア 中村明日美子『同級生』
EDGE COMIX *現在電子書籍版・紙本ともに入手可能です*
作品感想、ネタバレを含むのでご承知おきください。)
書店に行っていろんなコミックの表紙を眺めて回るのが好きだ。そして知らない作家さんでもこれはと思ったら直感で買ってみるのが好きだ。この作品も誰かに勧められたとかではないのだが、ずっと気になっていた。表紙を見て(なんとなく耽美?…ちょっと三白眼みたい…)絵の感じにやや抵抗は覚えたが
~懐かしい時代 古き良き恋 加藤冬紀『鎌本謙一・十五歳』
(ヒット出版 1998年3月1日発行 *現在新版・電子書籍版発行ナシ
作品感想、ネタバレを含むのでご承知おきください。)
作者の加藤冬紀はBLという言葉が普及する前の、いわゆる『JUNE』の人だ。誰と語り合うこともなく気に入った作家さんを秘かに一人で追っていた私が密かに好きだった作品の一つ。この作品では多分に"バンカラ"の伝統を残した男子校を舞台とする。現代を舞台にしつつ、その伝統には旧制高校
~人との距離 不器用な恋 山田ユギ『誰にも愛されない』
(ビーボーイコミックス *現在電子書籍で発行があります*
作品感想、ネタバレを含むのでご承知おきください。)
もしかしたら都内のどこかに、マイペースな日下が経営する古書店「ひぐらし堂」はあるんじゃないか。その店には単細胞だが意外に空気を読む男・飯島が通ってきて、文句を言いながらも店番をさせられている…。読んだ後そんな気がしてくるくらい、この恋物語の設定は細やかで、リアリティがある。
一方で、
~仄かな恋~美しい異形 梶原にき『月と水の夜』
(バーズコミックス ルチルコレクション *現在電子書籍で入手可能です)作品感想、ネタバレを含むのでご承知おきください。)
月の美しい夜、清涼な川の中から現れる二人の河童。一人は長い髪をきっちりまとめた端正な顔立ちの清太、もう一人は野性味のある魚吉。とがった耳と赤い目をしているが、甲羅や頭の上の皿という特徴は隠されていて、立ち並ぶ二人は美しい。
物語は小5の夏休みに父の田舎に遊びに来た吉晴少年